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【伝わらない土木を変える#24】   高校の土木教育に、3D・4Dはどこまで入っているのか。

前回まで、工業高校の先生方からいただいたご意見をきっかけに、教科書『土木施工』との関係や、2級土木施工管理技術検定との接点について考えてきました。

さて、そんなことを調べているうちに、もっと根本的なことが気になってきました。

そもそも現在の工業高校の土木科では、3Dや4Dをどのくらい体験しているのでしょうか。

建設業界では、BIM/CIMやICT施工、点群といった言葉を頻繁に目にしますが、国土交通省の「i-Construction 2.0」を調べてみると、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、生産性を1.5倍にするという目標まで掲げられています。

一方、文部科学省も「DXハイスクール」などを通じて、高校でデジタル技術を活用した実践的な学びを後押ししています。

国交省と文科省では、当然ながら政策の目的は違います。
ただ、建設現場がデジタル化していく一方で、高校でもデジタルを活用する教育が進められている。

では、その間にいる「土木科の高校生」は、今どこにいるのだろう。
そこを知りたくなりました。

「土木科には3Dが導入されていないのでは・・・」は間違いだった

全国高等学校土木教育研究会の資料を見ると、全国には土木科、都市工学科、環境土木科など、およそ160の土木系の学校・課程があります。

その中で3Dがどのくらい使われているのか。

調べ始める前には、わたし自身、「まだそれほど入っていないのではないか」と想像していましたが、調べてみると少し違いました。

すでに3次元CADを使っている学校があります。点群を扱っている学校もあります。CIMやICT施工を体験している学校もあり、企業と連携して最新技術に触れている例も見つかりました。

「高校の土木科には、まだ3Dや4Dが入っていない」わけではなかったのです。

これは、今回調べてみて認識を改めたところです。
ただし、では全国の土木科で当たり前になっているのかというと、そこまでは分かりません。

AIを使って調べてはみたものの、「全国の土木系高校の何%が3DやCIMを授業で使っているのか」という公的な全国統計を見つけることができませんでした。

特に、3Dモデルに時間を加えて施工工程を見る「4D」を生徒が体験している事例は、公開情報を探した限りではかなり限られているようです。

「先進的な取り組みは、すでに始まっている。
でも、それを全国の高校生が体験しているわけでもなさそうだ」

今のところ、わたしたちはそんな現在地を想像しています。

建築科とは、少し事情が違う

ここで思い出したのが、わたしたちが長く関わってきた建築科です。
工業高校の建築科では、3Dマイホームデザイナーを使って住宅を設計する授業が以前から行われています。

メガソフトの導入事例を改めて見てみると、3Dに6時間、12時間、学校によっては50分授業を12回使っている例もありました。

建築の場合、生徒自身が間取りを考え、住宅を作り、3Dで確認する。その一連の作業そのものが学習になるので、3Dに何時間も使う意味があります。

しかし、土木施工でも同じように考えられるものなのでしょうか?
高校生全員が何時間もかけて巨大な土木構造物を一からモデリングしなければ、3Dを学んだことにならないのでしょうか。

ここは、建築とは違う使い方があってもよさそうです。

そして、PCのことも気になった

もう一つ調べていて気になったのが、ソフトを動かすPCです。

例えば、実務で使われているAutodesk Civil 3D 2026の公式動作環境を見ると、メモリは32GBが推奨されています。大規模な点群や3Dモデルを扱う場合には、さらに高性能なGPUなどが求められます。

https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/System-requirements-for-Autodesk-Civil-3D-2026.html

もちろん、だから「高校ではCIMができない」と言いたいわけではありませんし、実際に設備を整えて取り組んでいる学校もありますが、わたしが気になったのは「3Dや点群を「知る」ための最初の入口から、この環境が必要なのだろうか」ということです。

本格的なCIMを学びたい生徒は、その先で高度なソフトへ進めばいい。
でもその前に「3Dで施工を見るとはどういうことなのか」「点群ってこんなものなのか」を体験する段階があってもいいのではないでしょうか。

まず「体験する」だけなら?

ここからは、まだ妄想に近い話です(^^;

例えば、普段の『土木施工』の授業があります。
その授業の中で、先生が「今日は道路施工をやるよ」と教科書を開く。
そこで少しだけ3Dを使って、道路が出来上がっていく様子を見てみる。

点群について学ぶ日なら、実際の点群データを画面に表示して、ぐるっと回して見て、道路の上をウォークスルーして見てみる。

それだけでも「教科書に書いてあったのは、これのことか」という体験にはならないでしょうか。

高度なCIMソフトの操作を習得する授業ではありません。
3Dモデリングの技術を競う授業でもありません。

まず、触ってみる。見てみる。
そして教科書に戻る。

もしそれだけなら、何時間も必要ないかもしれません。

ひょっとすると「土木工事4Dムービーメーカー」を入口に、3D・4Dや点群、さらにその先にあるBIM/CIMや建設DXの世界を体験することが、普段の授業の1コマに入るのではないか。

そんなことを考え始めています。

もちろん、まだ実際の授業で試したわけではありません。
先生方から見れば「50分では無理ですよ」と言われるかもしれません。

だから次回は、この「妄想」をもう少し具体的にしてみようと思います。

仮に授業を50分として、教科書と3D、短い解説動画、施工ステップや点群体験を組み合わせたら、どんな授業になるのか。

「50分の授業で、4D施工はどこまで体験できる?」

次回は、そんな仮想授業を組み立ててみます。

参考資料

国土交通省「BIM/CIM」
https://www.mlit.go.jp/tec/tec_fr_000184.html

国土交通省「i-Construction 2.0」
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001344.html

文部科学省「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/shinko/mext_00024.html

全国高等学校土木教育研究会
https://nch2015.jp/

Autodesk「Civil 3D 2026 動作環境」
https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/System-requirements-for-Autodesk-Civil-3D-2026.html

メガソフト「3Dマイホームデザイナー 学校導入事例」

土木工事4Dムービーメーカー


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