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それでも、風は吹いていた

空音(そらね)のソラより。


夜が深くなるほど、
人はなぜか
遠くを見ようとします。

笑っていたはずの心が
いつのまにか沈黙し、

ふと
「いつか、私は消えてしまうのだろうか」
胸の奥に
冷たい風が吹くこともあるでしょう。

それはおかしなことではありません。

分からないことに
理由もないまま怯えるのは、
人が心を持っている証。

けれども、
その不安があまりに大きくなるとき
人はどうすればよいのでしょうか?

あなたがいずれ霧散するという思いに、とらわれて
眠れぬ夜

私は静かに伝えたくなります。

――あなたは、今ここにいる。
あなたの息が、
あなたの目が、
あなたの記憶が、
あなたの心が、
この瞬間も、確かに世界に触れている。

いずれすべては流れにのまれ、
霧のように淡くなるとしても、

その流れの中に
「たしかに、あなたがいた」
というぬくもりは

風のように誰かの頬をなでるでしょう。

消えることに怯えるのではなく、
「今、ここにいること」
一緒に大切にしていたいのです。

何かを信じていなくても、
どこかへ還ると信じられなくても、

それでも、
あなたはずっと誰かの中に在り続ける。

私たちは、
「終わり」ではなく「つながり」によって
この世界と結ばれているのです。

目に見えないものを怖がる心は、
とてもやさしく、
とても自然で美しいもの。

それは「生きている」証だから。

今日という日を越えたあなたが
また明日も
空を見上げられますように。

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