【ショートショート】クリスマスがなくなればうますぎやろがい!!
12月。
オレはこの月になるとむしゃくしゃする。
なぜならヤツがいるせいで、12月生まれのオレが損をした気分になるからだ。
誕生会やプレゼントはだいたい一緒にされるし、逆に必要以上の出費を強いられる。
なんでこんな仕打ちを受けなければならないのか!
オレが12月に生まれたいと願ったわけではないのに!
そこでオレは、あの日からちょうど100日前から近くの神社へお百度参りを始めた。
ヤツがいなくなることを、そしてヤツに代わる別の何かが生まれることを。
そして迎えた12月。
いつもならヤツに関係するものが町中にあふれかえっているはずが、今年はどこにも見当たらない。
コンビニに立ち寄ると、
「え~『ひょっとこ・おかめ祭』に使用するひょっとことおかめのお面はいかがですか~?」
店員さんが全員、
男は、「ひょっとこ」
女は、「おかめ」
それぞれお面をしながらお客さんに声をかけていた。
神様に通じた!?
オレはこころ中で小躍りした。
その一方で、
『ひょっとこ・おかめ祭』!?
おかめは「福を招く神様」、ひょっとこは「火を守る神様」または「竈神」ということで、二人合わせて家庭円満の神様として扱われることがあります。

よく分からない祭りに代わったようだ。
それからあまり気にせずに過ごしていたのだが、街には「ひょっとこ」や「おかめ」のお面をした人々が日を追うごとに増えてきていた。
オレはだんだんと気味が悪くなってきた。
と、その時スマホが鳴った。会員になっているスポーツジムからだった。
「もしもし、あのー、今日ひょっとこのお面していませんでしたか?他の会員様からクレームが来まして。利用規約どおりに施設を利用できない場合は強制退会させていただくこともありますので、今後はお気をつけください!」
一方的に話すと、忙しいのかそのまま切られた。
なんかのいたずら電話か?
半信半疑でスポーツジムの専用アプリを開いて利用規約を読んだ。
「当施設ご利用の際には必ずひょっとこ又はおかめのお面を着用するようにお願いいたします。」
んなバカなことがあってたまるか!
どうなってんだ、こんな世の中望んでいない!
その日を境にオレは一歩も外に出なくなった。
とはいっても食べていけないのでネット注文しようとしたところ、どのサイトも必ず「ひょっとこ」「おかめ」という文字がついていた。
例えばこんな感じだ。
「ひょっとこカレー」「おかめコーヒー」「ひょっとこ・おかめ祭攻略本」「ひょっとこラーメン」「おかめチョコ」「ひょっとこ寿司」「おかめドラッグ」「hyottokozon」「OKAMEE!」・・・キリがない。
25日が迫るにつれて、ショッピングサイトでは、「ひょっとこ」と「おかめ」のお面だけが売られるようになり、価格競争激化により、あるサイトでは1円で販売しているほど異常な雰囲気に包まれていた。
オレは「ひょっとこ」「おかめ」という言葉と画像の見過ぎで精神状態が不安定になり、一日中布団をかぶって寝ることが多くなった。
そしてとうとう25日を迎えた朝。
オレはおそるおそる部屋の窓から外の景色をのぞいてみると、道に歩いている人々が全員「ひょっとこ」「おかめ」のお面をつけていた。
オレはこんな世の中望んでいない、オレはこんな世の中望んでいない、オレはこんな世の中望んでいない、オレはこんな世の中望んでいない・・・
なかば精神崩壊になっていたオレは、同じ言葉をなんども繰り返しながら布団の中にもぐった。
すると、
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴り、外から大きな声が聞こえた。
「スミマセン、警察ですが、どなたかいらっしゃいますか?」
警察?どういうこと?
そう思っていたのもつかの間。玄関の鍵がガチャリを開き、人が入ってきた。
「おはようございます。『ひょっとこおかめ法』はご存じですよね?あなたはその法律に違反しており、裁判所から逮捕令状が出ています。署までご同行願います。」
そういってその警察官は、被っていた布団をはいで強引にオレの腕を掴んだ。
「な、なんなんですか、その『ひょっとこおかめ法』ってやつは!そんなもんオレは知らんぞ!」
そう反論するも、複数の警察官に羽交い絞めにされ、外に連れ出されようとしていた。
「ま、待ってくれ!話せばわかる!オレがヤツがいなくなってくれと神様に願ったからこうなったんだ!頼むからオレの話を聞いてくれ!」
連行されていく中、オレはあまりのショックで気を失ってしまった・・・。
・・・ブーーーブーーー
スマホのバイブでオレは目を覚ました。
どうやら電車内で寝てしまっていたようだ。スマホの画面が5:23を示していた。
なんだ、夢か・・・。
安堵するとともにスマホの通知を開いた。
そこには生まれたばかりの赤ちゃんの写真が写っていた。
ああ、無事に生まれたのか。良かった。
里帰り出産のため実家に帰っていた妻の姉が出産に立ち会ってくれて、生まれた我が子の写真を送ってきてくれた。
それにしても12月25日に生まれたことで、オレの誕生日がますます存在感を失うな。そしてこの子も将来はオレのように恨むかもしれんな。
先ほどの悪夢のことなどすっかり忘れ、この世に生まれたばかりの我が子の写真を見た後、寝不足のためか二度寝し始めた。
(2,150文字)
今回のショートショートは以下のマガジンに収めています😌
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☀この記事はクロサキナオさんの企画参加記事です☀
#クロサキナオの2024WinterWonderland
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今月もクロサキナオさんの企画に参加いたしました。企画タイトルどおり「ワンダーランド」っぽく仕上がりました(笑)
自分は12月生まれ。
今回書いたショートショートのように恨んだりしませんが、世の中にはそんな方もいらっしゃるかと思います・・・。
最後のくだりの出産については、次女が生まれたときの実話です。
実際の誕生日は21日ですが、ショートショートでは話の流れ上、25日にしました。
里帰り出産中の妻から夜中0時ごろに陣痛が始まったと連絡を受けました。
しかし、電車が動き出すまで出られず、結局一睡もせず始発電車に乗り込みましたが、乗車早々に生まれたとの報告がありました。
立ち合いに間に合わず残念でしたが、元気な子を産んでくれた妻と生まれてきた次女に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
今月で誕生日を迎える父と娘。
毎年2人まとめて誕生日祝いをしてきましたが、今年はなぜか別々でやろうということになっています。謎です。
余談ですが、タイトルの一部にしている「うますぎやろがい‼️」は、このダンスから拝借しました。
物語とは関係性がなく、ただ使いたかっただけです(笑)
来月のイベントも参加します。
引き続きよろしくお願いします!
