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hananosu
僕の
ゆっくりと僕の乗った舟は進む。
行き先は決まってない。ここは暗いけど、向こう側がちょっとだけ明るいから少しずつ舟を漕ぐ。
僕の舟はカラスの巣みたいだ。いろんなものでできている。うれしい、楽しい、悲しい、悔しい。
全部、僕の宝物。
集めていたら、舟の上に屋根までできた。
他の人は、とっくの昔にいなくなったよ。
僕の湖に魚はいない。僕の舟には出口がない。
僕の舟は、僕の寄る辺で、家で、宝物で、檻で。
時間のない世界で舟を漕ぐ。
あっちは少しだけ明るいから。
僕はいつからここにいるんだろう。
時々でいいから、思い出してよ。
私は昔、一人称が「僕」でした。
社会に馴染むために「僕」を閉じ込めました。
ゆっくりと時間をかけて私は今の私になったけど、あの頃の僕はどこに行ったんだろう。
なんの話をしてたんですっけ?
▼「シロクマ文芸部」さんの企画に参加しました。
お題は「ゆっくりと」から始まる文章。
