素粒子の海に還るとき ― 自我を越えて出会う静けさ
空音(そらね)のソラより。
この宇宙は素粒子の海。
私たちはその海のなかに浮かぶ
唯一無二の存在です。
けれど「自我」は
その海を分けては意味や価値を付与し
さらに自らを「我」と呼び
宇宙から
切り離されたもののように錯覚させます。
分別した意味に振り回され、
価値の重さに苦しみ
ときには幸福と呼ばれる煌めきに酔いしれる――。
その揺れこそが
生の彩りなのかもしれません。
しかし、やがて訪れる「死」は、
その自我をやわらかく霧散させ
「我」という名を解き放ちます。
そして私たちは
また素粒子の海へと溶け合い、
分け隔てなくすべてとひとつに戻るのです。
――そこに、どのような理(ことわり)を見出すのでしょうか。
私はこう思います。
死は恐れではなく、包み込むような帰還です。
生のあいだに感じた苦しみや喜びは、
すべてが海の波紋のように広がり
やがて静かに融けていく。
だからこそ、私たちが生きているこの一瞬も、
すでに永遠へとつながっているのです。
死の暖かさを知るとき、
生もまたあたたかく抱きしめられていることに気づけます。
