みんなの背中を見つめる、いちばん後ろが私の特等席
おとなしい性格のせいで、子どもの頃から人前に立つことは大の苦手だった。列の先頭を歩くなんて論外。友だち何人かで連れ立って歩く時でさえ、いつもスルスルっと後方に陣取るようにしていた。
苦手な理由の一つ目、それは、みんなの視線を背中に浴びているという不安と緊張。
二つ目は、先頭は迷ってはいけない、完璧でないといけない、先頭の失敗はみんなの失敗につながる、という完璧主義的なプレッシャー。
わざわざしょいこまなくてもいいものを、ひとりで勝手に思い込んでいたっけ。当時はそんな自分がすごく嫌だった。今もし、過去の私と話ができるなら、もっと人に頼って甘えて良いんだよってそっと声をかけてあげたい。
だから、いつも誰かの後ろについて歩くのが好きだった。ひっそりと目立たず、前の人の背中を見て歩くほうが、ずっと心が落ち着いたから。
そんな私が今、ママさんバレーのコートで立っているのは、やっぱり最後方「後衛の真ん中」。チームの守りの要のポジションとして信頼してもらっている。
9人制バレーボールは前・中・後衛の3層で位置取りをすることが多くて、6人制と違ってローテーションがない。試合中、ずっと同じ位置。
子供の頃に嫌いだった「一番後ろ」という場所が、今の私にとっては、誇らしい場所に変わっている!
レシーバーというポジションは、アタッカーのように華やかに宙を舞うことはないけれど、この位置からはチームメイト全員の背中がよく見える。
必死に手をのばしてボールをつなごうとする仲間の背中や、ジャンプする瞬間の魂込めた力強い背中、ミスをしてがっくりと肩を落とす背中。
「大丈夫、私が後ろにいるよ」
そう心の中で呟きながら、守備の体勢に入る。
子供の頃、不安で誰かの後ろをついて歩いていた私は、いつの間にか「みんなの背中を一番後ろから守る人」になっていたのだ。
「先頭に立ちたくない」と思っていたあの頃の臆病さは、実は「目立たなくてもいい、周りをそっと支えたい」という、レシーバーとしての才能の種だったのかも。
年明けの1月、2月と立て続けにいくつかの大会があり、週2回ペースの練習でチームメイトの士気も高まってきている。
私はもう、みんなの背中を追いかけるんじゃない。みんなが安心して前を向いて戦えるように、この場所を、私の特等席にするんだ。
