見出し画像

【エッセイ】僕は、気持ち悪い人間だ。

人間が喜んでいる。「ありがとう」という言葉をもらった。

人間が興奮している。「すごい」という言葉をもらった。

僕は、人間がポジティブな感情を抱いている状態を見るのが好きだ。いや、誰でもそうかもしれない。ネガティブな状態になっている人間を見たい人間は、よほどの変態かもしれない。

僕は、僕が書いている文章が読者に対してネガティブな気持ちを抱かせてしまうリスクを理解している。

「見たくないものを見せられた」
「考えないようにしてたのに」

そうやって言われてもおかしくない。批判的な言葉をもらったら僕は傷つく。人間だから。でも、その批判の裏で、「すごい」「震えた」とかの感動の言葉を誰かが抱いていることを期待している。聞こえなくても、あると信じている。

僕は、高尚な人間になりたい。いや、高尚な人間でいたいと思っている。人間を喜ばせるために文章を書き、人間をポジティブな気持ちにさせ、人間を笑顔にする。本当はずっと、そんな気持ちを抱いている。

でも僕は、クズな人間なんだ。人間をどういう気持ちにさせたいかもわからず、人間の矛盾を見つめて、人間のどうしようもない業を描き、誰も見たくもない何かを書いている。

描けば描くほど、これはただの自己満なのではないかと自分を責める。気持ち良くなってるのは僕だけだ。僕は、本当はその気持ちよさを誰かと分かち合いたい。

でも僕は、たとえ分かち合えたとしても、きっと嬉しくない。分かち合う瞬間まで、その人間はきっと見たくもない、考えたくもない何かに時間を使っている。その背景を考えると、僕はその人間に対して申し訳なくなってしまう。

でも僕は、誰かに作品を読んでほしいと願っている。誰かに届いて感想をもらっても、自分を責めてしまうのに。それなのに、僕は誰かに作品を読んでほしいと思っている。

僕は結局、気持ち悪い人間だ。

いいなと思ったら応援しよう!