息子のVEXロボコン世界大会@セントルイス----出場準備の今、父親として思うこと
息子が所属する VEXロボティクスチーム「Big Dippers」は、2026年1月31日の日本代表選考大会で、日本代表に選ばれました。そして4月、セントルイスで開かれる世界大会へ。あの日、私は単身駐在中のパリから一時帰国していて、会場でその瞬間を目の前で見届けることができました。しかも当日は息子の誕生日。本人の努力が報われた喜びと、親としての感慨が重なって、忘れられない一日になりました。

このnoteを書いている2026年3月15日現在、息子とチームは世界大会に向け、寝る間も惜しむ勢いで準備を進めています。ただ、「世界大会出場」という言葉だけを切り取ると、すべてが順風満帆に進んできたように見えるかもしれません。けれど実際は、喜びと同じくらい、いろいろな思いが胸の中を行き来しています。代表が決まった日から今までに感じたことを、忘れないうちにnoteに残しておこうと思います。
友人・知人の方はご存知の人も多いと思いますが、私は2013年から2021年まで、仕事の都合で東南アジアで暮らしていました。シンガポール(1年)、ベトナム(2年)、再びシンガポール(8ヶ月)、そして最後はタイ(3年10ヶ月)。国を転々とする生活に、家族も帯同してくれました。
「海外駐在・帯同」と聞くと、どうしても現地での華やかな一面が目に入りやすいと思います。でも、現実はむしろ苦労の連続でした。とくに子どもにとっては、文化の違い、言葉の壁、友達づくり等々、その一つひとつが大きな負担だったはずです。当時まだ小さかった息子は、日本にいた頃も含め、幼稚園の年少・年中・年長がすべて別々の園。小学校も海外の日本人学校とインターナショナルスクールを合わせて3校通うことになりました。環境が変わるたびに、息子なりに必死に適応していたのだと思います。
そんな息子のそばで、私はちゃんと家族を支えられていたのか?仕事は忙しく、海外経験の少なさもあって「成果を出さなければ」というプレッシャーのもと、目の前の息子の変化に十分に向き合えなかったと思います。私はスポーツが好きで、幼い頃にやっていた野球を息子にも……と心の中で願っていました。サッカーやテニス、水泳も勧めてみました。でも息子は、私の期待とは逆にスポーツが好きではなかった。こちらが強く勧めれば勧めるほど、息子はスポーツから離れ、いつの間にか私からも距離を取るようになっていきました。今振り返ると、環境適用だけでも大変だった息子に、何か興味や熱中するものを探せと強いるほうが無理があったと思います。
スポーツでなくても何か一つでも、夢中になれるものを見つけてほしい。そう願っていましたが、海外にいる間はなかなか見つかりませんでした。唯一、Nintendo Switchで遊んでいるときだけは、息子が生き生きしていたのを覚えています。それなのに、父親の私は「ゲームなんて」とどこかで線を引いて、息子と一緒に遊ぶこともしなかった。ゲームでもよかったのに、あの時間にもっと隣にいてあげればよかったと今でも少し、後悔しています。
そんな何にも興味や関心を示さなかった息子がVEXと出会ったきっかけは、私ではなく、妻の知人や息子の友人のつながりでした。このnoteを読んで「VEXって何?」と思う方も多いと思います。日本ではまだ知名度が高いとは言えませんが、世界70カ国以上で使われていて、世界最大のロボティクス競技会としてギネス世界記録も持つ、とても大きな競技です。息子がVEXに取り組み始めたのは日本帰国後ですが、シンガポールやタイにいた時のインター校には部活動として存在していたようです。
VEX Robotics
VEXの使命は、「今のこどもたちを明日の問題解決者として育成するため、教育者が利用する教材を作ること」です。ロボット工学を通してSTEM教育のあらゆる側面を包括し、こどもたちがロボットの構築とロボティクス競技会を通じて、難しい問題を仲間と協力し合って解くことがいかに楽しいかを学ぶ機会を作っています。
現在では、VEXは70カ国以上で使用されており、今も成長を続けています。また世界最大のロボティクス競技会としてギネス世界記録を保持しています。
VEXは、ただ「強いロボット」と「賢いプログラム」を作って性能を競うだけの競技ではありません。競技に臨むまでの準備(仮説と検証の繰り返し)、当日の戦略立案と実行、ドライビング操作、提携チームとの交渉(基本は英語)——それぞれが役割を背負い、チームとして力を束ねないと勝てない世界です。2024年に初めて試合を観戦したとき、その奥深さに、ただただ圧倒されました。

2024年12月、台湾で行われた大会に同行し、私は初めてVEXの試合を生で観戦しました。競技の奥深さにも驚きましたが、それ以上に胸を打たれたのは、息子が仲間と肩を並べて、本気で競技に向き合っていたことです。海外にいた頃はSwitch以外にほとんど興味を示さなかった息子が、私の知らないVEXという分野で、私の知らない表情を見せていた。自分の役割を理解し、全うしようとする姿もありました。「ここが自分の居場所なんだ」と息子が感じられているように見えて、親として救われる気持ちにもなりました。もちろん、その背景には妻の支えがあり、VEXを通じて良い指導者やチームメイトと出会えたことも大きかったのだと思います。
2025年、初めて世界大会@ダラスに挑みました。結果は、正直「世界の壁」を痛感するものだったと思います。けれど、その悔しさは息子やチームメイトにとって、新しい努力の火種になったようでした。そして今年、昨年に続き2回目の世界大会@セントルイスへの切符をつかみました。家族として、こんなに誇らしいことはありません。
では、父親として私は何ができるのだろう? 東南アジアでの約8年間の駐在を終えて日本に帰任してから、ずっと考えてきた問いです。
一つは、言葉で何かを促すのではなく、自分の背中を見せることです。「お父さんも頑張ってるな」と思ってもらえるように、私自身も何かに挑戦し続ける。「興味を持て」「熱中しろ」と言っても、うまくいかないどころか、むしろ逆効果だった。それは痛いほど経験しました。本当は、息子が好きなことに一緒に並走してあげたかったのですが、それもできなかった。せめて自分も頑張っている姿を見せて、何か一つでも伝わるものがあればいい。息子も大きくなれば何か感じることがあるだろうと思っています。
もう一つは、息子がようやく見つけた「熱中できるもの」を、今度こそ全力で応援することです。VEXにかかる資金面の支えだけでなく、親として頭を絞れば、まだできることがあるはずだと思っています。
そして今、息子のチームは自分たちの手でクラウドファンディングを立ち上げ、世界大会に挑もうとしています。正直、手作り感はありますが、その不器用さも含めて、彼らが「自分たちの力で前に進もう」としている証拠だと思っています。そこで今回のお願いになります。
VEX世界大会への挑戦を、いっしょに後押ししていただけませんか?
世界大会に行くには、渡航費・滞在費・現地移動・機材の整備など、大きな費用がかかります。チームとしてできる限り工夫し、家族も支えますが、それでもなお足りない部分があります。そこで、クラウドファンディングという形で、広く応援をお願いすることにしました。
ご支援:少額でも本当に大きな力になります。
シェア・拡散:リンクを共有いただくだけでも十分ありがたいです。
応援メッセージ:一言が、本人たちの背中を押します。
クラウドファンディングのページをご覧いただき、共感していただけた分だけで構いませんので、ご協力いただけたら嬉しいです。支援の有無にかかわらず、読んでくださったこと自体が、子どもたちにとって励みになります。
前述のように、VEXは日本ではまだまだ知られていないかもしれません。でも世界では、VEXを通じてSTEM教育が広がり、子どもたちの学びや挑戦を支えています。今回の息子たちの挑戦が、次の世代に「やってみよう」と思えるきっかけを少しでも増やし、将来の日本の子どもたちのSTEM教育にもつながっていく——そんな未来も願っています。だからこそ、この活動を続けていくためにも、応援いただけたらと思っています。
最後に。高校生の息子たちがこれほど真剣に挑戦している姿を見ていると、最近の自分はまだまだだな、と背筋が伸びます。息子に負けないように、私もいろいろなことに挑戦し続けたい。いくつ歳を重ねても、夢中になれるものを探し続けたい。そう改めて思いました。そして何より、息子たちが胸を張って世界に挑めるように、応援をいただけたら嬉しいです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
