「実務補習って大変?」地方在住の私が8日間を終えて思ったこと
今回は、中小企業診断士の登録前に行う実務補習についてお話します。
実務補習を終えた率直な感想を一言で表すと、「大変だったけど、濃密な8日間」でした。
実務補習が近づいてくる私の心境は、
「どんな流れで進むのだろう」
「班員とはうまくやっていけるだろうか」
「報告書は本当に完成するのだろうか」
と、期待よりも不安の方が大きかったように思います。
実務補習について紹介している記事は多くありますが、「実際にどんな雰囲気で進むのか」「班ではどんなことをしているのか」といったリアルな体験談は、それほど多くありません。
そこで今回は、私が受講した7月コース(8日間)の流れや感じたことを、これから受講される方の参考になればと思い、振り返ってみます。
※守秘義務がありますので、企業名や提言内容などには触れず、公開可能な範囲で記載しています。
実務補習は、集合日の1週間前から始まっていた
私が参加したのは、7月9日~12日、7月18日~21日の8日間です。ただ、実際には集合日より約1週間前から実務補習は始まっていました。というのも、
指導員の先生からメールが届き、実務補習で使用する報告書のフォーマットや、診断先企業の名称、所在地、代表者名などが共有されました。同時に、経営戦略、財務、人材、ITなどの担当希望を提出するよう案内がありました。
数日後には担当が決まり、その後は班のリーダーから連絡がありました。
リーダーからは、
診断先企業について事前調査を行うこと
業界や競合など外部環境を調べること
初日のヒアリングで確認したい事項を考えてくること
以上を各自でやってくることと、宿題が出されました。また、共有ドライブの案内もされ、班員全員が調査結果を随時アップロードできる環境が整えられました。
「当日集まってから考える」のではなく、顔を合わせてない事前準備の時点で実務補習が始まっている感じでした。不安…。
私が事前に準備したこと
私はまず図書館へ行き、『業種別審査事典』を読みました。業界の特徴や一般的な経営課題を把握し、「この会社にも当てはまりそうなことは何だろう」と仮説を立てていきます。
さらにGoogleビジネスプロフィールやSNSも確認しました。お客様はどのような点を評価しているのか。逆に、不満として挙げられていることは何か。
もちろんSNSだけで経営課題は分かりませんが、ヒアリング前に仮説を持っておくことは、その後の質問の質を大きく左右するように感じました。
いよいよ初日
私は石川県在住のため、前日に現地入り。
遠方から参加される方は、費用との兼ね合いもありますが、前泊をおすすめします。特に台風や大雨など、天候による交通機関への影響は地方在住者にとって無視できません。余裕を持って現地入りしたことで、当日は落ち着いて参加することができました。
午前中は班員との顔合わせ。午後から診断先企業へのヒアリングが予定されていたため、自己紹介をしながら、事前調査の内容や仮説を共有しました。
印象的だったのは、「まだヒアリングもしていないのだから、仮説だけで決めつけるのはやめよう」という空気が自然とあったことです。
事実と推測をきちんと分けながら議論しようという姿勢は、さすが登録前とはいえ診断士だなと感じました。
最初は少し圧倒された
自己紹介では、それぞれの経歴や現在の仕事について話しました。
大手企業の管理職、専門職など、さまざまな経験を積まれた方ばかりで、最初は正直少し圧倒されました。
一方で私は現在、独立準備中の身です。「このメンバーの中で自分は貢献できるだろうか。」そんな気持ちもありました。
しかし、話し始めると、その不安はすぐになくなりました。皆さんが自然に話を振ってくださり、意見にも耳を傾けてくださる。年齢や立場ではなく、「より良い診断報告書を作る」という共通の目的に向かって議論している感覚がありました。
議論は厳しい。でも、とても温かい
初日の午後は診断先企業へのヒアリングを実施しました。約2時間にわたり社長からお話を伺い、その後は懇親会も開催されました。
社長の許可をいただいた上で録音を行い、文字起こしまで対応してくださる班員もいたため、翌日以降の分析は非常にスムーズでした。
2日目以降は、SWOT分析をもとに経営課題や改善提言について議論を重ねました。
実務補習というと、厳しい雰囲気を想像される方もいるかもしれません。しかし、私たちの班は、その逆でした。指導員の先生は終始穏やかな口調で進行されます。
もちろん内容については一切妥協せず、
「その提言は事実から導けるのか」
「本当に実行できる提言なのか」
と鋭い質問が飛びます。ですが、それは誰かを否定するためではありません。より良い診断報告書を作るための問いでした。班員同士も互いの意見を尊重しながら議論を進めます。
「その視点は面白いですね。」
「そこはもう少し深掘りしてみませんか。」
そんなやり取りが自然に行われ、誰でも安心して発言できる雰囲気がありました。心理的安全性の高さは、この班の大きな強みだったと思います。
前半戦と後半戦の間が一番大変でした
4日目までで報告書全体の方向性を決め、その後は各担当が報告書を執筆します。私はこの期間、自宅や図書館で集中的に作業を進めました。ただ、家族の介護や子どもの体調不良など、予定どおり作業できなくなる可能性も考え、できるだけ早めに書き上げることを意識しました。
結果的に家族の緊急入院もありましたが、前倒しで進めていたことで大きな影響を受けずに済みました。リスクを見越したスケジュール管理の重要性を実感しました。
報告書づくりは最後までチーム戦
後半戦では、各担当が作成した報告書を全員で読み合わせ、フィードバックを行います。報告書は80~100ページほどになります。読むだけでもかなりの体力が必要で、お菓子や甘い飲み物は欠かせませんでした(笑)。
その後は企業概要や表紙なども分担し、最後はWordファイルを一つに統合します。これが意外と大変でした。。フォントや余白、表の位置など細かな違いを修正しながら体裁を整え、印刷会社へ持ち込みます。製本された報告書を受け取った瞬間は、「本当に完成したんだ」という達成感がありました。
最終日はリハーサルを行い、午後から診断先企業へ報告。約2時間のプレゼンを終え、8日間の実務補習は幕を閉じました。
私が実務補習で得たもの
今回、私には二つの目的がありました。
・自分に不足しているスキルや振る舞いを明確にすること
・人とのつながりを作ること
人脈という点では、期待以上の成果がありました。
年代も業種も異なる方々と、中小企業診断士という資格をきっかけにつながることができました。この資格の持つネットワークの強さを実感した瞬間でもありました。
また、自分の課題も明確になりました。
特に、財務分析を業種特性まで踏まえて読み解き、そこから仮説を構築する力。そして、相手が納得し、行動したくなるように、ロジカルでありながらナラティブに、必要な場面ではクリティカルに伝える力。
この二つは今後の課題として磨いていきたいと思います。
最後に
実務補習を終えた後は、独立診断士として動き出すことを目標にしています。が、一方で「うまくやっていけるか」不安がつきまとっている…状態でした。
しかし、今回の実務補習の中で、ベテラン指導員の先生から経験談や診断士制度の歴史、この資格が社会で果たしてきた役割などを伺う中で、その不安は軽減しました。もちろん地域特性などの違いはあるものの。
実務補習は決して安い出費ではありません。特に私は宿泊費や移動費なども上乗せしてます。それでも私は、「費用以上の価値があった」と胸を張って言えます。
知識だけでは得られない経験、人との出会い、自分自身の課題の発見。そして、「これから診断士として歩んでいこう」と背中を押してくれる時間でした。
8月は2度目の実務補習が控えています。それまでに「世界99」読み終えたい。
以上、これから実務補習を受講される方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
