強みは「細部」に宿る
「御社の強みは何ですか?」
そう聞くと、
「お客様の要望に何でも対応できることです」
「小回りが利くことです」
「丁寧な対応です」
といった答えが返ってくることがあります。
もちろん、これらも強みにはなり得ます。
ただ、それだけでは、まだ「強みを言語化できた」とは言えません。
なぜなら、それによってお客様にどんな価値を提供しているのかが見えていないからです。
自社の強みと、それによってお客様のどんな問題を解決しているのかを知ることは、事業戦略だけでなく、人材育成や仕組みづくりの土台になります。
ところが、多くの中小企業では、そこが明確になっていません。
そんなときにおすすめなのが、お客様との接点を細かく見ていくことです。
認知してもらうところから、問い合わせ、商談、受注、サービス提供、アフターフォローまで。
「そのとき、具体的に何をしているのか?」
を一つひとつ見ていきます。
すると、社長や社員にとっては「当たり前」だったことが、実はお客様にとって大きな価値になっていることがあります。
以前、埼玉県のある運送会社さんで、強みを整理したことがあります。
社長に強みを聞くと、
「なんでも対応できることです」
という答えでした。
一見、強みに聞こえますが、かなり抽象的です。
そこで、主要なお客様への具体的な対応を聞いていきました。
すると、その会社は単に「荷物を運ぶ」だけではありませんでした。
荷主さんから、その先のお客様へ商品を届ける際に、非常にきめ細かく対応していたのです。
荷主さんから依頼されたことだけでなく、その先のお客様の要望まで汲み取り、必要に応じて対応する。
「運送会社がそこまでするの?」
と思うようなことまでやっていました。
つまり、その会社は「なんでも対応する」のではなく、荷主さんのサービス価値を高めていたのです。
荷主さんのお客様から、
「この会社に頼んでよかった」
と思ってもらえる。
その結果、荷主さん自身の顧客満足度まで高めていた。
ここまで見えてくると、
「私たちは何でも対応します」
ではなく、
「私たちは、荷主さんのサービス価値を高めます」
という、本当の強みが見えてきます。
さらに掘り下げれば、
「なぜ社員はそこまでできるのか?」
「なぜ、それが当たり前になっているのか?」
というところから、社長の価値観や企業文化、社員の行動、長年培ってきたノウハウまで見えてきます。
中小企業の強みは、必ずしも特別なものではありません。
むしろ、毎日の仕事の中で当たり前にやっていることに隠れていることが多いのです。
長く付き合ってくれるお客様がいる。
紹介が生まれている。
売上が伸びた経験がある。
そこには必ず、お客様が感じている価値があります。
だから、強みを見つけたいなら、
「うちは何が得意なのか?」
だけではなく、
「お客様との接点で、私たちは具体的に何をしているのか?」
を見てみる。
会社の強みは、どこか遠くにある特別なものではありません。
日々の仕事の「細部」にこそ、未来の戦略をつくる強みが宿っています。
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