「○○したい」は、望みから遠くなる
「合格したい」
「ボートレーサーになりたい」
「1着を取りたい」
そう口にする志願者や選手を、この14年間で何人も見てきました。
そしてダイエットをしている人も、仕事で結果を出したい人も、みんな同じように言います。
「痩せたい」「成功したい」「変わりたい」と。
その言葉を聞くたびに、私は心の中で少し心配になります。
なぜなら、「○○したい」という言葉を使い続けている人の多くが、なかなか望みに近づけないからです。
「したい」は、希望だ。
「したい」という言葉の正体は、希望です。
「そうなったらいいなぁ」という、どこかふわっとした願望。
希望を持つことは悪いことじゃない。
でも、希望のままでいる限り、それは現実になりにくい。
なぜかというと、希望はリアルじゃないからです。
「合格したい」と言っている人の頭の中に、合格した自分のリアルな映像はありますか?
合格発表の瞬間、どんな表情をしているか。
誰に最初に電話するか。
その日の夜、何を食べるか。
そこまで具体的に描けていますか?
描けていない人がほとんどです。
「したい」は、まだ自分の外側にある話です。
どこか他人事のように、自分ではない誰かの話のように、無意識に距離を置いている。だから現実にならないんです。
言葉を変えると、身体が変わる。
私がサポートしてきた志願者の中で、本当に合格していった人たちの言葉には、ある共通点がありました。
「合格します」「なります」「やります」
「したい」じゃなくて、「する」という言葉を使っていたんです。
これは単なる言い回しの話じゃありません。
「する」と口にした瞬間、脳はその状態を現実として処理し始めます。
「したい」は未来の話。「する」は、今ここからの話。
その違いが、日々の行動を変えていきます。
言葉は、思考の入れ物です。
どんな言葉を使うかで、思考の質が変わる。
思考が変わると、行動が変わる。
行動が変わると、現実が変わっていきます。
リアルに描けているか。
もうひとつ大事なことがあります。
なりたい状態を、どれだけリアルに想像できているか。
「痩せたい」じゃなくて、何kgになって、どんな服を着て、誰にどう見られているか。「合格したい」じゃなくて、養成所の門をくぐる瞬間、どんな気持ちで立っているか。
「1着を取りたい」じゃなくて、ターンを回って最初に抜け出した瞬間、身体にどんな感覚があるか。
そこまで具体的に、五感を使って描けている人は、強いです。
身体がすでにその状態を知っているから、そこへ向かって動き出せる。
漠然とした希望は、漠然とした行動しか生みません。
それを体現した選手がいる。
今サポートしている羽野直也選手が、B1に昇格した頃、食事をしながらこう言っていました。
「記念(G1)で走っているイメージはあります」
「したい」じゃなかった。
「あります」という言葉でした。
すでに自分の中にある、という話し方でした。
そしてその後、本当にG1の舞台に立ちました。
あの言葉を聞いたとき、羽野選手は本物だと思いました。
リアルに描けている人の言葉は、希望じゃなくて、すでに現実の一部になっている。そういうことだと思っています。
今日から、言葉を変えてみてください。
「したい」を「する」に変える。たったそれだけです。
合格したい、じゃなくて、合格する。
痩せたい、じゃなくて、この体重になる。
変わりたい、じゃなくて、変わる。
最初は違和感があるかもしれません。
でも、その違和感こそが、今の自分と理想の自分との距離です。
その距離を縮めていくのが、言葉の力だと思っています。
望みを、希望のままにしておかないでください。
辻洋介 | プロを創った「身体の本質」
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