【臨床評価×バイオメカニクス】膝蓋大腿痛患者の股関節機能不全 〜筋力低下と代償活動のメカニズム〜
今回は、前回に引き続き膝前面痛(膝蓋大腿痛)に関する研究を紹介します。
今回紹介する研究によると、膝に疼痛がある方とない方では股関節の機能に差があるようです。
どんな差なのでしょうか?
みていきましょう。
紹介する研究はこちら
タイトル
"Differences in Hip Kinematics, Muscle Strength, and Muscle Activation Between Subjects With and Without Patellofemoral Pain"
日本語訳
「膝蓋大腿痛のある被験者とない被験者における股関節の運動学、筋力、および筋活動の違い」
となります。
では要約です。
1.【研究目的】
膝蓋大腿痛(PFP)患者の股関節機能異常が、筋力や筋活動にどのような影響を及ぼしているかを調査すること。
2.【対象と方法】
対象:
PFP群(21名の女性)
健常コントロール群(20名の女性)
両群は年齢、身長、体重が同等にマッチングされている
方法:
股関節外転筋力および伸展筋力をアイソメトリック測定により評価
大臀筋および中殿筋の筋活動をMVIC(最大随意等尺性収縮)比率として測定
動作課題: ランニング、ドロップジャンプ、ステップダウン
3.【主な結果】
群間の違い(PFP群 vs コントロール群)
股関節外転筋力
PFP群: 1.39 Nm/kg
コントロール群: 1.62 Nm/kg(14%低下, p < 0.05)
股関節伸展筋力
PFP群: 1.98 Nm/kg
コントロール群: 2.35 Nm/kg(17%低下, p < 0.01)
大臀筋筋活動(MVIC比率)
PFP群: 44.1%
コントロール群: 23.1%(91%増加, p < 0.05)
中殿筋筋活動(MVIC比率)
PFP群: 15.2%
コントロール群: 9.3%(63%増加, p = 0.332)※有意差なし
4.【臨床的意義】
PFP患者は股関節外転・伸展筋力が低下しており、これは膝関節の安定性低下と関連する可能性がある。
PFP群では大臀筋の筋活動が過剰であり、これは筋力不足を補うための代償動作と考えられる。
臨床的には、大臀筋の過剰使用を抑えつつ、股関節外転・伸展筋力を強化するリハビリが推奨される。
5.【まとめ】
いかがでしょうか?
股関節の外転と伸展の筋力低下があり、大殿筋の過剰な活動が代償としてみられるんですね。
ここが学びになりました。
中殿筋や梨状筋といった股関節の安定性を高める筋が中心に活動が低下している可能性が考えられますね。
臨床的には大殿筋の上部線維が過剰に活動していると思われる方が多いように感じます。これは代償の影響がありそうです。
その点も考えながら評価と治療をしていくのが良いかもしれません。
6.【参考文献】
Souza RB, Powers CM. Differences in Hip Kinematics, Muscle Strength, and Muscle Activation Between Subjects With and Without Patellofemoral Pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2009;39(1):12-19. DOI: 10.2519/jospt.2009.2885
ー膝前部痛に関してはこちらもどうぞー
ー歩行のバイオメカニクスに関してはこちらー
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