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【オトナになることのうた】斉藤和義 その1●大人になってからのラブソング「ずっと好きだった」

2月に入り、プロ野球はキャンプイン。佐藤輝明選手の契約更改も無事に終わってね(だろうと思ってた)。
そしてWBCは来月です。生で観れる見込み極低だけど。

ところで……来日公演でのレディー・ガガが、アメリカでのICE(アメリカ移民・関税執行局)の横暴を非難したり。

ブルース・スプリングスティーンは、ミネアポリスでのシリアスな状況を新曲に込めて告発したり。気になります。

「ストリーツ・オブ・ミネアポリス」。ものすごいビデオです。

本当にひどい現実。心が痛みます。
しかしこの映像で苦み走った顔をして唄っているのに、歌メロやキーボードがメジャーコードなのが、またすごい。

そういえば「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」からちょうど30年なんですね。

そうだ。期日前投票に行かないと。

さて、今回からは斉藤和義について書きます。
ここで彼を取り上げることにしたきっかけについては、おそらく次回述べると思います。いずれにしても、いつか書くつもりでいたアーティストでした。

「ずっと好きだった」も【 #年齢のうた


斉藤和義のことは、ここの前身である【 #年齢のうた 】で一度取り上げている。
その時に書いた楽曲は「アゲハ」。2000年にリリースされたシングル曲で、今となっては彼のキャリアの初期……いや、中期か? ビクターに移籍したあとである。

フォーキーな味わいのある「アゲハ」は名曲だと思う。


この時に取り上げたのはこの1曲で済ませてしまったが、彼が唄った【 #年齢のうた 】はほかにも存在する。

何と言っても見逃せないのは、ご存知、「ずっと好きだった」。

2010年春のリリースだから、そろそろ16年前。そんなに経っている事実に驚く。
同窓会で再会した女性への長年の恋心を唄ったこの曲は、<この町を歩けば 蘇る16才>という唄い出しを持つ。つまり青春時代を回想している。
この時の斉藤は43歳。

アルバムとしては、この年の『ARE YOU READY?』に収録されている。


何といっても、間違いなく大人の年齢でのラブソングである。
当時ヒットしたので、覚えている人も多いだろう。

斉藤が歌詞に年齢を入れた曲は、これ以外にもある。
やや番外気味だが、2004年の「I’M YOUR MAN」という曲。ブルージーなこの歌には<十歳の頃から>という歌詞がある。

ただしこれは、これ以前に彼が懇意にしていたロバート・クワインへの追悼の意味合いが強いだろう。クワインはリチャード・ヘル&ザ・ヴォイドスのギタリストで、楽曲そのものはリチャードが書いたもの。斉藤のテイクの日本語詞は、彼自身の訳によるものだ。歌詞自体に、斉藤個人の深い意味はないと言える。

もうひとつピックアップしたいのは、「2020 DIARY」。こちらは2021年のアルバム『55 STONES』に先駆けて、2020年の暮れにシングル・リリースされた。

2020年のドキュメンタリーのような楽曲で、つまりコロナ禍での感情を唄ったものだ。斉藤は時にこうしたタイプの曲を書く。
歌の最初のほうに<音が出た時の感動は まるで13才の頃のよう>という歌詞が出てくる。純真無垢な気持ちで初めてギターを弾いた頃のことを思い起こしているのだ。この時の斉藤は54歳。


斉藤の【 #年齢のうた 】はこれ以外にもあるかもしれないが、差し当たって行き着いたのはこのぐらいである。

さて、それよりも僕が書いていきたのは、そう、彼による【 #オトナになることのうた 】である。
実は斉藤和義には大人になることに関する歌がずいぶんと多い。僕がこの【 #オトナになることのうた 】の題材を考えている際に、最初の頃に忌野清志郎や山下達郎、松崎ナオといった人の曲が思い浮かんだものだが、斉藤のことも頭の片隅にあった。

老いた者の内面を唄った「老人の歌」


斉藤の【 #オトナになることのうた 】をどう取り上げていこうか考えたが、とりあえずはリリース順に、初期から追っていくことにする。その時々で当時のことを思い出しての話も書くかもしれない。

まずは2作目のアルバム『素敵な匂いの世界』(1994年)から、「神様 お願い!」。

この歌には<君も大人だし わかるだろ?/ないものはない 返せない>、それから<君も大人だろ? 昔の事と/水に流しちまえよ>というフレーズがある。
お金の貸し借りの話が続いて、最終的には夜逃げの準備ができている、という歌。

こうしたユーモアと、それから自分の身近なことをテーマにしている気配があるのが、いかにも初期の楽曲らしいところだ。この歌では<大人>という言い方を都合よく使っている。それに強い思いは感じられないが。
この時期の彼は吉祥寺に住んでいて、当時の恋愛から着想した曲も多いはずである。
同じアルバムに入っているラブソング「君の顔が好きだ」は、リリース当時から僕のフェイバリットソングだ。調べてみたら、テレ東の『モグラネグラ』という番組のテーマ曲だったようなので、そこで初めて耳にしたのだと思う。

そして続いて発表された4枚目のシングル「歩いて帰ろう」により、斉藤和義はこの頃の自分にとって重要なアーティストになった。これは『ポンキッキーズ』のオープニング曲でもあって、よく聴いた。


当時の斉藤はファンハウス(のちにBMGファンハウス)の所属で、僕自身が知り合うことができたこのレーベルの方々のおかげで、その頃の彼のライヴを観たり、インタビューできたりしたものだ。

さて、この時期、ちょっと気になる曲が残されている。アルバム『FIRE DOG』(1996年)の中の「老人の歌」である。


アルバム自体はギターサウンドが炸裂する、ロックな斉藤和義が炸裂した出来だが、その後半に置かれた「老人の歌」にはちょっと異質な印象を受ける。
当時はそこまで意識しなかったが、今聴き直すと、プライマル・スクリームの「ローデッド」を連想するほどのサイケデリックなサウンドである。


斉藤は「老人の歌」で、加齢をしてきた者の心の内と、その底に残る、どこか青い、まだ若さすら見える感覚を唄っている。彼なりに、年老いた人間のことを想像しながら書いたということか。

この時の斉藤和義、29歳。早くからブルース好きのシンガーソングライターというイメージはあっただけに、老人のことを唄うことはそう意外ではない。
ただ、加齢、歳を重ねていくこと……つまり大人になっていくことへの意識は、この頃から斉藤の中に、強めにあったのではないかと、僕は思う。
それはこの後、顕著になっていくからだ。

<斉藤和義 その2 に続く>



西五軒町の中華蕎麦きみのあーるにて
中華蕎麦・醤油、1000円。
スッキリ上品な味わいは
神楽坂下にあった先代のきみのを継ぎながら
進化させた感があります

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