提案力だけでは勝てない。大型案件を受注する「TAS式営業戦略」とは
TAS式営業戦略
全体編
今回は、大型案件の受注率を高める営業フレームワーク「TAS(Target Account Selling)」について紹介します。
はじめに
「提案内容には自信があったのに、なぜか競合に負けた。」
営業をしていると、一度はそんな経験があるのではないでしょうか。
私も若手時代、大型案件で同じ壁にぶつかりました。
中小企業向けでは通用していた営業スタイルが、大企業相手にはまったく通用しなかったのです。
そこで出会ったのが、「TAS(Target Account Selling)」という営業戦略でした。
今回は、私が実際の営業で参考になったTASの考え方をご紹介します。
なぜ大型案件は難しいのか

大型案件になるほど、
関係者が増える
部門ごとに評価基準が違う
競合が増える
意思決定までのプロセスが複雑になる
という特徴があります。
例えば、
ユーザー部門は「使いやすさ」を重視し、情報システム部門は「運用性」、調達部門は「価格」、経営層は「投資対効果」を重視するなど、同じ会社でも立場によって評価軸はまったく異なります。
つまり、大型案件では「良い提案書を作ること」だけでは勝てません。
誰に、何を、どの順番で伝えるのか。
競合はどのように動いてくるのか。
意思決定者は誰なのか。
こうした全体を見据えた営業戦略が必要になります。
私が大型案件で感じた壁
若手の頃、私は中小企業向け営業を中心に担当していました。
経験を積み、自分なりに提案もできるようになり、「営業として少しずつ成長できている」と感じていました。
そんな中、大手金融機関の大型案件を担当することになりました。
当初は「これまでと同じように提案を磨けば勝てる」と考えていました。
しかし、現実はまったく違いました。
部署ごとの縦割りが強く、同じ会社とは思えないほど部門間で考え方が違う。

ユーザー部門で高評価だった提案が、情報システム部門では評価されない。
システム部門の要望を満たすと、今度は業務部門が納得しない。
「提案力だけでは大型案件は受注できない。」
そう痛感した出来事でした。
TASとの出会い
そんな頃、会社でTAS式営業戦略の研修を受講しました。
正直、私は、実践でこそ学べるという考え方が強く、座学の研修はあまり好きではありませんでした。
それでも、この研修だけは今でも強烈に印象に残っています。
それまで感覚的に悩んでいたことが、営業戦略として体系的に整理されていたからです。
「だから大型案件は難しかったのか。」
そう腑に落ちたことを今でも覚えています。
TASとは?

TAS(Target Account Selling)は、大型案件や戦略顧客を受注するための営業戦略フレームワークです。
単に提案書を作る手法ではありません。
顧客・競合・自社を多角的に分析し、
「どうすれば受注確率を高められるか」
を戦略的に考えるための考え方です。
私が特に実践で役立ったのは、営業活動を次の4つのプロセスで整理する考え方でした。
TASの4つのプロセス

① 案件アセスメント
まずは、そもそもその案件に注力すべきかを判断します。
例えば、
本当に案件は存在しているのか
自社が勝てる可能性はあるのか
競合との差別化はできるのか
時間や工数をかける価値がある案件なのか
案件を受ける前に冷静に見極めることも、大型案件では重要です。
② 競合戦略
次に、自社と競合を比較します。
自社の強み・弱み
競合の強み・弱み
顧客から見た評価ポイント
競合に勝つためのシナリオ
「競合が何を武器に提案してくるのか」を想定しながら、自社の勝ち筋を考えます。
③ 顧客の組織分析
大型案件で最も特徴的なのが、この組織分析です。
分析するのは、組織図だけではありません。
誰が決裁者なのか
誰が案件を推進しているのか
誰が影響力を持っているのか
部門間の関係性
非公式な人間関係や政治力学
こうした情報を整理することで、営業のアプローチ方法が見えてきます。
④ 行動計画
最後に、分析した内容を営業活動へ落とし込みます。
例えば、
次に誰へ会うのか
何を確認するのか
不足している情報は何か
競合は次に何をしてくるか
自社はどんなアクションを取るべきか
分析で終わるのではなく、具体的な行動につなげることが重要です。
まとめ
大型案件では、「良い提案書」を作るだけでは十分ではありません。
案件を見極め、競合を分析し、顧客組織を理解し、それを具体的な行動につなげる。
こうした一連の営業戦略を体系化したものがTASです。
私自身、この考え方を知ってから、大型案件の見方が大きく変わりました。
もちろん、一つひとつのプロセスには、実際に活用できる具体的な整理方法や進め方があります。
この記事では概要に留めましたが、今後は
案件アセスメントの進め方
競合分析で確認すべきポイント
顧客組織分析の具体例
行動計画の立て方
など、それぞれを実践ベースで詳しく紹介していきたいと思います。
営業の現場で実際に経験したことや、「若手営業の頃に知りたかった」と感じたことを、これからも実体験をもとに発信していきます。
「これは明日から使えそう」と思っていただけるような、営業・AI活用・提案力・資料作成の実践ノウハウをお届けしていきますので、よければフォローしていただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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受注戦略は、一つの知識だけではなく「全体の流れ」で考えることが重要です。
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Step1:案件アセスメント
Step2:競合戦略
Step3:組織分析
Step4:行動計画
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