のり帖|第四話:ネモフィラ風・春キャベツと紫キャベツの一枚
焼きすぎても、
パリパリになっても、
そのかけらがうれしい日がある。
今日はそんな記録です。

春キャベツと紫キャベツ、大根。
春キャベツと紫キャベツをゆでて、
すりつぶして、
大根もすりおろす。
紫キャベツに、
少しだけ魔法をかける。
紫が、青へと色を変える小さな瞬間。
クッキングシートに、
うすくのばして、
ネモフィラを咲かせるみたいに、
ぽつぽつと青をちりばめる。
本物のネモフィラを思い浮かべながら、
そっとオーブンへ。

扉を開けると、
真ん中だけ、まだしっとり。
もう少しだけ、と
15分焼き足してみた。
表面はぱりぱりに乾いて、
しっかり焼けた手ごたえ。
でも、そっとはがそうとしたら――
一枚にはならず、
パリッと割れて、
小さなフレークになった。

思っていたかたちは消えたけれど、
こぼれたかけらのなかに、
春がちゃんと息づいている気がした。
今日はそんな春のかけらと、
静かにテーブルを囲もうと思う。

なんだか主役みたいで。
この青を、焼いてみたくなったんです。
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過去のお話はこちらから:
・第一話:菜花と昆布の一枚
・第二話:春キャベツと紫キャベツ
・第三話:新玉ねぎとにんじんの一枚
