【詩的話】バーミリオンヒューと彼女 #ひと色展
「門限の時間だ」と彼女は言うけれど、一人暮らしに門限があるのはどうなのかな、とぼくはつぶやく。
「わたしの門限じゃなくて、この子の」
彼女の肩に乗るサイズの小さなその子は、夕焼けに染まって全身が赤い。そして、にっこりとぼくに微笑みかける。その子の胸に名札が付いている。
「バーミリオンヒュー」
名前を読み上げると、その子は嬉しそうに彼女の肩の上でくるくると回って見せ、スカートを広げて膝を折り、えらく丁寧に頭を垂れた。
「今日は本当に楽しかった。今日の一日だけで、ごはんが何杯も食べられるほどに」
そのセリフは彼女が言ったのか、バーミリオンヒューが言ったのか判断がつかない。どちらにせよ、楽しかった今日の日が胸に広がっているのは間違いない。間違いないからこそ、夕焼けが永遠であればいいとぼくは祈る。
「さよなら、またね」
どこまでも温かいそれに触れて、ぼくは泣いている。彼女がぼくの涙を拭う。その手を梯子にして、バーミリオンヒューがぼくの肩に乗る。
「だいじょうぶだよ、わたしはずっといるから」
門限がくると、彼女もバーミリオンヒューも消えた。ああ、そうだったとぼくは毎日のように思い出す。彼女はもうここにはいないんだった。
さよなら、またね。
明るいその声がこだましている。
イシノアサミさんの「ひと色展」にコラボ記事を書かせて頂きました。とにかく、色の子たちがかわいいです。
バーミリオンヒューちゃんは、こちらです。
