【エッセイ】失い続けて、生きていく。
大人になると「失う」経験が増えていく。
それは友達や恋人との別れかもしれないし、家族や身内の死かもしれない。失うたびに心の傷は増え続ける。それでも、生きている限り、嫌でも明日は来る。
個人的には、子どもの頃に誰かを失った経験より、大人になってから誰かを失う経験の方が重い。中学や高校の頃に祖父母を失った経験ももちろん辛かったが、先日亡くなった祖母の喪失感は、重すぎる。
祖母が死んでから、別に笑えなくなったり喋れなくなったりしたわけじゃない。ただ、ふとした瞬間に青く晴れ渡っている空を見るだけで涙ぐむようになってしまった。表面的には大丈夫でも、たぶん、どこかが静かに壊れている。
次は母か父を失う経験か、と思うと、いっそのこと僕が先に死んでしまいたい。
僕の叔父は普段冷静で聡明な人だけど、僕の祖母の葬式で感情的に泣いていたと父から聞いた。僕はパニック障害が原因で行けなかったけど、それを聞いて余計に母か父を失う恐怖心が強まった。今は、想像するだけで耐えられない。
傷ついた分だけ人は強くなると言うけれど、それなら僕は、もうこれ以上何もいらない。
何のためにそこまで傷ついてまで生きていかなければいけないのだろう。僕にはその意味がわからない。
そんなに魅力的な人間になって、強くなって、何がしたいのか。何をすればいいのか。わからない。
失い続けて、生きていく。その先に何があるのかは、まだわからない。
