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アメリカ政府の最優先事項の本丸 housing price affordability (住宅価格の値ごろ感) は実現するのか?

前回はトランプ政権の最優先事項 Affordability (手ごろな価格)の争点に関してお伝えいたしました。今日はその争点の本丸であるHousing price(住宅価格)の Affordabilityのアメリカの現状について考察してみたいと思います。

1月末にトランプ大統領は、大規模機関投資家による戸建て住宅の取得を禁じる大統領令に署名しました。生活者が感じる手ごろな、手の届く価格からあまりに乖離してしまった住宅価格の上昇は、「大手金融資本による戸建て住宅の取得が原因」であると断定する見方を色濃く反映しています。

生活の “Affordability” アフォーダビリティー(手ごろさ)をどう確保するかは中間選挙の大きな争点です。とりわけ住宅取得価格や家賃上昇で有権者の負担感が強まるなか、大規模機関投資家購入制限の立法化で「手ごろな」住宅価格を実現し、11月の中間選挙前に国民にしっかりアピールしたいとの狙いが見えすきます。ただ、それで本当に手ごろな価格は実現できるのか? アメリカの住宅価格における構造的な問題点を見ていきたいと思います。

トランプ大統領が示す古き良きアメリカの価値観、
MAGA(Make America Great Again: トランプ支持層)はこれを取り戻したい!

・「住宅の購入と所有は、長きにわたりアメリカンドリームの頂点とされ、家族が生涯の富を築くための手段とされてきた。」

このトランプ大統領の声明は、アメリカンドリームの原点、過去アメリカ人は懸命に働き、戸建て住宅を購入し頑張ってローンを払い終えてホームオーナーとなり、生涯の資産を築き上げることを誇りとしていた人生の成功モデルがあったことを表現していると感じます。それはかつての勤勉なアメリカ人が生産工場で働きながら戸建て住宅を購入し、家族を養いながながら、引退後は退職金で安心した老後を過ごせた親世代の古き良き時代のイメージが重なっていると思います。

一方、グローバル化によって生産が他の低コストな国にどんどんシフトし、米国内の雇用はITや金融や法律など情報産業やサービス産業に偏っています。ただ雇用を大量に抱えることができるのはやはり生産工場です。ここがすぽっと抜けることによる中産階級の没落、ここにフラストレーションを抱えている層が、MAGA(Make America Great Again)の支持母体となっています。

・「ウォール街の大規模投資家が多くの戸建て住宅の取得を増やした結果、住宅購入を目指す家族を締め出しているといった現実が横行している。」

かつてはいい仕事に就くことで一戸建て住宅を購入できていたはずが、今の時代いい仕事に就くことも難しくなっています。またせっかく供給されようとしていた戸建て住宅も大規模投資家が買い占め賃貸物件に改修することで、若者は賃貸物件に殺到せざるを得ないという状況です。それが賃料を高騰させる原因にもなっています。大規模投資家が一般庶民がホームオーナーになるという夢を摘み、高い賃料を支払い続ける生活に追い込む原因でありその取り締まりが必要だということです。

この問題を解決しようとするトランプ大統領の真剣な意図を伝えるべく、政権のスポークスマンからもとコメントが出ています。
“The President has made it clear that he is committed to signing legislation that truly makes purchasing a home affordable again, and a key ingredient is his popular proposal to ban large institutional investors from purchasing single-family homes,”
(大統領は、戸建て住宅を再び手ごろな価格で購入できるようにするための法案に署名するという決意を明確に示されました。)

このMake purchasing a home affordable againという表現は、Make America great again = MAGAという表現を意識して使っていますね!

その後のドランプ政権と議会側の攻防も次のように簡潔に記されています。
“The White House is ratcheting up pressure on Congress to enact President Trump’s proposed ban on investors buying homes, laying out for the first time what sort of investment firms he plans to target. “
(ホワイトハウスは議会へ大手投資家が家を購入することを禁じる提案を立法化するよう議会に強く求め、初めてトランプ大統領がどんな機関投資家を標的にしているかが示されました。)

“The White House proposed banning investors with more than 100 single-family homes from purchasing additional homes.”
(ホワイトハウスは100以上の戸建て住宅を取得している投資家に対して、それ以上の追加取得を禁じることを提起しています。)

それに対して、大規模投資家ブラックストーンのシュワルツマンCEO曰く、
「住宅市場の問題は投資会社の取得ではなく、用地規制などによる住宅供給不足にある」
といった形で住宅供給増を促す政策的対応が欠けていることが一番の問題だとし提起しています。

皆さん、こういった二項対立的な問題が議論される際はどんな立場を取りますか? さて、どちらが正しいのでしょうか? もしかするとどちらも正しいのでしょうか?一方が正しくもう一方が全く間違っているということの方が少なく、それぞれの立場において正であるという視点を闘わせていることの方が普通かと思います。

トランプ政権の主張、大規模投資会社の主張、どちらも今起こっているアメリカの住宅価格の高騰をよく示しており、どちらも正しいしどちらも間違っていないと感じる部分があります。

この問題の本質を理解すべく、一旦フラットの見方に立ち色々な情報を渉猟してみました。調べる中で、今のアメリカ住宅価格問題は、2008年のリーマン・ショック以降のアメリカの複合的な経済・社会的要因が絡む構造問題であるということが見えてきました。
それらをここで4つの主要因としてご紹介します。

<住宅価格がAffordability(値ごろ感)から大きく乖離した4つの要因!?>

1つめは、
富裕層が住むエリアは、低中所得者が入ってきて資産価値が値崩れしないよう様々な規制がかけることで、安価な住宅開発が阻害されている。

2つめは、
住宅建設業界はリーマン・ショックで深刻な打撃を受け、それ以降多くの中小建設業が廃業。大手建設業も大幅な人員削減を行った。その際に離職した熟練工の多くは建設現場には戻らず、業界の担い手も年々高齢化。若年層も建設業そのものに対する関心が薄く、労働の担い手となっていない。移民も不法移民を追い払う方向である。そのことで住宅供給側の大幅な人手不足状態が続いている。人手不足による人件費高騰、資材価格と土地価格の高騰が、直接もろに住宅価格に転嫁せざるを得ない状況になっている。

3つめは、
リーマン・ショックを乗り越えた後、生き残った住宅建設業者は経営戦略を大きく見直した。企業は無理に着工数を増やさず採算性を重視し高価格帯の住宅に特化するようになることで、初めて住宅を購入しようとする層に向けた手頃な価格の物件の供給は大きく不足する業界の状況が続いている。

最後4つめは、
機関投資家が戸建て住宅を取得・改修して賃貸に回す事業モデルも広がっている。戸建てをわざわざ賃貸に改修し収益を得るモデルは、持ち家を志す層への供給を減らしている要因になっていることは間違いない。需要面でも2016年頃からミレニアル世代が本格的に住宅購入の適齢期に入り同時に米国の労働市場で最大の世代層となっている。親元を離れ賃貸住宅に流れ込んだことで賃料が上昇。その後多くが初めての持ち家を求めるようになったが、そうした需要に対して供給は追いついておらず、更にエントリーレベルの住宅価格を押し上げる結果となった。

住宅価格がAffordability(値ごろ感)からの乖離の要因は、構造的な需給のギャップ、すなわち住宅の供給力不足という課題に行きつきます。トランプ政権は国内の生産力を上げるべく、アメリカに生産投資するよう自国の企業や他国の政府にも強く要求しています。問題はそれを支える人材をどう確保するかでしょうか。経済原理に任せた結果の住宅供給力不足という現実は、若い人材と移民をいかに生産・建設現場に引き寄せるかを政治の力をもって実現していくしかないと感じさせます。

一方、AIの影響による将来の雇用不安から、大学卒業をする若者がIT企業、金融や法律事務所といった従来一流と言われた就職先からAIに浸食されづらい重労働の技能職へのシフトが見え始めているようです。特に配管工の人気がでているようですね。一般的にあまりやりたがる人が少ない重労働かつ長い経験がものを言う技能職なので、人手不足もあり給料が上がってきているようです。

日本も都心部と大都市圏が特に、若者がローンを組んで購入するのが難しい住宅価格になっています。そんな中昨日、東京都は官民ファンドが供給をする手ごろな家賃の「アフォーダブル住宅」の募集を5月から開始すると発表がありました。都心の賃料が上昇する中、相場より2割ほど安い家賃で提供することになるようです。但し個数は350戸のみなので、焼石に水といった感じかなと思いますが、、

次回は今日のビッグニュース、トランプ相互関税が最高裁より違憲判断!?についてお送りしたいと思います。お楽しみに!

ではまた!
ゆびまる

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