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【第3部】奇跡の冷麺と執念の銘酒、そして旅の終わりは「チータンタン」

盛岡旅の最終局面。大雨の中で偶然出会った、脳内に衝撃が走るほどの「奇跡の冷麺」。そして前夜にフラれた銘酒「赤武」を求めて商店街を駆け巡る夫の執念、旅の締めくくりである「じゃじゃ麺」の正しい儀式まで、胃袋の限界に挑んだ完結編です。

手づくり村を堪能したあと、お昼ご飯のお店を探します。 「ここへ来る途中の道沿いに、良さそうな冷麺屋(焼肉屋)さんがあったよね」ということで向かったのが、「髭(ひげ)」というお店でした。

開店20分前に到着したのですが、すでに車が数台停まっています。
お店の前に順番待ちの台帳があったので名前を書きに行くと……
なんと20分前なのに「6番目」!?

「え、ここ、もしかして、とんでもない人気店なのでは?」

開店時間が近づくにつれ、続々と車が入ってきて駐車場は一瞬で満車。
なんちゅう店やねん……!
でも、これは期待大です。

運よく1回転目で着席。上タンや和牛カルビ、指定の本命「冷麺」を注文しました。

先に運ばれてきたお肉をロースターでジューッとやって口に運んだ瞬間、脳内に衝撃が走りました。 「やばい。これは、うますぎる……!」

昨日のわんこそばの満腹感はどこへやら、気づけば「白飯追加で!」と叫んでいました。 お肉と白飯の黄金コンビを堪能していると、ついに本命の冷麺が登場。

盛り付けがまるで芸術品のように綺麗です。 まず妻がスープを一口。
「おいしーい!」と目を輝かせています。
私も白飯の消費を一段落させ、スープを一口。
……美味い!!

麺をすすると、驚くほどなめらかでコシが強い。濃厚なのにさっぱりしたスープがしっかり絡んで、箸が止まりません。別添えの「カクテキ(大根キムチ)」を入れると、辛みと酸味が加わってさらに化けます。
白米のおかげで相当お腹いっぱいだったはずなのに、ペロリと完食してしまいました。

赤いマスクが印象的な店長さん(?)にお礼を言って店を出ると、外にはものすごい行列が。大満足で店を後にしました。

「髭」の芸術的な冷麺と和牛


「岩手の由来」を巡り、執念の赤武捕獲作戦

「冷麺、最高に美味しかったねぇ」と話しながら、再び車を走らせます。 本当なら、窓の外に雄大な岩手山が見えているはずなのに……。
雨雲のバカヤロー、と心の中で愚痴りつつ、
次の目的地「三ツ石(みついし)神社」へ。

ここは街の中にひっそりと佇む神社でした。
境内に大きな岩が2つドスンと鎮座しています。
伝説によると、昔この地で暴れていた鬼を神様が退治した際、二度と悪さをしない約束として、この岩に鬼の手形を押させたのだとか。

これが「岩手(岩に手形)」という地名の由来だそうです。 鬼がいなくなったことを喜んだ里の人たちが、岩の周りを踊りまくったのが、現在の盛岡名物「さんさ踊り」の始まりとのこと。歴史好きとしては、こういうルーツに触れられるのはたまらない瞬間です。

この岩に鬼の手形が。

続いて、大きな鳥居が立派な「盛岡八幡宮」へ。 境内には生まれ年の干支ごとにお社があり、可愛い十二支の石像が置いてありました。自分の干支の神様に、旅の安全をしっかりとお祈りします。

八幡宮を参拝したあと、昨日歩いた商店街が意外と近いことを知り、15分ほど歩いて行ってみることにしました。
なぜなら、昨日その商店街の酒屋さんの店先に、「赤武」が並んでいるのを私は見逃していなかったからです(笑)。

「お店で飲めなかったのなら、買って帰ればいいじゃないか!」

執念で酒屋さんにたどり着くと……ありました、赤武!しかも種類が豊富! テンションが上がってしまい、気がつけば3本も購入していました。特に6月限定の「Sea」という、すぐに売り切れてしまうレアなお酒もゲットできて大興奮。(興奮しすぎて、写真を撮るのをすっかり忘れていました……笑)

ただ、リュックがめちゃくちゃ重い……(笑)。うれしい悲鳴です。

旅の締めくくり:白龍のじゃじゃ麺と「チータンタン」

新幹線の時間が迫ってきたので、レンタカーを返却し、駅ビルのフェザンへ。 ここで、最後のミッション「じゃじゃ麺」を回収すべく、名店「白龍(ぱいろん)」のフェザン店へ滑り込みました。昨日本店の前を通った時は大行列でしたが、こちらは運よく並ばずに入れました(私たちが出る頃には大行列になっていたので、超ラッキーでした)。

冷麺と白飯のおかげでまだお腹はパンパンだったので、じゃじゃ麺の「小」を夫婦で一つずつ注文。美味しい食べ方の解説書きを読んでいるうちに、麺がやってきました。

昔キャンプで使ったような、どこか懐かしいデザインのお皿に、平打ち麺と、きゅうり、そして特製の肉味噌がドカンと乗っています。

じゃじゃ麺 これで「小」!

「まずは、とにかくよく混ぜるべし」

教えの通り、全体を豪快にかき混ぜて一口。なるほど、これがじゃじゃ麺か。コクのある味噌の味が口いっぱいに広がります。 ここからがじゃじゃ麺の真骨頂。卓上のお酢と胡椒を追加すると、一気に味が引き締まって美味さ倍増!

半分ほど食べ進めたところで、さらにニンニク、生姜、ラー油を投入。一気にパンチの効いた味に変化しました。これもまた美味しい!

そして、じゃじゃ麺の最大のイベント「チータンタン」へ。 麺をあえて一口だけ残し、卓上の生卵を皿に割り入れて、お箸でしっかりとかき混ぜます。 店員さんに「チータンお願いします!」とお皿を差し出すと、麺の茹で汁と肉味噌を足してくれ、あっという間にふわふわ卵の特製スープに変身して戻ってきました。

自分で塩・胡椒などで味を調えて、ズズッといただきます。 これがまた優しい味で、この2日間、盛岡三大麺を詰め込みまくって限界を迎えていた胃袋を、優しく包み込んで癒やしてくれました。

おわりに

大雨の中での2日目でしたが、妻も私も大満足、お腹も大満腹の旅になりました。 今回、その姿を見せてくれなかったツンデレな岩手山には、また絶対に会いに戻ってくると心に決めています。

『ニューヨーク・タイムズ』紙など、世界に認められた「盛岡」という街。 美味しい食、静かな街並み、豊かな歴史。実際に歩いてみて、その素晴らしい魅力の理由が、少しだけ分かったような気がします。

盛岡、最高の街でした。またね!

(第一部・第二部・第三部 完)

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