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住宅ローンは「借りられる額」で決めると、後から静かに苦しくなる



今朝、NHKのニュースで、住宅ローンの話題が取り上げられていました。


金利が少し上がることで、毎月の返済額が増え、将来に不安を感じる——
そうした内容でした。


よくある話のようでいて、ひとつだけ、気になったことがあります。





それは、

不安の原因が「金利」にあるように見えて、
実は「前提」にあるのではないか

という点です。





住宅ローンの話になると、どうしても金利に意識が向きます。

上がるのか、下がるのか。
固定がいいのか、変動がいいのか。

もちろん、それは大切な論点です。

ただ、その前に、もう一つ見ておきたいことがあります。





それは、

どの前提で、その金額を借りているのか

です。





変動金利は、スタート時の金利が低いため、

・毎月の返済額が抑えられる
・結果として、より大きな金額を借りることができる

という特徴があります。

これはメリットでもありますが、見方を変えると、

「本来よりも大きな金額に手が届いてしまう」

構造でもあります。





一方で、固定金利は、

将来の金利も含めて返済可能性を見られるため、

借入額は自然と抑えられます。





ここで一度、「1%」という水準を、少し引いた目で見てみます。

住宅ローンの変動金利は、この30年ほどを振り返ると、

・2000年前後には2%前後の水準
・2008年前後でも1%台
・そして直近10年ほどは0.4〜0.7%程度

という流れで推移してきました。





こうして並べてみると、

現在の水準は「上がってきた」という見方もできますが、
長い時間軸の中では、

まだ低い位置にある

とも言えます。





むしろ、

ここ10年ほどの低金利の状態が、やや特殊だった

と捉える方が自然かもしれません。





この前提に立つと、

「1%になったら厳しい」というよりも、

「1%でも厳しくなる設計になっていないか」

という視点の方が、意味を持ってきます。





水準そのものよりも、

「どの水準を前提にしているか」

で、負担の感じ方は大きく変わります。





もう少しだけ具体的に見てみます。

仮に同じ借入であっても、

・0.5%なら余裕を感じる
・1.0%で少し圧迫を感じる
・1.5%になると明確に負担になる

こうして並べてみると、

「どこまでなら続けられるのか」

というラインが見えてきます。





もし、1.0%の段階で不安を感じるのであれば、

それは金利の問題というよりも、

すでに余裕を多く使っている状態

とも考えられます。





長く金融の現場に関わってきた中で、
もう一つ、気になる点があります。





それは、

金利には「上」と「下」の動きに差がある

ということです。





仮に1%前後の水準にある場合、

・下がる余地はそれほど大きくない
・一方で、上がる余地は比較的残っている

という、ある種の非対称な状態になります。





この状態で長期のローンを組むということは、

将来にわたって、不確実性を抱え続ける

という意味にもなります。





特に返済期間が長い場合、

この不確実性との付き合いも長くなります。





それは必ずしも危険ということではありませんが、

「安心しきれる状態ではない」

という理解は持っておいた方が良いように感じます。





住宅ローンは、「払えるかどうか」で判断しがちです。

けれど本来は、

変化があっても続けられるか

という問いの方が、長い時間軸では重要になります。





そして最後に、もう一つだけ。





借りられる額と、続けられる額は別物です。





借りられる額は、その時点の条件で決まります。
続けられる額は、その後の時間の中で試されます。





この2つは似ているようでいて、まったく違います。





家は、本来、生活を支えるものです。

その家のために、
選択肢が少しずつ減っていくとしたら、

それは望んでいた形とは違うかもしれません。





だからこそ、

一度立ち止まって考えること自体が、
ひとつの前向きな判断

なのだと思います。

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