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【現物給与評価#03】現物給与とは何ですか?

― 借上社宅の住宅評価を理解するための最初の一歩 ―


※本記事は現物給与評価Q&Aシリーズの一部です。
 
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【ご留意事項】
本記事は、借上社宅制度に関する一般的な情報提供および制度理解を目的として作成しています。記載内容は、一般的な制度上の考え方や実務上の整理を説明するものであり、特定の状況に対する税務・法務・労務上の判断、助言または保証を行うものではありません。
 
実際の運用にあたっては、会社ごとの制度設計・契約内容・運用実態等によって取扱いが異なる場合があります。個別案件については、必ず税理士、社会保険労務士、弁護士、または管轄の行政機関等へご確認・ご相談ください。
 
また、制度改正や行政解釈等により、将来的に取扱いが変更される可能性があります。最新情報については、国税庁・厚生労働省等の公表情報をご確認ください。
内容の正確性には十分配慮しておりますが、本記事に基づいて生じたいかなる損害等についても責任を負いかねます。



Q1. 現物給与とは何ですか?

現物給与とは、
現金ではなく、会社からモノやサービスの形で受ける経済的な利益を、
一定の場合に給与として評価する考え方です。

 
一般的に給与というと、
毎月銀行口座へ振り込まれる現金をイメージする方が多いでしょう。
 
しかし会社からは、
 ・住宅
 ・食事
 ・通勤定期券
 ・自社製品
など、
現金以外の形で利益を受けることもあります。
 
このような利益についても、社会保険では一定のルールに基づき
現物給与として取り扱われる場合があります。
 
つまり、
「現金だけが給与ではない」という考え方が現物給与制度の基本です。

なお、本シリーズでは、現物給与の中でも
借上社宅など住宅に関する現物給与評価を中心に解説します。
 
また、本記事でいう「現物給与」は制度や考え方そのものを指します。
後ほど登場する「現物給与価額」は、その利益を社会保険上どのような金額として評価するかという別の概念です。
この違いについては、第4回で詳しく解説します。


Q2. 現物給与にはどのようなものがありますか?

社会保険で現物給与の対象となるものには、代表的に次のようなものが
あります。
 ・住宅(借上社宅・社宅など)
 ・食事
 ・通勤定期券など一定の現物支給
 ・自社製品等を無償・低額で提供する場合
 
このうち、住宅は企業で導入される機会も多く、
現物給与評価について疑問を持たれることが少なくありません。
 
一方で、
現物給与だからといって、
すべて同じ方法で評価されるわけではありません。

 
例えば、
 ・住宅には住宅の評価方法
 ・食事には食事の評価方法
というように、
現物の種類ごとに評価方法が定められています。

そのため、
本シリーズで紹介する住宅の評価方法を、そのまま他の現物給与へ
当てはめることはできません。
 
つまり、本シリーズは現物給与全体ではなく、
「住宅の現物給与評価」を深く理解すること
を目的としています。


Q3. なぜ現物給与として評価するのでしょうか?

会社から住宅などの利益を受けている場合、従業員は実質的に経済的な
利益を得ています。
 
もし現金だけが給与となり、
住宅などの利益がまったく考慮されなければ、
 
例えば、
 ・現金のみで給与を受ける人
 ・現金は少ないものの住宅提供を受ける人
では、
社会保険上の取扱いに違いが生じることがあります。
 
そのため、
一定の現物による利益についても、社会保険では給与として評価する仕組みが設けられています。

これは、
 住宅だけを対象とした制度ではなく、
現物給与全体に共通する基本的な考え方です。
 
借上社宅も、この考え方に基づき、
住宅を利用する利益について一定の評価が行われる仕組みとなっています。


Q4. 借上社宅では何が現物給与になるのですか?

借上社宅では、
会社から住宅を利用できるという利益が現物給与として評価される場合が
あります。
 
ここで多くの方が誤解しやすいのが、
「会社が支払っている家賃=現物給与」ではない
という点です。
 
例えば、
会社が大家へ20万円の家賃を支払っている場合でも、
社会保険上の現物給与が必ず20万円になるわけではありません。
 
住宅の現物給与は、
定められた評価方法に基づいて算定される現物給与価額によって
評価されます。
 
そのため、
 ・実際の家賃
 ・従業員が負担する社宅使用料
 ・社会保険上の現物給与価額
は、
 
それぞれ異なる金額になることがあります。
借上社宅を理解するうえでは、
この3つの金額を区別して考えることが重要です。

本シリーズでは、次回以降、この3つの違いを順番に整理していきます。

[参考]実際の評価額がどのように決まるのか、最初の基準となる
            「住宅現物給与価額」もあわせて確認しておくと理解が深まります。
【Q&A:住宅現物給与価額とは何ですか?】
👥 住宅の評価額がどのように決まるのかを知りたい方


Q5. 税金と社会保険では同じ考え方ですか?

同じではありません。
 
借上社宅では、
所得税と社会保険は、それぞれ異なる制度として運用されています。
 
例えば、
所得税では、
社宅としての取扱いに関する考え方があります。
 
一方、
社会保険では、
現物給与として評価するための考え方があります。
 
そのため、
同じ借上社宅であっても、
税務上の考え方と社会保険上の評価方法が異なる場合があります。

なお、制度ごとに目的や評価方法が異なるため、
一方の考え方をそのまま他方へ当てはめることはできません。
 
本シリーズでは、
社会保険における住宅の現物給与評価を中心に解説し、必要に応じて税務
との違いにも触れていきます。


Q6. 実務で最初に理解しておきたいポイント

借上社宅の現物給与評価を学ぶ際には、
次の3点を最初に理解しておくことが重要です。
 
① 現物給与は「住宅」だけの制度ではない
住宅は現物給与の一例であり、
食事なども対象となる場合があります。

本シリーズでは、その中でも住宅に関する現物給与評価に焦点を当てて
解説します。
 
 
② 借上社宅では住宅を利用する利益が評価対象となる
実際の家賃ではなく、
社会保険上の評価方法によって現物給与価額が算定されます。
そのため、実際の家賃と現物給与価額が一致するとは限りません。
 
 
③ 「現物給与」と「現物給与価額」は異なる
現物給与は、現金以外の利益を給与として取り扱うという考え方や制度
指します。

一方、
現物給与価額は、その利益を社会保険上いくらとして評価するかを表す金額です。
この違いは、本シリーズで最も混同されやすいポイントの一つです。

[参考]現物給与の評価で最初に確認する基準となる「都道府県単価」の
               考え方もあわせて理解すると、制度全体がつながります。
【Q&A:都道府県単価とは何ですか?勝手に決められますか?】
👥 住宅の現物給与評価の基準を理解したい方


■ ポイント

現物給与とは、
現金ではなく、会社から提供される住宅や食事などの経済的な利益を、
社会保険上の基準に基づき給与として評価する考え方です。

 
借上社宅では、
会社が貸主へ支払う実際の家賃そのものではなく、住宅を利用する利益が
現物給与として評価される場合があります。

 
また、「現物給与」と「現物給与価額」は異なる概念です。
 
現物給与は現金以外の利益を給与として取り扱う考え方であり、
現物給与価額は、
その利益を社会保険上どのような金額として評価するかを示す評価額です。
 
借上社宅を理解するためには、
 ・実際の家賃
 ・従業員が負担する社宅使用料
 ・社会保険上の現物給与価額
 
という3つの金額の違いを整理して理解することが重要です。

[参考]住宅の現物給与評価は、「現物給与とは何か」を理解したうえで、                評価の流れや各評価項目を順番に学ぶと理解しやすくなります。
現物給与評価Q&Aシリーズ
👥 現物給与評価を体系的に学びたい方


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借上社宅制度の実務で迷いやすい疑問を、テーマ別に整理しています。
【借上社宅Q&Aシリーズまとめ|実務で迷う論点一覧】


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本記事は一般的な考え方を整理したものですが、
実務では会社ごとの状況に応じた判断が必要になるケースも
少なくありません。

現在は情報発信を中心としていますが、
今後は制度運用に関する実務上のコミュニケーションの場も
広げていければと考えています。

なお、記事テーマに関するご質問やご感想があれば、
コメント等でお寄せいただけますと、
今後の発信の参考にさせていただきます。


著者
Yoshihiko Tagawa|借上社宅制度の研究家

借上社宅制度について、制度運用や社宅管理の観点から
情報整理・発信を行っています。
毎月3000戸超の社宅運営に携わる中で、
借上社宅制度の運用面・管理面に関する情報整理を行ってきました。

本noteでは、借上社宅制度に関する一般的な仕組みや運用上の考え方を
情報整理を目的としてまとめています。
借上社宅制度にはメリットがある一方で、
運用方法や会社ごとの事情によって、税務・労務上の取り扱いが異なる場合があります。

中小企業の制度理解や運用整理に役立つ視点で発信しています。


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