妖怪ゆみん婆 2026年夏一人旅の独り言 第1章:妖怪ゆみん婆の神、マックスパス4
ある夏の夜。
暗闇の住宅街の中、笑みを浮かべながら軽快に歩く女がいた。
首から下げたスマートフォンで足元で引きずるバッグを撮影しながら。
毎年干支に化けた姿を自撮りし、その画像を年賀状に貼り付け、
知人友人に送り付ける奇行を27年も続けながら、
孤独を愛し、
孤独に生き、
今年の夏休みも一人旅で終えた中年馬婆。
その名を
”妖怪ゆみん婆“ という。
キャリアを重ねても、
30歳ぐらいからほぼ手取りが増加しないことで有名な職業で
この世の仮の姿として生活している。
節約のためと称し、
お茶っ葉をけちって白湯を飲み、
電気代をケチってアイスノンを背中にしょって過ごす
妖怪である。
1)妖怪の旅決意
そんな妖怪ゆみん婆。
2026年の学会開催地を見た。
「高松か。この前の香川はコロナで現地開催なくなったし、
その後に行った四国旅行の心残りはうまいうどんを食べられなかったこと。
ちょっと遠いけど、“現地行き”だな」
そう考えた。
そして、Google マップを少し引きで確認して思った。
いつか行きたいと思っていた岡山の備前焼の店、
足を踏み入れたことがない淡路島。
この時、目的地が一本の線で結ばれた。
「そうだ、周遊旅行で夏休み一人旅をしよう。」
そう思ったのは2026年開けて早々のことだった。
2)妖怪の旅企画
夏休み。
7日ぐらいのスケジュール。
さすがにバックパックじゃ厳しい。
妖怪ゆみん婆はふと。
部屋の隅に置いてあるキャリーケースに目をやった。
「いつ買ったんだっけ?」
調べてみたら、8年前だった。
旅先で衝動買いしたレジェンドウォーカー。
その前に所有していた物と比べれば
タイヤの転がりはいいし、
デザインはいいし、
値段安いし、
それなりにお気に入りだった。
2020年3月の
半世紀 記念海外ツアー用に新調した
7日用のキャリーケースも
レジェンドウォーカーにしたほどだった。
(買ったきり国内の海しか渡っていないキャリーケース)
しかし、この時代のキャリーケース。
タイヤの静音性がいまいちだった。
早朝深夜の住宅街を転がすには、
どうも音が気になって持ち上げて歩くことがあった。
そして、
キャスターストッパーがない
これが問題だった。
移動中の電車ではいつも苦労した。
新幹線の座席の前に置いているのに、通路へ転がっていったこともある。
妖怪なのに、人を呪う以外の妖術を使えない妖怪ゆみん婆は、
おのれの筋肉を駆使してキャスターの転がりを防ぐしかなかった。
部屋に鎮座する、青いレジェンドウォーカーを眺める
妖怪ゆみん婆に
妖怪消費娘が妖術をかけた。
「新しいキャリーケースで旅しましょうよ」
妖怪ゆみん婆はすぐにこの妖術にかかってしまった。
早速新しいキャリーケース選びに取り掛かる。
条件は
1)1,2泊サイズ(機内持ち込み)
2)静音キャスター
3)キャスターストッパー付き
3)AI妖怪の合唱
嘘つき妖怪Gemini、おさぼり妖怪Copilot、上級詐欺妖怪ChatGPTを招集し
3つの条件を提示してた。
世界中を駆け巡らせた。
やつらは口をそろえて言った。
“ACE、プロテカ、マックスパスにしろ”
と。
妖怪だけを信じてはいけない。
人間のバイヤーの意見も聞いてみよう。
動く画像でたくさんのキャリーケースを紹介している人間をたくさん見た。
ここでもマックスパスの評判はよかったが、
もう少しお手頃価格の製品を紹介していた。
妖怪ゆみん婆は、白湯とアイスノン生活貧乏妖怪である。
要するに、ケチである。
万越えの買い物に失敗はしたくない。
妖怪なのに妖術力がないので、
2次元情報だけで3次元情報を脳内再生して体感できる妖術がない。
ので、
実店舗を回った。
実店舗でどこにどのような製品があるかを確認し、
3つの条件がそろった製品を検索し、
そして毎度出てくるこの画像を眺めているうちに。

青の妖魔に侵されていった。
「この青がきれい、このフォルムがきれい。これが欲しい」
4)妖怪の買い物
丸の内に行った。
プロテカ他、著名なキャリーケースを置いている店舗を回った。
プロテカ マックスパス4 はいろいろなところにあった。
魅力的だった。
けど、高い。
他のおすすめも見る。
ほしい機能があるものはあった。
しかし、
この時、青の妖魔に侵されていたゆみん婆には
魅力的に映らなかった。
東京駅一番街で
ACEのお店を見つけた。(迷子の結果)
マックスパス4を見た。
ここの店員のお姉さんは、
妖怪にも優しく、根気強く接客してくれた。
プロテカはすべてに、静音キャスターとキャスターロックが付いている。
ポケットは、キャリーケースにさほど必要ではない。
女性は特にサブバッグを持つ。
マックスパス4の深さが、新幹線の座席前に置いたとき邪魔ではないか。
マックスパス4以外のおすすめをたくさん見せてもらった。
軽量重視のもの、
棚に持ち上げるのに便利な設計のものなど。
さんざん説明を聞き、触り、悩み、比較し、
妖怪ゆみん婆は決めた。
マックスパス4の
ブリックオレンジ。

茶葉をケチって白湯を飲み、エアコン代をケチって保冷剤を背負う婆が、
一括で新しいスーツケースを手に入れた。
会計の瞬間、妖術が解ける音がした。
その音は ”QUICPay” と鳴った。
5)妖術が解けた妖怪
その週末、妖怪ゆみん婆のもとにマックスパス4が届いた。
魔術から解放された妖怪ゆみん婆には、不安しかなかった。
「本当にこんな高いの買っちまってよかったのか?」
4泊の荷物はいるのか?
最大級の圧縮袋がないと収まらないんじゃ?
サブのボストンバッグないと無理らしいぞ
静音キャスターは別の物の方が優秀らしいじゃん
もっと、安いものでよかったんじゃないか?
手元に届いてからも、ネット検索をする日々。
旅の2か月前に荷造りして確認したり
家の中やバルコニーを転がしたり。
とりあえず、予定の荷物が入ることは分かった。
荷造りは終了した。
37Lのレジェンドウォーカーには入りきらなかった荷物が
40Lのマックスパスには余裕で入った。
ポケットに
紙書類、IPAD、筆記用具、眼鏡
ポケット裏のケース内
夏用のスーツ
反対側の収納に
パンプス、寝巻、3日分の着替え、化粧品
6)実演妖怪
財布とスマホが入る程度のバッグを肩にかけ、大きな水筒をキャリーバッグに引っ掛けて、
いざ出発。
朝の4時半。
玄関の段差。意外と重く感じない。
まあ、ほとんど衣服である。
マンションのエントランスを引いていく。
音はする。
けれど、躊躇して持ち上げるほどではない。
公道に出る。
駅までのアスファルト。
音はするけれど、住宅街に鳴り響くというほどではない。
車の走る音より、断然静かだった。
妖怪ゆみん婆はガッツポーズをしながら駅に向かった。
歩道と車道の段差
引っかかってバッグがよろめき倒れそうになる。
なんてことがない。
コツをつかんだ。
キャリーケースを引きずるように斜めにして2輪走行させるのではなく
4輪走行のまま軽く押せばよいのである。
段差の時だけ、多少サポートすればよい。
在来線の電車の中。
ベンチシートに座り、キャリーケースを目の前に置く。
キャスターロックをかける。
動かない。
カーブの連続が有名な私鉄路線、
カーブを通過しても
ブレーキをかけても、
キャリーケースは妖怪ゆみん婆の前から離れない。
まるで、妖怪ゆみん婆が新しい妖術、「私のもとを離れない妖」でも使えるようになったようだ。
今まで、キャリーケースの底に足を入れ、
持ち手をがっちり握って、
電車が揺れるたびに筋肉全開ストップ運動をし、
新幹線に乗り込んだころには乳酸が溜まっていた
あれは、何だったのだろうか?
うわ~っと
妖怪ゆみん婆の瞳が潤った。
新幹線。
新幹線に乗り込むには持ち上げなければならない。
さほど重さを感じない(まあ、衣服が主だから)
指定席に座り、
自分の前にキャリーケースを置く。
妖怪ゆみん婆はやや小柄な妖怪のため背もたれから
膝までが57センチあればよい。
さほど窮屈ではない。
マックスパス4の高さは低めなので、
前の人が座席を倒しても、
倒れてくる座席背面に引っかからない。
テーブルを出しても、高さが引っかからない。
快適。
岡山から倉敷への在来線は立っての移動
キャスターストッパーをかけたら、
キャリーケースから手を離して外の景色を眺めたり、
スマホを見たりしても大丈夫。
ストッパーがないと、常に腕に力を入れ、電車の揺れに気を使う。
本当に疲れ知らずの移動である。
倉敷駅から宿まで
翌日の高松駅から宿まで
歩いて15分から20分の距離。
快適すぎるので、ゆみん婆は転がしながら歩いた。
(バスに乗るのに、持ち上げるほうがしんどい)
目的地へ向かうというより、相棒の実力を見せびらかしている気分だった。
高松を離れるときは、
スーツケースの中に酒瓶2本とうどんがたんまり、
パンフレットなどの重いものがずっしり入っていた。
服をサブバッグに入れてキャリーケースの上に括り付けていたのに、
それでも変わらず快適に転がった。
楽しいのなんのって。
重くなっているはずなのに、妖怪ゆみん婆の心だけは妙に軽かった。
7)神と歩く妖怪
妖怪ゆみん婆の旅の終わりは
リムジンバスの終点からタクシーで帰宅。
旅の最後の贅沢として。
ところが今回の妖怪ゆみん婆は、
最寄り駅まで乗り換えて
マックスパス4 と 徒歩で帰宅した。
お土産などは宅配したので、
荷物はさほど重くなかったという理由もあるが。
何より、マックスパス4を転がすのが楽しかったのである。
夜の住宅街の中を、
妖怪の姿をさらしながら
妖怪ゆみん婆はマックスパス4を”神”と崇めた。
次回予告
お歳暮・お中元文化は否定するのに、お土産を送り付けるのはやめられない妖怪ゆみん婆。そして、コミュ障のゆみん婆が一人旅で悩むこととは。
第2回:妖怪ゆみん婆の悩み、食とお土産
