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不正請求で6700万円返還命令――就労支援施設の指定取消から学ぶ教訓

2024年7月、京都市が発表した「エミ・クラフト」(就労継続支援B型)の指定取消処分。

運営法人である株式会社ZEROが、管理者・サービス管理責任者を適切に配置せずに給付費を不正請求し、約6700万円の返還を命じられました。

今回はその背景と、障害福祉事業者が見落としがちな「制度運用の落とし穴」について、行政書士の視点から考えてみたいと思います。

始まりは「虚偽の指定申請」

問題の発端は、2023年8月の事業所指定時にさかのぼります。

ZERO社は、実際には勤務予定のない外部の人物を“管理者兼サービス管理責任者”として申請。

これは明確な「虚偽申請」に該当します。

本来、指定申請は「事業開始時点で適切な人員体制が整っていること」が前提。

形だけの名義借りや見込み配置は、法的には非常にリスクの高い行為です。

不正は「申請段階」から始まっていた

多くの不正請求事例は、「加算ルールの誤解」や「人員基準の途中崩れ」など、運営中の不備に起因することが一般的です。

しかし、今回のように“指定時から不適正”というケースは、悪質性が高いと見なされやすく、より重い処分(指定取消)に直結します。

「不正の意図はなかった」では通らない理由

ZEROは「管理責任は認めるが、不正の意図はなかった」と主張しています。

ですが、障害福祉制度における給付費は「法令・基準を満たして初めて支払われる」ものです。

制度に反した体制で給付を受けていれば、意図の有無にかかわらず“不正請求”とされ、返還・加算命令・指定取消の対象になります。

つまり、「知らなかった」「悪意はなかった」は、言い訳になりません。

影響を受けるのは、事業者だけではない

エミ・クラフトには36人の利用者が在籍していました。

指定取消後、事業者が他施設へのあっせんを進めているとのことですが、障害のある利用者にとって、生活の場・働く場の突然の変更は大きな負担です。

また、職員にとっても雇用の不安や社会的信用の失墜を招きます。

行政書士が伝えたい「3つの予防策」

  1. 指定申請時の体制を“見込み”で済ませない
    「予定者」や「協力者」ではなく、実際に稼働できる人材を前提に申請を。

  2. 定期的に「人員配置チェック」を行う
    退職・異動・産休等で、基準を下回っていないかを見直しましょう。

  3. 運営責任者が制度を正しく理解する
    外部任せではなく、経営者自身が制度のルールと責任を把握することが不可欠です。

制度に“穴”を開けない運営こそが、信頼の第一歩

障害福祉サービスは、「制度」と「現場」が両輪で成り立っています。

どちらか一方に偏っても、持続可能な運営は実現しません。

今回のような事案を他山の石とし、制度の原則に立ち返った体制整備を今こそ進めていただきたいと思います。

経営や指定要件に不安がある方は、早めに専門家にご相談ください。

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