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junko_omnibus
ひとしずくが誘う、心の深呼吸
在宅ワークの昼食後
洗い物をすませると
お待ちかねのコーヒータイム
お湯が沸くのを待つ間
ふとシンクに目をやると
蛇口の水が滴り落ちている
スマホをつかんだその手を放し
じっくり観察することにした
◇
五秒間隔でポタポタと
蛇口の先っぽで
たまりにたまって
重さに耐えきれず
ポトリとゆっくり
一粒のかたまりになって落ちていく
次第に落ちるペースが遅くなり
なかなか落ちずにがまんして
少し間延びしたしずくが出来上がり
十秒後にようやくゆっくり一粒
◇
そんな様子をじっと見つめながら
いつのまにか呼吸を止めている
自分自身に気がついた
ああ
いつから
こんなに息を詰めて
生きていたんだろう
落ちそうで落ちないあの一滴に
自分のガンバリを重ねて
勝手にハラハラしていたのかもしれない
完璧に抱え込もうとしなくていい
重くなったら こぼせばいい
溜まって落ちる
ただ それだけのこと
止めていた息を深く吐き出し
コーヒーを注ぐ準備を始める
滴り続けるしずくも
静まり返った台所も
その時のまま
そこにあるだけでいい
