やーい、お前の頭…スチールウール!
大垣勘太「やーい、お前ん家…おっばけやーしきー!」
ばあちゃん「カンタァァァア!」
唐突に繰り出す名作「となりのトトロ」より、
カンタとばあちゃんのパ・ド・ドゥ(違)。
(意)中学時代のいじめっ子の話です。
火星feat.フォボス&ダイモスとは別の子の話です。
↑火星云々の話はこちらです。
いじめっ子がいるからにはいじめられっ子がいて、
いじめられっ子がいるからにはいじめっ子がいるわけで。
いじめっ子が能動態ならいじめられっ子は受動態…
ならば今の私は受動態?
だーれが“-ed”のつけ忘れに注意じゃ。
yomogedですか?アアン?
と心の中では悪態をつくものの、状況の悪化を危惧し、いじめられるという状況に甘んじていたあの日の私へ。
拝啓 12歳のよもぎ様
お元気でないことは重々承知しております。
ですがあなたの頭の中に浮かぶその数々の一見くだらない思考の数々は大人になった今も私の脳内に深く刻み込まれています。
そのおかげで本来生きることに必要な知識が入りきらずやや困惑しておりますが、
そのくだらなさが心の救いになっているのもまた事実。
続けてください。
それから墨汁の蓋はきちんと閉めてください。
中2の夏に鞄と教科書、ノートの全てが漆黒に染まるのを防ぎたければ閉めてください。
よろしくお願いします。
それはいいんです。
ある日、理科の授業で
“スチールウール燃焼実験”という一大イベントが開催されることになったのです。
当時の私、スチールウールなんてものがこの世にあることを知りませんでしたからそれはそれはもう楽しみで、前日の夜はまあそれなりに寝たのですが朝はすごく早く起きたことを覚えています。
いつもは憂鬱な通学路も
「スチールウールとかいう謎の何かを燃やせるゥ!」
という思いでわくわくしながら、早歩き。
歩行速度が異様に早い飼い主に一生懸命ついていくチワワのような歩き方で。
学校に着くと相変わらず
火星・フォボス・ダイモスがJR中央線の如く通常通りの運転で(たまには運休してくれ)
何やら嫌みを言ってきますが
あの日の私にはそんなことは関係ないのです。
“スチールウール燃焼実験”のためだけに枯れた水仙でジャングルと化したあの険しい道を越え登校したのですから。
いざ理科室へ。
時間場所問わずなぜか実験失敗してダメージをくらったかのような装いの理科のT先生が相変わらずの姿で教壇に立っています。
「あんたが燃焼させられてどうする。」
と突っ込みたくなりつつも先生の服装より
スチールウールが気になる私。
T先生「はーい、各班の誰でもいいからァ。スチールウール取りに来てー。あとォ関係ない人たちはアルコールランプ用意してェ。でも勝手に火ィつけないでー。先生が説明してからだよォ。」
火星「だる。よもぎ行ってきて。」
私「もちろん!」
スチールウールは俺のものだァァァァア!!!
(元ネタ:「ニゴリーエースハオリノモノダー!!(カテゴリーエースは俺のものだー!!)」)
T先生「はい、よもぎさん走らない、歩くゥ」

【スチールウール】(別名:金たわし)
鉄繊維のたわし
デビュー:1896年
主な出演:自動車の排ガスフィルター役
食器洗い役
ねずみの侵入口塞ぎ役
T先生から渡されたそれは
柔らかそうな見た目とは裏腹にごそごそとして、
空気を含んでいるせいか固いとは言えず、だからといって優しさを感じる手触りでもなく
決して愉快なものではありませんでした。
私は自分の手に乗せられたごそごそとした物体をひとしきり見つめた後、
生徒の群れのとある一点に視線を移しました。
一度そう見えたら塗り替えられぬが我が脳みそ。
気づいた時には時すでに遅し。
じわじわと笑いが横隔膜を押し上げる、さながら体内でウエイトリフティングの決戦が開催されているといった状況。
「粘着系いじめスキル代表Y子…!
これはあんたの毛髪だ。
証拠は上がってるんだ、観念しろ!」
と心の中の謎の熱血刑事がドラマの山場の如く決め台詞を発したと同時に私はその場に膝から崩れ落ち爆笑。
周りの生徒からすれば、
スチールウールを手に乗せたまま突然しゃがみ込んで爆笑しているヤヴァイ奴。
先生「え!よもぎさん、大丈夫?何?刺さった?刺さらないよね、え?え?」
私「か…髪の毛ェ(ミラクル級小声)」
先生「息…息してるね大丈夫、オッケー、席に戻ろうねェ、早くコレ(スチールウール)燃やそう、ね、戻ろう。」
息も絶え絶え席に戻った私はようやく念願の
“スチールウール燃焼実験”に成功。
燃焼中、私は2つの意味でほくそ笑んでいたわけです。
1.念願の“スチールウール燃焼実験”を体験できて嬉しい
2.大嫌いなY子の頭が燃えているような気がしてスカッとした
あのですね、Y子の髪の毛とスチールウールがドッペルゲンガー級にそっくりだったんです。
で、ドッペルゲンガーに出会うと絶命するみたいな話あるじゃないですか。
私、スチールウールY子に
「●ね」×10/日くらいの勢いで攻撃されていたので
わりと本気でY子をガンジス川にアレしてやりたいななんてことをね、思ってはいけないんですけど思ってしまっていたんです。
なのでスチールウールが元でドッペルに出会った判定受けてその噂が本当になればいいのに、なんてチャコールグレーくらいの感情が芽生えてしまったわけです。
そして、
スチールウールを燃やすという行為そのものが
Y子(の頭)を荼毘に付しているような感覚ですっきりしたんです。
本人に危害を加えずに済んだので
スチールウールは私の恩人ならぬ“恩鉄”です。
これは天体置換妄想術に次ぐいじめサバイブテクです。
身近(?)なものに嫌な奴を置き換える、当てはめる。
結局“置換”ですね。
私ってWordなんでしょうか。
これをですよ、仮に私がY子に
「やーい、お前の頭…スチールウール!」
と言ってしまったらそれはだめです。
それはただのいじめです。
なのでこの台詞は心の中のカンタに言わせていました。
ほんの少しでしたけれど、心は軽くなりましたよ。
心の中のカンタはばあちゃんに叱られていましたがね。
もし、スチールウール風の髪の毛の人にいじめられている方がいたらぜひ試してみてください。
Y子の髪の毛…スチールウールは買えます。
燃やすもよし、掃除に使うもよし。
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よもぎちゃーん!
はーい!
何が好き?
ポテトチップスよりも
お・ぬ・し