心地よくあるすべ

中学生のときに選択授業というのがあった。
週に1時間だけ放課後に好きな科目を学べる、
というやつだった。

いつもの授業とは違って教科書を進めていくのではなくて、
各科目ごとに独自の授業になるらしい。

それぞれ人数が決まっているので
第三希望までを書くようにと言われた。

音楽と体育と社会。

第三希望までを書くと、
それを覗きこんだ友だちが言った。

音楽ダメで体育って、なんかずるいなー。

友だちが言わんとすることはなんとなくわかった。
体育は人気があるから定員オーバーになる可能性がある。
でももし体育で欠員が出た場合、第二希望のほうにオファーが来るのではないか、という感じだ。
体育を第一希望にして落ちた場合、すんなり第二希望になりそうな気がすると。

そういう思惑も多少はあったのだけど、
ぼくはただ音楽と体育と社会が好きだった。
果たしてその思惑の効果はあったのかわからないけれど、
第一希望通り、ぼくの選択授業は音楽になった。

音楽を選択していたのは、ほとんど女子だった。
割合でいうと、8対2か、9対1に近いくらいだ。

授業は、普段やらない邦楽の合唱とか楽器演奏とかそういうやつだった気がする。
それは、毎回やたらと盛り上がった。

体育や社会で何をやっていたのか知らないけれど
どれであっても、きっと楽しかったんじゃないか。

新聞を読んだあと、スポーツを観て、ギターを弾いたりする。

今のぼくが好きなことは、
あのとき選んでいたことと同じだ。

人が選んでいることって、
そういう無意識の中にあるんだと思う。

その無意識は「心地よくあるすべ」を知っている。

何かを選ぶということを
難しく考えることはない。

答えはどっちでもよいのだし、
どっちでも心地よくあれる。

それが遠回りでもあっても、
結局は、そうなのだ。

と、ぼくはギターを片手にこれを書いてる。

そういえば、書くことも好きだったなと思いながら。

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