民法(担保物権)(11)根抵当権と登記

 根抵当権も不動産物権の一つであるから登記をしなければ第三者に対抗できないことはいうまでもなく、民法177条の適用を受けることは当然です。登記する事項は不動産登記法に詳しく、抵当権とは違いますね。その違いの中でも、特に注意すべきは、根抵当権の場合、登記する事項によっては、登記をしなければ効力を生じない、つまり登記をもって効力発生要件であるとしている事項がたくさんあるということです。これについては、どれが効力発生要件でどれがそうでないかということを闇雲に覚えるのではなく、なぜ効力発生要件とするのか、その共通的趣旨を理解するのが大事なような気がします。


第398条の4【根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更】
① 元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
② 前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
③ 第1項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

 3項をみると、被担保債権の範囲の変更や債務者の変更は、元本確定前は登記をすることによって効力を生ずると規定しています。対抗力を生じずるというだけであるのならば、登記をしなくてもそれは第三者に対抗できないだけで、当事者間では有効だということになりますが、効力発生要件ではそうではない。

 被担保債権の範囲の方を例に考えてみると、結局、根抵当権の特殊性から導かれるということです。根抵当権では、極度額という箱の中で常に被担保債権が成立しては消滅するということを繰り返します。そうだとすると、普通の抵当権なんかより多くの利害関係人が登場するわけだし、権利関係というものがずっと複雑になると思います。そうだとすれば、登記を単なる対抗要件として、ある者との関係では被担保債権の変更を認め、ある者との関係では認めないという状態にしては法律関係が大変複雑化して好ましくないといえます。そこで、そのような状態を巻き起こしかねない登記事項については登記がなければ一切効力を生じないとしたわけです。これは、被担保債権の範囲の変更や債務者の変更だけでなく、確定期日の変更もそうであるし、他にもあります。それら諸点については、以下に各論的に話しますが、この登記が効力発生要件であるということは基本のような気がしますね。

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