書きたいのに書けない。その詰まりを撃ち抜かれた日
「書きたいことはたくさんあるんだけど、書けないんです…」
コーチング講座のペア練習で、コーチ役の同期に打ち明けてみた。
少しだけライター仕事の経験があることを伝えると、
「ライティングは、あなたにとってパッションなのですね(パッション、私の辞書にはない言葉だ)」
「その才能を出したいのにアウトプットできないのですね…(です、ハイ)」
ここでセオリーだと、完璧じゃなきゃいけないとか、アウトプットに自信がないとか、「書くこと」や「発信」でつまづきがちな、勝手な思い込みは手放しましょう、になるよな。
あまり期待せずに(コーチ、ごめんなさい)次の言葉を待つことにした。
「じゃあ、書こうとしてストップしてしまうとき、どんな感じがしますか?」
ん?
うーん、上半身がかたくなる、かな。
「ってことはもしかして、腕をとおして文字をタイプするプロセスに詰まりがあるのでは?」
ん?たまげた。そう来たか。初めてのパターンだ。
「軽く目を閉じて、よどみなくスラスラとタイプして書いている姿を想像してみてください。まわりは何色?頭の中は?何か思い浮かぶことはありますか?」
うながされるままにイメージしてみた。
時にニヤニヤしながら、キーボートの上で小気味よく指を動かして、食い入るように画面を見つめている自分の姿。
頭の中では、小さい光の粒がたくさん散らばっていて。その中を、目的地に向かってあっちがいい、こっちがいいと寄り道しながら素早く動き回ってる何かがいる。まるで脳内のシナプス回路みたいに枝葉に分かれた道を右往左往しながら、確信を感じた方向へと進み続けている。
頭の中で言葉選びを楽しんでいる私がいた。そう、この感覚はとっても心地いい。
「感覚的に何かありましたか?」
回路とか、寄り道しながら言葉探しをしていること、それが至福の瞬間であること、それを簡単に伝えると、こう方向づけてくれた。
「さすがクリエーターさんですね(初めて言われた、単純にうれしい!)」
「それほどのエネルギーがあるなら、届けたい何かがあるなら、自動書記のように手を動かしてみたら?」
「頭のフィルターを通した表現もわかりやすいけど、あなたの内側の世界を遠慮なく吐き出す、むき出しのあなたを表現してみたら?」
「きっと、何かがあなたの腕をとおして、この世界に書かれたがっているはず」
何?嘘でしょ。
コーチのそのひと言がズキューンと胸に突き刺さった。
「まずは人の目を気にしない物書きからスタートしてみたら?」
一つひとつの言葉が、たたみかけるように私を打ちのめしてくる。
一気に書く、書きなぐる、自分の中に流れてきたものをそのまま言葉にしてみるというマラソンに挑戦することを約束して、ペア練習を終えた。
型にはまってのろのろして抜け出せずにいた私の心に、天空を貫く雷のごとく瞬間的にやってきて、足早に去って行ったのは何だったのか。手元に残したメモを見返しながら、現実と想像の世界のはざまでポカンとしている私がいた。
