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吸っていたのではない、吸わされていた|私がタバコをやめた日と、脳科学が教えてくれたこと

吸っていたのではない、吸わされていた|20年の喫煙を辞めた日

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若い頃、友達の家で初めてタバコを吸った。

最初の一本は咳き込んで、全然美味しくなかった。
それでも吸った。
理由はただ一つ。カッコつけたかった。大人ぶりたかった。

そこから20年。
セブンスター、1日1箱。

朝起きて、コーヒーを淹れて、火をつける。
脂っこい食事を食べ終わった瞬間、コーヒーと一緒に火をつける。
ビールを飲んでいる時、焼き肉の途中、ラーメンを食べた後。
仕事で苛立った時、緊張が解けた時、気分転換が必要な時。

吸う理由は、毎回違うはずだった。
でも、結局いつも吸っていた。
脳がニコチンを欲していた。それだけだった。

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25歳の頃、一度辞めたことがある。

『禁煙セラピー』という有名な本を読んだ。
読み終えた瞬間、「確かにこれ美味しくない」と感じて、その日から吸わなくなった。
1年くらい続いた。

でも、仕事で仲良くしていた人たちが、みんな喫煙者だった。
喫煙所で雑談する時間が、彼らとの距離を縮める時間だった。
ある日、1本もらった。
「1本だけだから」と思った。

次の日、また1本。
気づいたら、コンビニで自分でセブンスターを買っていた。

「別にいっか。タバコ吸おう」
そう思っていた。

辞めようとも、考えなくなった。

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本当に辞めたのは、それから10年以上経ってからだ。

きっかけは、『7つの習慣』を読んだことだった。

その中に、「主体的であれ」という言葉がある。
最初に読んだ時、この一言で立ち止まった。

主体的とは、自動思考で動くのではなく、立ち止まって、自分で次の行動を選ぶこと。

ここで、自分が20年間やってきたことを振り返ってみた。

朝起きて、火をつける。
食事を終えて、火をつける。
ニコチンが切れて、火をつける。

これは、自分で選んで吸っていたのか?
違う。
脳が「ドーパミンを出したい」と命令して、それに従わされていただけだ。

つまり、吸っていたのではない。
吸わされていた。

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タバコを吸うと、脳の中で「快楽物質」と呼ばれるドーパミンが大量に出る。
これが「気持ちいい」という感覚を生む。

問題はその先だ。

ニコチンによってドーパミンが何度も強制的に放出されると、脳は「これは過剰だ」と判断し、ドーパミンを受け取る側の数を減らしていく。
結果、ニコチンがないとドーパミンが感じられない脳になる。

さらに、ニコチンはドーパミンだけでなく、気分の安定、覚醒、集中に関わる他の脳内物質の分泌にも干渉する。
これらは本来、脳が自分で作り出しているものだ。
だが喫煙者の脳は、これらの分泌をニコチンに依存し、自分で作る能力を下げていく。

つまり、タバコを吸うほど、脳は「ニコチンがないと正常に動けない脳」になる。
吸っていない時間は、感情も、集中も、覚醒も、すべて低下する。

そして、ニコチンが切れた瞬間、イライラ、頭痛、倦怠感、集中力の低下が起こる。
これを「タバコを吸えば消える不快感」だと感じる。
吸えば「楽になった」と思う。

だが、それは嘘の楽しさだ。
本来の脳の状態に、ようやくマイナスからゼロに戻っただけ。
プラスではない。
タバコを吸わない人が常時感じている「普通の状態」に、一瞬戻っているだけだ。

それを「リラックス」と錯覚していた。

「失楽園仮説」という考え方がある。
喫煙者は、ニコチンが本来あるべき脳の幸せ状態を奪っていることに気づかない。
本来であれば食後に出るはずのドーパミンが出にくくなっているのに、喫煙者は「タバコを吸って食後の幸せが訪れた」と感じる。
実際はタバコが食事の楽しみを奪っていたのに、それを取り戻したと錯覚していた。

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しかも、自分が肺に流し込んでいたものを、当時はちゃんと見ていなかった。

タバコの煙には、約4000種類の化学物質が含まれている。
そのうち、約200種類が有害物質。
約60種類が、発がん性物質。

ニコチンは、元々は殺虫剤として使われていた毒だ。
タールは肺を黒く染め、ヒ素は猛毒、ホルムアルデヒドは防腐剤、ベンゼンは血液をむしばむ。
一酸化炭素は、赤血球から酸素を奪う。

これを、20年間、毎日20回、自動的に肺に流し込んでいた。
殺虫剤と発がん性物質を、自分でお金を払って、自分の体に入れていた。
吸わされていることに、気づきもせずに。

「美味しい」と感じていた。
本当は、毒の味がしていただけだった。

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吸っている人のほとんどが、こう思っている。
「いざとなったら、自分はやめられる」と。

20年前の自分も、そう思っていた。
「俺はいつでも辞められる」
そう言いながら、毎日20本吸い続けていた。

だが、データは残酷だ。

国立がん研究センターによれば、自力で禁煙に挑戦して、1年以上続けられる人はわずか1〜3%だという。
100人挑戦して、辞められるのは1人か2人か3人。
残りの97人以上は、また吸い始める。

「いつでも辞められる」と思っている人の、ほぼ全員が、辞められない。
20年前の自分も、その97人の中にいた。

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喫煙者は、自分の「集中力」を信じている。
「タバコを吸うと頭が冴える」と。

これも錯覚だ。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究では、中高年の喫煙者は言語、視覚、記憶、空間認知のすべてで非喫煙者より低かった。
アメリカの若者を比べた研究では、喫煙者は吸えない時間に記憶力が落ち、気分が沈むことが確認されている。

さらに、1日11〜40本を吸い続けると、20年後の認知症発症率は1.4倍。
1日41本以上なら2.1倍になる。
喫煙は脳を萎縮させることもわかっている。

タバコは、脳の能力そのものを壊しながら、「タバコを吸えば集中できる」と錯覚させる装置だ。
吸う前の状態より、吸った後の方が脳機能は下がっている。

吸っている時間、能力は下がっている。
吸っていない時間も、ニコチンが切れているせいで集中できない。
つまり、起きている時間のすべてで、本来の能力を発揮できていない。

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タバコのコストの話になると、よくお金で計算される。
1日1箱、年間20万円。50年で1000万円。

だが、本当に向き合うべきはお金じゃない。
時間だ。

喫煙所に行く時間。
タバコを吸う時間。
ライターを探す時間。
コンビニで買う時間。

これだけでも、1日1時間以上は失っている。
1年で365時間。50年で18000時間。

問題はそれだけじゃない。
喫煙者である限り、ニコチンに脳の機能を奪われ続ける。
集中力、判断力、記憶力、覚醒度。
吸わない時間は、脳が「マイナスからゼロ」へと回復するために消耗している。

つまり、起きている時間のすべてで、脳の能力が下がっている状態だ。

何者でもない人間が、何かを成し遂げたいと願う人間が、この足枷を背負って戦うのか。

タバコは、時間とお金を奪うだけじゃない。
能力そのものを下げる装置だ。
50年間、その装置を自分の頭に取り付けて生きていく。

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この一文だけ覚えてください

「タバコを吸っているんじゃない。脳に毒を吸わされているだけだ。」

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辞めた瞬間のことを、よく覚えている。

『7つの習慣』を読んだ後、「主体的に選ぶ」と決めた。
吸いたくなった瞬間、立ち止まる。
そして、自分に聞く。
「これは自分が選んでいるのか?それとも脳の自動操縦か?」

答えは明確だった。
全部、自動操縦だった。

そこから一切吸わなかった。
辛さは、思っていたよりずっと少なかった。
「自分で選んでいる」という感覚があったからだ。

そして1週間ほど経った頃、何かが変わった。
頭の中にずっとかかっていた靄が、消えた。
霧が晴れたような感覚だった。

それまでは「これが普通」だと思っていた。
だが、靄が消えてから気づいた。
20年間、自分はずっと霧の中にいた。

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辞めた後、何度か「吸いたい」という感覚は襲ってきた。
飲み会、ストレス、誰かが吸っているのを見た時。
脳が「1本だけなら」とささやく瞬間がある。

その時、いつも自分に言い聞かせた言葉がある。

「今この1本を吸ったら、明日からもずっと吸い続けることになる。」

これは認知行動療法で使われる考え方だ。
吸いたい瞬間、目の前の1本の重みを「未来の50年分」に変える。
1本の魔法ではない。50年の鎖が始まる第一歩だ。

実際、自力で禁煙しようとして失敗する人の多くは、「1本だけ」で完全に戻ってしまう。
脳のドーパミン受容体は、たった1本のニコチンで、依存の回路を再起動する。
1年禁煙していても、1本で20年に戻る可能性が高い。
これは脳の構造上、避けられない反応だ。

だから、吸いたくなった時、唱える。

「今この1本を吸ったら、明日からもずっと吸い続けることになる。」

これだけでいい。

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今、何か繰り返している習慣があるなら、一つ問いかけてみてください。

「これは、自分が選んでいるのか?」

朝のSNSチェック、コンビニのスナック、夜のお酒、寝る前の動画。
気づいたらやっている行動を一つ思い浮かべて、そう問うてみる。
それだけでいい。

答えが「いや、自動で動いている」だった時、初めて主体性が動き出す。
そこから、選ぶか、選ばないかは、自分が決める。

「自分で選ぶ」というたった一つの感覚が、20年の依存を断ち切った。

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タバコを吸っていた頃の自分は、24歳の頃に出会った別の本に救われていた。
その話は、こちらに書いた。

▼ 借金、家賃滞納、強制退去|24歳の私を変えた、1冊の本との出会い


そして、20年間タバコに「吸わされていた」私を救った、もう一つの脳の真実がある。
100年の知の系譜と現代の脳科学を統合した、引き寄せの法則の決定版だ。

▼ 24歳の私を救った『ザ・シークレット』の正体|脳科学で読み解く、引き寄せの法則の真実


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あなたの幸福を願う。起こせ、パラダイムシフト。






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