ストーラーとかが「ジェンダー・アイデンティティ」の言葉を作ったのは何年?

gender identity(ジェンダー・アイデンティティ)」という言葉を作った/導入した年は、1963年または1964年と見るのが正確です。

1963年
ロバート・ストーラーとラルフ・グリーンソンが、ストックホルムの第23回国際精神分析学会でこの概念を提示したとされます。後年の整理では、「gender identity」は1963年にストーラーとグリーンソンの発表で初めて現れた、とされています。

1964年
ストーラーの論文 “A Contribution to the Study of Gender Identity” が International Journal of Psycho-Analysis に掲載されます。
ここでストーラーは、gender identity を「自分がどちらのセックス(生物学的性別)に属するかを知っている感覚」、つまり “I am a male” / “I am a female” という意識として説明しています。さらに、この語は Greenson と Stoller の共同討議の中で到達したものだと書いています。

一方で、ジョン・マネーが作ったのは主に “gender role” のほうです。これは1955年に印刷物で登場したとされます。Money/Hampson らは、インターセックス研究の文脈で、セックスの身体的要素と育てられた性別・役割を区別するために “gender role” を使いました。

大事なのは、ストーラーの “gender identity” は現代のクィア理論的な「自己申告アイデンティティ」そのものではなく、
かなり精神分析・臨床・セックス(生物学的性別)への帰属感の文脈で作られた言葉だった、という点です。

現代のクィア系トランスジェンダー概念は、“gender identity” という語を初期性科学・精神分析・医療の文脈から継承した。

しかし、その中身は、Stoller / Greenson 的な「自分がどちらのセックスに属するかという性別同一性」でも、
Money 的な「乳幼児期に男/女のどちらかへ定着する性別役割・性別同一性の門」でもない。

むしろ、自己申告、ジェンダー表現、社会的承認、制度的分類変更を可能にする、より広い政治的・法的カテゴリーへと再構成された。

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