猫助けの罪と罰
隣の隣の家のおじさんは日の出と共に爆発する。
よって夏は4時台に爆発する。
ビヤァックシエエエエエエ!!!ゲフンッゲフンッ!!!
風鈴、蝉の音、おじ爆発。
これ、夏の三大風物詩です。
1.起爆剤はネコジャラシ?
おじの有識者ことンゴに問い合わせたところ、
「それは間違いなく“くしゃみ”やな!」
との回答が得られた。
なお、ンゴによると
「男っちゅうのはな、年を重ねると“くしゃみ”の音に厚みが出るんや!」
とのこと。
ともすれば、
近所に爆誕した新生児(男)もいずれ爆発するのか。
なんとなく嫌やな。
↑
自称おじさん代表兼おじ有力者ンゴが背中で魂の在庫管理をしている話。
この夏、
吉岡ハルのふりをしている私は
庭をネコジャラシだらけにしている。
すでに青々としげり、ふわふわの穂をかわいらしく揺らしている。
おじ含め近所の人は私が猫の国の王子様・ルーンを助けた勇者であると信じ、一目置いているはずだ。
しかしだ。
私の中に一つの「?」が控えめに浮かんだ。
ネコジャラシがおじ起爆剤になっているのではないか?
【エノコログサ】(ネコジャラシ)
学名:Setaria viridis
イネ科エノコログサ属
草丈:40cm〜70 cm
分布:どこにでもある
ご覧の通りイネ科。
花粉症の原因となる植物たちが所属している部署である。
イネ科の植物の花粉の飛散範囲は数十m程度。
おじ宅、我が家の数十m圏内。
もうアウト、一目置いているとかではない。
怒り狂って爆風で我が家を吹っ飛ばしに来ている。
猫助けの称号としてのネコジャラシがおじ起爆剤と化している。
なんとしてでもネコジャラシを駆逐せねばならない。
「…これはまずい。しかし、暑い…。」
夏の太陽が私を発酵済みのパン生地と勘違いして焼き上げモードに入っている。
「…これは活動限界時間は5分…でも逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ…!」
そこで、娘を見送るたびに草5本抜くことを習慣化した。
一方、草の方は抜かれたら10本生えることを習慣化してきやがった。
減らない。
ネコジャラシなのにイタチごっこだ。
だから今日は10本抜いた。
これであいこ。
明日の朝は±0。
2.深まる疑問
しかしだ。
我が家は窓を閉め切っている。
にも関わらず、爆発音ははっきり聴こえる。
家中の隙間という隙間全てをすり抜けて、
あたかも“空気”みたいな顔をして侵入してくるのだ。
…我が家のネコジャラシの風に揺れるあの可愛らしい姿。
実は穂を揺らして実は爆発音を増幅させている…?
いや、あれは猫助けの称号であって決して爆発音バフシステムではない。
…いや待てよ。
こうなってくると、おじ宅の構造や設備、おじポジにいくつかの疑問が出てくる。
【おじ宅・おじポジへの疑問】
其の壱:おじ爆発に伴い全ての窓が爆風で吹き飛ばされた
其の弐:おじさんの正体はコウモリ
其の三:「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」
其の壱:おじ爆発に伴い全ての窓が爆風で吹き飛ばされた
おじポジが室内だった場合、
我が家が鎖国状態であるのに
あんなにもクリアな爆音を強制輸出してくるということは
あちらサイドの窓が全滅している必要がある。
もはや何を言っているのかわからないが、
とにかく曇りなき音なのだ。
このごろ流行りの音漏れライブではなくて、
ファンクラブで、通信エラーと戦いながらやっとの思いで手に入れたチケットで入場して堪能するライブと同等のクリアサウンドなのだ。
だがしかし、おじ宅の窓は今日も美しく透き通り
太陽光をビカビカと反射させている。
よって、この仮説は否定された。
其の弐:おじさんの正体はコウモリ
【コウモリ】
学名:Chiroptera Blumenbach
部署:哺乳類翼手目コウモリ目
日本では蚊食鳥とも呼ばれる。蚊を食すため、その排泄物には難消化物の蚊の目玉が多く含まれており、それを使った料理が中国に存在するとされる。
要するに、おじさんが夜〜日の出頃にかけて真の姿に戻り
窓全開もしくは外に出て、
人間が冷やし中華をかっ喰らうが如く蚊を捕食しているという可能性だ。
ここから選択肢が2股に分かれる。
〈A説〉
かっ喰らっている最中に蚊が鼻の穴トンネルに迷い込むなどして
おじ爆発を引き起こしている。
→コウモリサイズであの爆音が出せるとは考えにくい。
〈B説〉
日の出を合図に真の姿から仮の姿に戻る。
戻る瞬間に爆発が起こる。
→非科学的。
※イチオシ妄想ではある。
其の三:「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」
あれ、おじさんの苗字って“青島”さんだっけ…?
いや、全然違う。
青くもないし、海に浮かんでもいない。
色不明の田んぼだ。
おじ宅の庭ことおじガーデンは広い。
干からびた柴犬を水で戻すための簡易プールなんかもある。
夏には門の横にトーテムポールの如くタチアオイが見事にそびえ立つ。
私が通りかかると、なんの躊躇いもなくそのトーテムポールをへしおり
「夏のお裾分けです。」
と言って鮮やかなマゼンダの花を分けてくれる。
私はよくタチアオイの名前を失念するので、
そういう時は
“上品なハイビスカス”と呼んでいるが、
ハイビスカスが下品ということではない。
ハイビスカスが現役ギャルならば、
タチアオイはギャルが現役時代の煌めきを内に秘めたまま成長した20年後の姿とでも表現しておこう。
それはさておき、トーテムポールへしおりは夕方に多発。
しかも話している時におじ爆発は起きていない。
なんとしてでも現場をおさえなければならない。
3つも仮説を立ててみたものの、
何一つ有力な説は無し。
先程まで控えめサイズだった「?」が一気に20リットル灯油ポリタンクサイズにまで成長した。
じゃんけんを永遠に引き延ばすが如く、
10本生えてくる草を10本抜いていても仕方がないので
気合いを入れて20本抜くことにする。
草は伸びるが心は折れた。
3.ゼロ距離ガス爆発
────────
AM3:57
ブォッンッ!!!
────────
日の出前に娘が爆発した。
あろうことかゼロ距離…
しかも腹に。
日の出前の寝室で、
腹に銃口を突きつけられたまま、
「この距離ならバリアは張れないな!」(「仮面ライダー剣」橘朔也)
という台詞を娘の背中から聞いてしまった私。
ちょっと待て、なぜ一方的に爆発改め銃撃された私が上位アンデッドなんだよ。
誰がギラファじゃ。
誰がノコギリクワガタじゃ。
このままだとカテゴリーKとして封印されてしまう。
…AM4:05
8分間も頭の中で仮面ライダーごっこをしていた自分に驚きを隠せない。
5歳か。
私は5歳なのか?
せっかく目が覚めたので、ここは
文化人類学者の如くフィールドワークに出かけるしかない。
今はまだ日の出前だ。
慌てて日の出時刻を確認する。
「…AM4:35か。あと30分か。」
私はウォーキングデッドforおじ宅を決行すべく、
パジャマフォームからウォーキングフォームにターンアップした。
4.太陽にほえろ
AM4:30
玄関を出る。
あと5分あるので1本1分で草を抜いてやる。
ネコジャラシとのイタチごっこで油断していたら
わけのわからない進撃の巨草が庭の片隅に生えてまくっていた。
とりあえず4本駆逐した。
AM4:34
出発した。
朝日が恥ずかしそうに東の空から頭頂部を覗かせている。
ビヤァックシエエエエエエ!!!ゲフンッゲフンッ!!!
ついに確認した。
やはり爆発地点はおじ宅。
そしておじポジを確認。
おじガーデン中央に干からびた柴犬を抱きかかえたおじさんの姿を確認。
太陽が全ご家庭の太陽光パネルを叩き起こす中、
おじ爆発が起きた。
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」
心の中で青島が叫んだ。
「それはモッズコートではない!
ユニクロのUVカットパーカーだ!」
涼しくなったら絶対モッズコートでおじ爆発現場に急行すると心に誓った。
20リットル灯油ポリタンクサイズにまで成長した「?」は爆発後の静けさの中で響く風鈴の音に溶けて消えた。
7月29日(火)
今朝、おじさんが爆発しなかった。
故に夏の風物詩の
風鈴、蝉の音、おじ爆発の三拍子ではなく、
ではなく
風鈴、蝉の音の二拍子。
拍子が一つ減るだけで、
あの優雅なワルツはパンクに変わる。
おじ不在のオジロックフェス2025状態である。
ほんの少し寂しい。
おそらくおじさんは日の出前に出かけた。
雨戸に閉ざされ、窓はいつものようにビカビカしていない。
車もない。
おじさんは出かけた先でおじ花火をブチ上げているに違いない。
おじ爆発が再度起こるその日までは
忘れずにアラームをセットしようと心に決めた私であった。
【参考資料】
◽︎スタジオジブリ
「猫の恩返し」
◽︎すまいのホットライン
夏秋の花粉症の原因かも?イネ科花粉症の原因となるオオアワガエリの特徴や対策
◽︎大正製薬
あまり聞かないイネ科花粉症。種類や特徴、症状などを知って対策につなげよう
◽︎IDEAS FOR GOOD
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◽︎FOD
「踊る大捜査線」
◽︎MusicaMusik
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