良い伴走支援、うまくいかない伴走支援――結果ではなく、関わり方の違いを見る。

良い伴走支援、うまくいかない伴走支援
――結果ではなく、関わり方の違いを見る。

ここまで、成長ドライバ理論を基盤とした伴走支援の考え方とプロセスを見てきました。
本稿では、同じように「伴走支援」を名乗っていても、なぜ成果に差が生まれるのかを整理します。
重要なのは、良し悪しを短期的な成果で判断しないことです。
売上が上がったかどうか。
施策が実行されたかどうか。
それだけでは、伴走支援の質は測れません。
違いが現れるのは、支援者がどの地点で、何をし、何をしなかったかです。

■うまくいかない伴走支援に共通する特徴
まず、うまくいかない伴走支援に見られる典型的な特徴を整理します。
一つ目は、課題解決に急ぎすぎることです。
伴走支援者
「診断結果を見ると、ここが弱いですね。
まずはこの施策から始めましょう。」
この関わり方では、診断が「思考を整理する道具」ではなく、「正解を導く装置」になってしまいます。
結果として、経営者は自分で考える前に、選択肢を渡されることになります。
成長ドライバ理論の観点では、これは一つのドライバだけを先に動かしてしまう介入です。
他のドライバとの整合性が確認されないまま変化が起きるため、影響の伝播が歪みやすくなります。

■「分かっている経営者」を急かしてしまう支援
二つ目の特徴は、経営者の迷いを「抵抗」と捉えてしまうことです。
経営者
「やった方がいいのは分かっているのですが……。」
この言葉に対して、
伴走支援者
「分かっているなら、やりましょう。」
と返してしまうと、支援はそこで止まります。
この迷いは、怠慢ではありません。
影響の伝播を無意識に感じ取っている状態です。
理念を動かせば現場はどうなるか。
仕組みを変えれば信頼関係はどうなるか。
経営者は、それらを同時に考えています。
伴走支援がうまくいかないのは、迷いを消そうとしたときです。
迷いを整理する代わりに、押し切ってしまうと、経営者の判断主体性は弱まります。

■ 良い伴走支援に共通する視点
一方で、良い伴走支援には、いくつかの共通点があります。
第一に、支援者が「全体」を見続けていることです。
一つの施策や一つの発言が、どのドライバに影響し、他にどう波及するかを常に意識しています。
伴走支援者
「この判断をすると、
現場の行動はどう変わりそうでしょうか。」
この問いは、正解を求めていません。
影響の連鎖を一緒に見渡すための問いです。

■ 介入を遅らせるという判断
良い伴走支援では、支援者が意図的に介入を遅らせる場面が多く見られます。
経営者
「そろそろ決めた方がいいですか。」
伴走支援者
「決めること自体はいつでもできます。
もう少し、影響を整理してからにしませんか。」
このやり取りは、成果を遅らせているように見えるかもしれません。
しかし実際には、判断の質を高めています。
成長ドライバ理論は、支援者に「今は動かさない」という選択肢を与えます。
これは、影響の伝播を見越しているからこそ可能になる判断です。

■ 良い伴走支援は、経営者を主語に戻す。
良い伴走支援の最大の特徴は、経営者が再び主語になることです。
経営者
「これは、私が決めます。」
この言葉が出てくるとき、支援は正しい方向に進んでいます。
支援者が優れているからではありません。
経営者自身の判断基準が整理されつつあるからです。
成長ドライバ理論に基づく伴走支援の目的は、
正しい答えを出すことではなく、
経営者が自分の判断を引き受けられる状態をつくることです。

■ 成果は、後からついてくる
最後に確認しておきたいのは、成果の位置づけです。
良い伴走支援では、成果は目的ではなく、結果として現れます。
判断が整理され。
迷いの構造が見え。
小さな行動が整合的に積み重なる。
その結果として、売上や組織の変化が現れます。
次稿では、こうした伴走支援を支えるために、支援者自身にどのような力が求められるのかを整理していきます。
理論や技法ではなく、「支援者のあり方」に焦点を当てます。


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