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lively_bear225
ゆめうつつなボブ・ディラン
眠気で遠のいていく意識のなか
イヤフォンをした鼓膜の奥で
ボブ・ディランがぼんやり
世界平和を唄っている
ハーモニカの音色が夢のなかで
虹の橋となって
ゆっくり渡って行く先に
軽快なうさぎが一匹
手を振り案内してくれた
そこに広がっているのは
視界いっぱいのラベンダー畑だった
わたしはその甘やかで仄かにせつない匂いを
肺いっぱいに吸い込んだ
夢なのに夢じゃない気がした
夢際を去来していると
ラベンダー畑はすっぽりと
夜空に包まれ
甘やかでやけにせつない匂いに変わっていた
わたしはしゃがみこんで
ラベンダーの匂いを嗅ぎながら
夜空を見上げていた
指でつまんでポラリスを食べたら
この世界は迷子になっちゃうからやめた
でこぼこな月の表面をとおくからなぞった
思春期の頃のあの子を思いだした
とてもやさしい女の子だった
赤い星がちかちかと瞬くのを見て
ガーネットの指輪がずっと
欲しいことを思いだした
すると右耳からサイレンが
ゆっくりゆっくり近づいてきた
救急車のサイレンの音だった
ゆめうつつなボブ・ディランは
まだ退屈そうに唄っていたけれど
胸を締めつける救急車のサイレンで
こころと目が冷えきって
喉が渇いていたから
麦茶をプラスチックのコップにゆっくり注ぐ
水瓶座の気分ってこころを
満たす為なのだろうか
わたしはからからだ
サボテンみたいな刺々しい気分で悲しい
さっきの救急車に乗った人が
助かりますように
そう祈った
永遠に続きそうな線路はセピア
ピアノの音色を吸い込んで走っている列車
たかんたかん多感列車
夕陽が射し込んだあの列車なら乗れるのに
