Ep.0「海のない街で生まれた私が、雪の街にいる理由」
はじめまして。
よりみちじんせい、といいます。
今は、北国の、日本海側の街で暮らしています。
朝起きてカーテンを開けると、
昨日の夜にはなかったはずの雪が、
当たり前みたいな顔をして積もっていることがあります。
まだ誰も歩いていない道を見ていると、
どうしてか、少し安心します。
生まれた街では、雪はほとんど降りませんでした。
冬の朝も、
こんなふうに静かじゃなかった気がします。
大学生の頃、
授業の一環で、東北を訪れました。
何を学ぶ授業だったのか、
正直、もうあまり覚えていません。
でも、
空気が少しだけ冷たくて、
知らない場所なのに、
息がしやすいと感じたことだけは、覚えています。
そのとき、
奥入瀬の近くにある、小さなランプの工房に立ち寄りました。
ガラス越しに見えた光が、
思っていたよりもやわらかくて、
そこにいる理由なんて何もないのに、
しばらく動けませんでした。
そのときの写真を、
今、この場所のヘッダーに使っています。
(写真提供:「旅東北」
https://www.tohokukanko.jp/photos/detail_2428.html)
たぶん、
あのときから、
私のよりみちは始まっていたんだと思います。
それから、いくつかの季節が過ぎて、
今、私はこの街にいます。
慣れない街で、
友達を探してみたり、
うまく話せなかった帰り道に、
ひとりで反省会をしたり、
連絡先を交換したのに、
そのまま会わなくなってしまった人もいます。
同じくらいの年齢の女の子たちが、
当たり前みたいに働いているのを見ると、
どうして自分は、
同じようにできないんだろう、と思います。
ストーブの前に座って、
何もしていない時間だけが過ぎていくとき、
少しだけ、
取り残されたような気持ちになります。
たぶん私は、
生きるのが、
あまり上手じゃありません。
でも、
立ち止まってしまった時間も、
遠回りしてしまった道も、
ちゃんと、
ここに置いておきたいと思いました。
これから、
これまでのことや、今のこと、
そして、まだ形になっていない未来のことも、
小説…ほどじゃないですが、
少しずつ書いていこうと思っています。
多くの人に読んでもらえたら嬉しい気持ちと、
知らない誰かに読まれることが、
少しだけ怖い気持ちの、
その真ん中に、今います。
もし、
そっと手に取ってもらえたら、
嬉しいです。
もちろん、
ここに書いた言葉が、
誰かのよりみちの隣に、
少しのあいだ置いてもらえるだけでも、
それだけで、十分です。
これから、ゆっくり書いていきます。
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