民法(担保物権)(14)根抵当権の変更②
前回は根抵当権における債権の範囲の変更、債務者の変更について話したので、今回は確定期日の変更、極度額の変更について話します。
【確定期日の変更】
根抵当権の元本確定前、債権の範囲、債務者、極度額、確定期日の変更は、その登記が対抗要件ではなく効力発生要件になるのは、先に話したとおり、法律関係の複雑、紛糾化を避けるためです。そこで確定期日の変更ですが、根抵当権における確定期日とは何か。これは、箱の中で生成消滅する被担保債権がその流動性を失い、その時点において箱の中に入っている債権だけが担保されることになることです。根抵当権者と設定者は、合意で確定期日を定め、変更でき、後順位抵当権者やその他の第三者の承諾なくして、自由に確定期日を定め、変更することができます。
このような確定期日については、あらかじめ定めておくこともできます。後で変更することもできます。確定期日を定めるときは、最長でも5年という期間制限があります。債務者に対する長い期間の拘束は不当な結果を招く可能性があるからだとされています。
確定時期を定めていなかった場合は、根抵当権設定者は根抵当権設定後3年経つと確定請求をすることができます。それに対して、根抵当権者はいつでも確定請求できます。以下の条文に記載されているとおりです。
第398条の6【根抵当権の元本確定期日の定め】
① 根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
② 第398条の4第2項の規定は、前項の場合について準用する。
③ 第1項の期日は、これを定め又は変更した日から5年以内でなければならない。
④ 第1項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。
第398条の19【根抵当権の元本の確定請求】
① 根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定する。
② 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
③ 前2項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。
【極度額の変更】
今まで話した債権の範囲、債務者、確定期日の変更については第三者、利害関係人の承諾が不要です。設定者と根抵当権者の二人で自由にできる。なぜ、第三者、利害関係人の承諾不要なのか。債権の範囲、債務者の変更に関しては、箱の大きさ自体が変わらないのだから利害関係人が生じることはないのでよく分かるのですが、しかし、確定期日の変更については、私的には微妙な感じがしました。確定したら、確定の時期によっては箱の大きさがそれぞれ異なって来ると思ったからです。しかし、それは間接的なものであって直接的な利害関係はないということで承諾は不要としているようです。
しかし、極度額の変更は違います。極度額の変更というのは、入り口の形状や大きさを変えるわけではなく、箱自体の大きさをかえるわけですからね。そうだとすれば、後順位抵当権者や転抵当権者等利害関係人の承諾が必要になってきます。
第398条の5【根抵当権の極度額の変更】
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
なお、これは後でも話しますが、根抵当権の確定前にできること確定後じゃないとできないことという論点があります。先走りしますが、この極度額の変更は確定前だけじゃなくて確定後もできます。確定後にできるとはどういう意味か。例えば、1000万円に被担保債権が確定したら、それで終わりで極度額というものは意味を失するのではないかと思ったのですが、結局、普通の抵当権であっても債権額の増額ということはできるわけなのだから、根抵当権が確定して普通の抵当権化したからといって否定する必要はないということだけです。また、根抵当権の場合、普通の抵当権のように利息が最後の2年分に限定されるというしばりがありません。利息や損害金がどんどん膨らむ場合もあるので、既設定の極度額に手を加える現実的必要性もあります。
