昼飯を貪食しに行く悪意の天使
師長「私は忙しいから、今から昼ごはん食べに行くからね!私は忙しいんだから。何度も言わせないで。」
【師長構文】
伝達したい内容 between 私は忙しい and 私は忙しい
ぜひ今日のお昼休憩に使ってみてください。
それはさておき、
師長のみならず、食事休憩に行くこと人がいると「“貪食”しに行った」と言っていたんですね。
これ、学生時代からやっていて、
私が通っていた“おはよう”よりも先に“大便”の申し送りが来る“大便学校”ではわりとポピュラーな呼び方だったのですが、
全然一般的ではなかったらしく、
危うく私が貪食からの抗原提示で滅ぼされるところでした。
…輸血されて全然関係ない身体ではたらくことになった血球の気持ちがわかった瞬間でした。
【貪食】
体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用。
貪食する対象は、アポトーシスによって死滅した細胞、体内に侵入した異物や病原体、がん化した自己の細胞等。
白血球やマクロファージがやりがち。
【抗原提示】
異物を貪食したマクロファージがその情報を他の免疫細胞に伝達すること。
マクロファージ:
貪食した異物を細かく分解し、その一部を自分の細胞表面に「提示」。
↓
T細胞と呼ばれる別の免疫細胞がその情報を受け取り、さらに強力な免疫反応を引き起こす。
↑
朝の大便日報。
というわけで、悪意の天使が昼飯を貪食しに行っている隙に
ちょっと病院をのぞいてみませんか?
…退職済みなので白血球にバレないように、
こっそりといきましょう。
【悪意の天使】
看護師のこと。
患者の前には白衣の天使という仮の姿で降臨する。
その正体は悪意の天使。
悪の巣窟では日々
悪意の天使同士の仁義なき戦いが静かに繰り広げられている。
稀に悪意に汚染されていない天使がいる。
彼らは希少価値が高く、検査室に存在していることが多い。
前置きが長過ぎてアイスコーヒーがお腹に優しい温度になったところで本題です。
ここのところ娘が録画してある「はたらく細胞」ばかり観ているので、細胞になぞらえながら
私が「はたらく看護師」だった時の話をします。
ナレーション「“私は忙しい”という言葉を発することに忙しい師長率いるICUでは約37個もの細胞たちが今日も元気にはたらいている」
♪ (1.2.3.4 We are nurse at ICU!)
(1.2.3.4 We are HATARAKU 死〜!)
今日も運ぶよ プロポプロポ
病院中のスミからスミへ
だけど広くて 迷子迷子
誰も助けない 働く看護師
最悪
はたらくぞ はたらくぞ
毎日毎日死亡中(ウッ)
今日も新人 排除排除
凡ミスでっち上げ 出てこいやぁ(ハッハッ)
絶対見つける インシ・アクシ
パワハラチックな はたらく看護師
絶望
はたらくぞ はたらくぞ 毎日毎日戦場
37人のひとり 次に会えるのはいつかな……?
患者のために(患者のために) 一生懸命(一生懸命)
医師もみんなも必死に
はたらいてる
保身のために(保身のために) 命がけだぞ(命がけだぞ)
プライドなし 自分第イチ!
はたらく?はたらく!はたらく?はたらく!
HATARAKU!!!!
↑
“37人のひとり”になるべくして受けた試験で
初っ端解答用紙が廃止に追い込まれた話。
第一話「ヤクの運搬」
先述の通り、配属先はICU。
ここは救急オンボロ病院。
プロポフォールやモルヒネを運搬していた新人はある日、
外から侵入した外来患者に襲われているところを警備員に助けられる。
病院という世界を守るため、逃げた肺炎球菌怒り狂う患者をなだめる警備員。
だが敵は意外なことを言い出して──。
新人の主な仕事はヤクの運び屋。
赤血球が酸素を運ぶように、私はプロポフォールを運びます。
運び屋の時は、赤血球及び悪の組織の下っ端になりきるという謎の遊びをしていたので
薬剤部から9階にあるICUまで誰にも会わずに到着するというミッションを課していました。
が、ある日間違えて外来受付のある方に出るエレベーターに乗ってしまったんですね。
「ヤッベェ、見つかっちまう…!」
と壁伝いに移動していたら、
「ねえ!!」
と荒れ狂うスサノオ患者に声を掛けられました。
「ヤッベェ、見つかっちまう…!」じゃないんだよ、
見つかっちまってんだよ。
外来受付機器がエラー吐きまくりで怒りが収まらない患者はさながら肺炎球菌が如し。
輸液ポンプは使えても、外来受付機器は守備範囲外。
そして一刻も早くプロポフォールをICUに運ばなければならない。
もうだめだ、溶血する…
【溶血】〈hemolysis〉
寿命を迎える前の赤血球が何らかの原因により破壊されること。
※赤血球の寿命:約120日
そこに現れた白血球。
「死ねぇ!この雑菌がぁぁ!」
白血球「ここは俺が引き留めておく!お前はさっさと行け!」
ことなきを得た私は正解のエレベーターを目指し、移動します。
ああ、私も白血球のように遊走できればいいのに…
【遊走】
白血球が体内に侵入した細菌を貪食するために、自ら変形しながら血管の壁をすり抜けるように自由に通過すること。
エレベーター内ウイルス汚染
緊急メンテナンス中
おおよそ私のような新人赤血球が何かやらかしたことは容易に想像がつきますが、
そんなことに思いを馳せている時間はない。
遊走機能のない私は、
非常扉こと“筋トレ好きの医師”と“存在感消したい総務部”の民しか使わぬ禁断の扉を開け
階段を1段飛ばしで駆け上がる。
「例えこの身が溶血しようとも構わない…急げ、急ぐんだ…!」
息も絶え絶えICUの扉の前に立つ。
どうしてもやりたかった儀式を試すことにした私。
「私だって看護師だから…」
「悪意の天使よもぎ、堕天降臨!」
ガコッ!!!!
…あろうことか自動ドアに挟まれる残念な生き物。
プロポフォールの無事を確認。
「お待たせしましたァ!プロポ持ってきましたァー」
と、ここで本家「はたらく細胞」であれば
運んできたプロポの中から患者が出てくるのですが、
こちらは一応人間界なのでそういうものは出てきません。
代わりに、目の前には20分前とは変わり果てた研修医と羅刹の鎧をまといし師長と謎の舞を披露している理学療法士の姿がありました。
そのほかの悪意の天使は電子式呪い本にかじりついています。
師長「私は忙しいんだから。この後看護部長に会いに行くんだから。私は忙しいのよ!さっさとプロポしまいなさいよ!」
登場を待ち侘びられていたにも関わらず、
登場した途端牢獄にぶち込まれるプロポフォールを想い、心を痛めるなどしました。
???「患者ァァァア!!!どぅおーこだァァァア!!!」
物騒な声と共に廊下を移動していく一団。
さながらキラーT細胞の如き彼らは隣の病棟の悪意の天使。
逃げた患者を探しているのであった…
(続)
書いている時に左耳にわりと大きめの蛾が激突してきて正直迷惑でした。
今朝も娘が登校前に「はたらく細胞」を観ておりまして、
つくづく体内も私が働いていた病院も
そっくりだなと思ったんですね。
そんなことはどうだっていいのですが、
さあ皆さん深呼吸しましょう。
赤血球がよろこびます。
甘いもの食べたそこのあなた。
あなたの中の赤血球、今大喜びしていますよ。
赤血球のご飯は“糖”だけですからね。
という話も「はたらく細胞」ならさらっと教えてくれます。
人体の仕組みを知ると、
健康診断が楽しみになりますからね(人による)、
おすすめです。
【参考資料】
◽︎はたらく細胞
◽︎がんとひとをつなぐオンコロ
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