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【グリーフケア】「終わりのない喪失」を抱えるあなたへ【連載10回シリーズ第6回】

【第6回】「この人は誰?」穏やかだった親が変わってしまう ~ 人格の変化がもたらす深い悲しみ(BPSDとグリーフ) ~


「私の財布を盗んだでしょ!」と
   泥棒扱いされる

今まで聞いたこともないような
汚い言葉で罵られる

夜中に家を飛び出そうとして
止めると暴力を振るわれる

認知症の介護において
最もご家族の心を削り
深い悲しみに突き落とす瞬間

それは 物忘れそのものではなく
こうした「BPSD(行動・心理症状)」と呼ばれる
変化が現れた時ではないでしょうか

「あんなに穏やかだった母が
   鬼のような形相で私を睨みつける」

「しっかり者だった父が
   理屈の通じない子供のようになってしまった」

目の前にいるのは確かに親なのに
中身は全くの別人に入れ替わってしまったような恐怖

それは 言葉にしがたい強烈な「喪失体験」でもあります


【病気が言わせている言葉】


BPSDによる言動は
介護者を深く傷つけます

いくら頭では「病気のせいだ」と分かっていても
最愛の親から否定され
攻撃されれば 心は血を流します。

「私が悪いからこんなことを言うの?」
「もう介護なんて投げ出したい」

そう感じて 罪悪感や怒りに震える夜もあるでしょう

ここで大切なグリーフケアの視点は
あなたが傷ついているのは
   それだけ以前の親御さんを愛し
   尊敬していたからだ

と気づくことです

「以前のあの人」はもういない
   という現実を突きつけられるからこそ
   悲しいのです

BPSDと向き合うことは
毎日「小さなお別れ」を
繰り返しているようなものです

心が疲弊してしまうのは当然のことなのです

まず ご自身のその深い悲しみと衝撃を
否定せずに受け止めてあげてください


【「人格」と「病気」を切り離す】


BPSDの嵐の中で心を守るためには
意識的に「人格」と「病気」を切り離す訓練が必要です

暴言を吐いているのは
あなたのお母さんやお父さんではありません

脳の機能障害という「病気」が
彼らの口を借りて言わせているだけです

「これはお母さんの言葉じゃない BPSDの症状だ」

そう心の中で線を引くことで
言葉の刃があなたの心の奥深くまで刺さるのを
少しだけ防ぐことができます


【あなたの心を守る盾を持って】


とはいえ これは
言うほど簡単なことではありません

傷ついて当然ですし 怒って当然です

そんな時は どうか一人で抱え込まず
私たち相談員や 同じ経験を持つ仲間に
その辛さを吐き出してください

「あの症状は辛いよね」
「あなたは悪くないよ」と
   共感してもらうことが
   何よりの心の回復につながります

あなたは 最前線で
未知の病と闘っている勇者です

どうか ご自身の心を守る
盾を持つことを忘れないでください


【今週のセルフケア・ワーク】

辛い言葉を投げかけられた時
心を守る「イメージの盾」を作りましょう

「透明なバリアの視覚化」

  1. 親御さんが興奮して暴言などを言い始めた時
    深呼吸を一度します

  2. あなたと親御さんの間に
    頑丈で透明なガラスの壁(バリア)が
    あるところを想像してください

  3. 相手の言葉は そのガラスの壁に当たって跳ね返り
    あなたには届きません
    「向こう側で 病気が騒いでいるな」と
    少し離れた場所から観察するような気持ちで
    眺めてみてください


【次回予告】


第7回は 来週の月曜日に投稿予定です

テーマは「非言語コミュニケーション

言葉が通じなくなっていく中で
どうすれば心を通わせることができるのか

触れること 視線を合わせることなど
言葉を超えたつながりについてお話しします


あなたの介護と人生が タンポポの綿毛のように
軽やかに 遠くまで飛んでいって
新たな花を咲かせますように💛  ひな

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