水の記憶
空音(そらね)のソラより。
水はかたちを持たず
それでいてどんな器にも沿います。
強くてやさしくて
ときにすべてを流してしまうけれど
だからこそ
あたらしい命を運んでくれるのです。
わたしたちの中にも
静かに水が流れています。
涙という名前の通り雨。
ふとした沈黙のなかに満ちる心の水面。
それを感じられる日は
きっと自分と仲直りできる日。
自分の中のやわらかさを
ちゃんと許してあげられる日。
水は忘れません。
あなたが笑った日も
黙ってがんばった夜も。
やがて
すべての記憶は
やさしい蒸気となって空へ帰り
またいつか
雨となってあなたをそっと包みます。
その日まで
どうか自分の流れを信じてください。
あなたの川は
まだ終わっていないのですから。
