不動産ビッグデータから不動産の将来動態予測にチャレンジする理由
TRUSTART株式会社の大江です。
不動産業界は今、大きな転換点に立っています。特に、2026年10月に予定されている「不動産登記受付帳の閲覧停止」は、業界のあり方を根本から変えてしまうほどのインパクトを持っています。
この「不動産業界の2026年問題」を前に、私たちは不動産ビッグデータを用いた「将来予測」という新たな領域に踏み出し、「不動産動態予測コンソーシアム」を設立しました。今回は、なぜ私たちがコンソーシアムを設立したのか、その背景をお伝えします。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000079172.html
1. 2026年10月、不動産市場に訪れる「情報の暗黒時代」
これまで不動産・金融業界では、不動産登記受付帳から相続や売買の動きを把握し、効率的なマーケティング・営業活動を行ってきました。しかし、2026年10月の閲覧停止により、市場の動きは完全に「ブラックボックス化」してしまいます。
業界が直面する「3つの課題」
市場把握の困難化: 不動産の異動情報が見えなくなることで、市場の透明性が著しく低下します。
営業活動の非効率化: データに基づいたアプローチができなくなり、多大なコストをかけた「勘と経験」の営業へ先祖返りしてしまいます。
戦略立案の行き詰まり: 正確な市場動向の予測ができず、投資判断や経営戦略に悪影響を及ぼします。
この状況を打破するため、私たちは「過去の記録を追う」ことから、「未来の発生を予測する」ことへチャレンジする決断をしました。
2. 業界横断の「面の資産」を創る ── RETAPの構想
一社だけで収集できるデータには限界があります。そこで私たちは、個社の「点の情報」を業界全体の「面の資産」へと変える共創型プラットフォーム、「不動産動態予測コンソーシアム(RADI)」を立ち上げました。
※コンソーシアムのプレスリリース
会員企業が持つ登記情報を所有企業や個人情報を匿名化した状態で統合し、AIで高度に分析することで、これまで不可能だった「将来の売買・相続」を高精度で予測します。
また、独自の生成AI解析技術とビッグデータ解析により、各物件に対して不動産の数年以内の予測売却率や予測相続率を付与するほか、想定される不動産オーナーの年齢や性別、家族構成、自用か否かなどの属性を推測していくことを想定しています。
3. 「将来予測」が変える、具体的な営業シーン
この予測データは、日々のビジネス現場でどのように活用されるのでしょうか。
① 不動産仲介:仕入れ営業の劇的な効率化
これまでは「相続が起きた後」など不動産に動きが起こった後にアプローチを開始していましたが、AI予測を使えば「相続や売買が発生する可能性が高い層」への先回りした提案が可能になります。
活用法: 予測売却率が高いエリア・物件オーナーに絞ってDM、テレアポ、訪問などを実施。
メリット: 無差別に営業することなく、獲得コストを大幅に削減しながら、他社が気づく前に不動産売買提案の接点を作ることが可能。
② 金融機関:最適なタイミングでの融資・資産管理提案
銀行や証券会社における富裕層・融資先開拓、および資産管理の現場は、いまだに「顧客のライフイベントを事後的に知る」という受動的なアプローチに頼らざるを得ない状況にあります。しかし、AI予測を活用することによって、この営業スタイルが抜本的に変革します。
活用法: 予測データをそのまま活用することに加えて、自社のCRM等に組み込み、既存の顧客データ(金融資産残高、家族構成、年齢など)とリンクさせることもできます。
メリット: 資産状況とライフステージ、そして「不動産の動き」を統合して可視化することで、より高度な予測と、生前贈与や相続税対策といった、一人ひとりに最適化された精密な総資産営業が可能。
4. なぜ「コンソーシアム」なのか ── 数百億円の壁
自社単独で5,000万件規模の不動産登記簿を解析し、予測基盤を構築しようとすれば、登記簿の取得だけでも数百億円規模のコストが発生しますし、解析やインフラ構築に関するコストも必要になってきます。
これは現実的に一社だけで負担できる規模ではありません。しかし、RDAIでは学術機関やシンクタンクとの共同研究体制を構築することにより、高度な解析結果を月額数万円というわずかな会員費で享受することを可能にしています。
加えて、お手元の紙やPDFの登記簿を生成AIで瞬時にデータ化し、売買可能性などの属性を付与する機能も提供します。これにより、情報の整理と未来の予測を同時に実現することが可能です。
不動産業界の持続的成長のために
2026年10月の閲覧停止は、業界が進化するための試練です。私たちは、データとテクノロジーの力でブラックボックス化を防ぎ、不動産流通の未来を可視化することで、これまで以上に不動産関連取引を活性化させ、クライアントの企業価値や国益を最大化するインフラになれるようチャレンジしていきます。
いいなと思ったら応援しよう!
この記事は noteマネー にピックアップされました

