見出し画像

もりのなか【絵本】/ 森の中に留まる



■「推しぽん 絵ぽん」


 推しの絵本の紹介です!
 すなわち「推しぽん 絵ぽん」

「推しぽん 絵ぽん」については以下の記事で……!
「絵ぽん」の推し活始めます


 今回は「もりのなか」です。

 マリー・ホール・エッツ:作 / まさき るりこ:訳
 福音館書店 / 1963年発行


 もちろんのことですが、1963年は、日本での発行年です。
 米国での発行は、1944年でした。

 現在(2025年)から、なんと81年前の絵本です。

 名作、傑作、と呼ばれる絵本の中の一つです。

 その中には、時代とともに、
「古いな~」と感じてくる絵本もあります。

 けれども「もりのなか」は、
 なかなか古くならないのです。


■森の中に留まる


 紙の帽子をかぶった男の子が、
 ラッパを吹きながら「もりのなか」を散歩する話です。

 男の子の後を、ライオンや象や熊がついて行きます。
 みんなが、行列になって歩きます。
 なんでもないのです。
 ただ、仲間が増えながら行進をしていくだけです。

 絵だって、本文中は、墨色の1色刷りです。

 でも、単純に見えないのです。
 その墨色1色によって、
 夢を見ているような不思議な感じさえするのですから。

 そんな雰囲気の中で、
 行進の楽しさを味わうことができるのです。

 そして、エンディングです。

 男の子と動物たちが遊んでいるところに、
 男の子の父親が現れます。

 父親の登場によって、
 森の中に現実の世界がただよい始めます。

 ふつうの物語ならば、
 ここで読者も、現実の世界に戻り始めるはずです。

 でも「もりのなか」では、違うのです。

 この絵本は、左綴じです。
 ですから、男の子たちの行進は、
 左から右へと進んでいきます。

 ですから、現実の世界は、
 進行方向の右側にあるのではないかと思うのです。

 それなのに……

 父親は、森の奥の方からやってきたのです。

 そして男の子と父親は、
 読者に背中を向けて、
 
また、森の奥の方へ去っていくのです。

 現実の世界は、森の向こう側……
 つまり、絵本の向こう側にあるということになります。

 ということは……

 絵本のこちら側にいる読者の私は、
 まだ、森の中に留まっているということになります。

 とり残された私たちは、
 どうすればいいのでしょうか……?

 もう少し……

 夢の世界で遊んじゃいましょう!

 いいんです、いいんです。

 時々は、そういうことをしないと、
 体の中が、ザラザラしてきますからね。

 でも……

 森からの抜け出し方は、自分で考えてください。



いいなと思ったら応援しよう!

「読み聞かせをしてみよう!よみっこ」chaury(チャウリー) ここまで読んでいただきありがとうございます。書き続けていくためには、読んでいただくこと、反応をしていただくことが大きな力になっています。これからもよろしくお願いいたします。

この記事が参加している募集