毎年ちゃんと出していたのに5年間で18万円損していた年末調整の話
この記事は実際の相談をもとにしています。個人が特定されないよう、年齢・職業・金額などの一部を編集しています。
この記事を読めばわかること
会社員が年末調整で見落としやすい控除の種類
過去5年分まで遡って取り戻せる仕組み
手取りを増やすために今年中に動くべきこと
まじめに出し続けていた、それでも損していた
毎年11月になると、会社から用紙が届く。扶養の人数を書いて、保険の証明書を貼って、判子を押して提出する。それで終わり、のはずだった。
Sさん(42歳・製造業・年収620万円)は、そういう人でした。妻はパート収入103万円以内で扶養内。子どもは中学生と小学生の2人。会社員として20年近く、毎年きちんと年末調整を提出してきた、という自信がありました。
相談のきっかけは「老後の準備を始めたい」という話でした。でも最初に家計を整理していて、私は別のことが気になりました。
私が最初に感じた引っかかり
Sさんから見せてもらった源泉徴収票を見たとき、「社会保険料等の金額」の横にある控除の欄が少ないと感じました。iDeCoに加入していると聞いていたからです。
「iDeCoの掛け金、年末調整で申告していますか?」と聞くと、Sさんは少し考えてから「小規模企業共済等掛金控除、ですよね。書いた記憶が……ないかもしれません」と言いました。
生命保険料控除の欄も確認すると、申告していたのは会社の団体保険だけで、個人で契約している医療保険の証明書を出していないことがわかりました。
あなたの年末調整にも、似たような見落としはありませんか。
Sさんと一緒に確認した3つの控除
① iDeCoの掛け金控除(小規模企業共済等掛金控除)
Sさんは月1.2万円をiDeCoで積み立てていました。年間で14.4万円です。この全額が所得から引けます。年収620万円のSさんの所得税率は20%ですから、毎年約2.9万円、税金が少なくなるはずでした。申告していなかったため、5年間で約14.4万円分が損になっていました。
② 生命保険料控除(個人契約分の証明書)
個人で契約していた医療保険の年間保険料は約8万円でした。新契約の生命保険料控除の上限は所得税で4万円(住民税で2.8万円)です。申告していれば所得税で年間約8,000円、住民税でも年間約5,600円が軽くなります。こちらも5年分の申告漏れがありました。
③ 地震保険料控除
持ち家のSさんは火災保険に地震保険を付けていました。地震保険料控除は所得税で年間最大5万円、住民税で最大2.5万円が控除されます。証明書を毎年捨てていたため、こちらも申告していませんでした。
過去5年分は、取り戻せます
Sさんに伝えたのは「損していた分は、今からでも取り戻せる可能性がある」ということです。税法では、過去の申告漏れは法定申告期限から5年以内であれば「更正の請求」という手続きで取り戻せます。
3つの控除を合算して試算すると、5年分の還付見込み額は約18万円になりました。ただし還付される金額は実際に支払った源泉徴収税額の範囲内になるため、正確な金額は税務署での計算が必要です。
Sさんは「毎年ちゃんと出していたのに、こんなに差が出るんですか」と言いました。正確には「ちゃんと出していたが、すべてを出せていなかった」です。用紙に書く項目が多いうえに、証明書を貼り忘れると申告できません。
まじめにやっている人ほど、「出したから大丈夫」と確認をやめてしまう、というのが相談でよく見るパターンです。
ただし、5年という期限があります
更正の請求ができるのは、法定申告期限から5年以内です。2026年に動けば、2021年分までは遡れます。2022年分は、2027年3月15日が期限になります。
会社員の場合、勤め先が年末調整をしているため確定申告の義務がなく、この手続きを知らない方が多いです。「知っている人だけが毎年得をしている」という構造になっています。
今年の年末調整で確認すべきこと
iDeCo・小規模企業共済に加入していれば証明書を出す
個人契約の生命保険・医療保険・個人年金の証明書をすべて出す
地震保険に加入していれば証明書を出す
配偶者の年収が150万円以下なら配偶者特別控除も確認する
この4点は、証明書さえ出せば会社の年末調整で処理できます。証明書は10〜11月に保険会社から届きますが、毎年捨ててしまっている方は再発行を依頼するか、マイページからダウンロードできる場合があります。
Sさんは後日、「5年分の手続きをしたら、思ったより早く戻ってきました」と連絡をくれました。「もっと早く知りたかったです」という言葉が、少し刺さりました。
手取りが変わると、毎月積み立てられる金額も変わります。Sさんのケースでは年間3〜4万円の手取りが増えたため、そのままiDeCoの積立額を増やすことにしました。
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