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30歳になったのに

20代最後に作ったゆで卵の皮剥き、全部失敗した。

私はいつも勘でゆで卵を作っている。なんとなくで作って、その出来栄えのギャンブル性を楽しんでいるところがある。固茹、半熟、温泉卵みたいになっても、どれも美味しいし、上手くできてたらちょっと運が良かった気がして嬉しい。結構気に入ってる。

ただ、今回は本当に大失敗だった。
どう考えても冷やしが足りなかった。横着をした。日付が変わり、30歳になる前に早く剥きたかったから。
10個中10個の可食部の損失が、それぞれ15%くらいだった。なんてもったいないんだろう、と殻についた白身を生ゴミのネットに投げ入れていく。
今更、手の施しようがなかった。あったのかもしれないけど、ゆで卵を勘で作りきりたいと思っているせいで、応急処置を調べたくなかった。
思えばガキの頃から母親に「横着をするな」「面倒くさがるな」と言われていた。大人になっても治らないというか、治す気がないというか、ケースバイケースで使い分けているというか。正確には仕事では横着をしないけど、生活では横着しまくっている。その結果がこの卵たちだ。
きっと鶏たちはいい餌を与えられ、生産者も美味しい卵になるようにと工夫を凝らしたはずなのに、私は10個も失敗した。
自分で招いた結果とはいえ、こんなボロボロのゆで卵、かわいそうで仕方がない。
味がよく染みるかな、なんて現実逃避をしながら、全部を漬けた。

今日、タッパーを開けたらちゃんと美味しそうな茶色に染まっていた。卵肌とは程遠く、見た目は悪いけど。
ひとつ食べてみて、黄身の具合はバッチリだった。味付けもちょうど良い。
「まぁ味という本質の部分は良いから、このゆで卵たちは失敗じゃなかったかもしれない」なんて言い訳をして、自分を励ましながら、30代を始めることにした。
孔子先生は三十にして立つと言ったそうだけど、私がそこに至るにはまだまだかかりそうだ。

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