新「攻殻機動隊」監督のモコちゃんって、誰やねん?
つい先日、来年放送予定のサイエンスSARU版「攻殻機動隊」特報第2弾ってやつを目にした。
これのことである↓↓
今回、新たに分かったことは
監督/モコちゃん
脚本/円城塔
キャラデザ/半田修平
ということである。
まず、ここで円城塔という名を見て「おおっ!」と思った人は多いだろう。
彼は「屍者の帝国」(伊藤計劃と共著)で日本SF大賞特別賞、および星雲賞受賞というバリバリの本格SF作家であり、また理系でありつつも芥川賞受賞作家という変わり種でもある。
最近では「ゴジラS.P」の脚本を手掛けたわけだが、その内容があまりにも本格SFすぎて「よく理解できなかった」という視聴者が続出したという。
その円城さんが「攻殻」を手掛けるとなると、ただでさえ難解な「攻殻」が一層難しくなるのは間違いないよ。
・・いや、今までの「攻殻」の難解さは、どっちかというと押井守版を源流とする「文系としての難しさ」だったんだよね。
ところが今度は、ほぼ間違いなく「理系としての難しさ」で攻めてきやがる。
これ、多分ハードル高いよ~。
そして、キャラデザの半田修平さんの名を見て「おおっ!」と歓喜した人もいるはずさ。
この人はガイナックス出身、TRIGGER系のアニメーターである。
この作品↓↓におけるキャラデザで有名な人かと。
「リトルウィッチアカデミア」

さて、半田さんと円城さんまではイイとして、問題は監督である。
この監督の「モコちゃん」って、誰やねんw
いや、実はこのモコちゃん、皆さんもよくご存じ、このエンディングアニメ↓↓を作った人なんですよ。
思えば、「ダンダダン」の監督は山代風我という湯浅政明さんのお弟子さんっぽい人だったが、モコちゃんもまた同じく湯浅系の門下生らしいね。
「ダンダダン」では副監督でもあったらしい。
あと、前半のヤマ場、第4話(ターボババアと対決)の絵コンテおよび演出が彼だったとやら。
うむ、あの回はかなり好き。
・・ただ、モコちゃん、この名前ってどうにかならなかったのか(笑)?
これじゃ性別すら不詳で、みんなこういうイメージ↓↓を抱くと思うぞ?

いや、実のところ性別は男性であり、本名は木村翔馬さんという人らしい。
しかし私は「本名を名乗った方がよくね?」と思ってるクチで、というのも今は別にイイとして、彼が70代とかになって大御所になった際、そこで周りから「モコちゃん」と呼ばれるのは案外キツイでしょう・・?
ま、いいか。
とにかく
<ハードSF>円城+<TRIGGER系>半田+<湯浅系>モコちゃん
というこの3人の化学反応がどうなるかは、まるで想像がつかない。
期待半分/心配半分といったところですわ。

それにしても、サイエンスSARUが「攻殻」やるということ自体、皆さんは意外だと思わなかった?
私、こういうのはてっきりProductionI.G⇔士郎正宗の間で独占契約があるものだとばかり思ってたので・・。
正直、よりによってSARU?と思ったわ。
これがBONESとかMAPPAならまだしも、あのSARUだよ?
もともとここは湯浅政明さんが作った会社で、どっちかというと文芸寄り、アート寄りの作風が売りのところだし、少なくともサイバーパンク系が売りなんかじゃないから。
・・と考えていたところに、昨年いきなり出てきたのがこれですよ↓↓
「ダンダダン」(2024年)

・・そう、これも「全然SARUらしくない」作品だったよね。
じゃ、アカンかったのか?といえば、いやいや、そんなことはない。
むしろ、めちゃくちゃ良かった。
というかさ、
もし創業者の湯浅さんが社長のままだったら(彼は2020年退社)、この「ダンダダン」の企画は無かったのでは?

というのも、今まで常に「内角高めギリギリ」ばかり狙ってきた湯浅さんのピッチングから考えると、「ダンダダン」ってのはあまりにも狙うコースが「ド真ん中」すぎるのよ。
うむ、サイエンスSARUはここにきて大きく変わったと見るべきだろう。
その変わるに至った一番の契機というのは
SARUが昨年夏に買収され、東宝の完全子会社になったことである。

この影響は大きかったと思う。
・・いや、正直いってこれ、SARUにとって悪い話じゃなかったの思うのよ。
それまでは
「常に良い作品を作るが、一方、常に興行収入が大したことないSARU」

というのがアニメ界の共通認識だったわけでしょ?
「夜は短し歩けよ乙女」5.3億
「夜明け告げるルーのうた」不明だが、1億~2億程度と推測
「きみと、波にのれたら」2.5億
「犬王」3.5億
これでどうやって会社を経営していけというんだ?(SARUは寡作の会社である)ということもあり、2020年に湯浅さんが社長退任したのもそのへんが無関係とは思えん。
・・で、こういう時に颯爽と現れるのがこの人ですよ↓↓
東宝プロデューサー川村元気

あるいは、山田尚子の京アニ⇒SARUという移籍からして、それは最初から川村さんのコーディネートだった可能性もあるよね?
多分、東宝のSARU買収はよほどの「再建策」がないことには厳しかったと思うし、その実現には山田さんぐらいの目玉は必要だったかもしれん。
で、そのへんの真相はともかく
<2024年7月>
SARU、東宝の完全子会社化
<2024年8月>
山田尚子「きみの色」公開
<2024年10月>
SARU、「ダンダダン」放送開始
という一連の流れは、どこかSARU「メジャー化」っぽいものを感じさせるものである。
それこそ、新海誠「君の名は」(川村プロデュース)でのメジャー化と同じニュアンスとでもいうべきか・・。
で、そんなSARUの2025年における最大の目玉が「ダンダダン」2期である。
この2期が1期と少し違う点は、監督が山代風我さん単独でなく、共同監督にアベル・ゴンゴラというスペイン人が入ってるんだ。
いや、彼の登用自体に東宝は関係ないと思う。
というのも、彼を欧州から引っ張ってきたのは湯浅体制の時の話だから。
この人、前歴があのアカデミー賞の常連「カートゥーンサルーン」らしいぞ?

で、彼はFlashアニメーターとしてSARUにスカウトされ、湯浅監督作品の「夜明け告げるルーのうた」では、彼を含む数名のFlashアニメーターによる<全編Flashアニメ>だったんだ。
未見の方は、この<全編Flash>というのが実際どういうものか、ぜひ作品を見てもらいたいと思う。

こういうのって、湯浅さんがSARUに残してくれた素晴らしい遺産だと思うんだよね。
で、このゴンゴラさんはその後もSARUで引き続き大活躍してくれてるのよ。
中でも一番記憶に新しいのは、やっぱ「ダンダダン」のOPだな↓↓
これの絵コンテ/演出はゴンゴラさんなんです。
超センスあるわ~!
っていうかさ、この「ダンダダン」に湯浅さんは全く無関係なのに、なぜかこのオープニングのセンスしかり、本編の山代さんのセンスしかり、全部が「湯浅っぽい」のが不思議である・・(笑)。


その一方、山田尚子さんは多分湯浅さんが社長を降りたタイミングぐらいでSARU入りしてると思うし、御二人はきっとほとんどカブってないはずなんだが、なのに
そんな彼女が作るアニメにも、「湯浅っぽい」ニュアンスを感じるのさ。

これがまた不思議でねぇ・・。
じゃ、ここで山田尚子が2024年に制作した短編アニメ、「Garden of Remembrance」を見ていただきましょう↓↓
「Garden of Remembrance」本編約18分
・・はい、この内容、すぐにちゃんと理解できました?
ぶっちゃけ、セリフが1個もないから理解が難しいと思うんですよね。
人によっては、ギターのある部屋で女子がダッサイTシャツを着てゴロゴロしてるもんだから、「けいおん」唯をイメージしてしまったかもしれない。
まぁ、確かに足の太い描写は「けいおん」っぽかったけどさ(笑)。
でも、ドラマの内容はむしろ「けいおん」の真逆ですわ。
哀しい系、切ない系の物語である。
ストーリーとしては
・ヒロインは1人暮らし
・その部屋は、どうやら以前にカレシと同棲してた部屋っぽい
・でも今カレシはいない⇒きっとカレシは亡くなったんだろう
・途中出てきたメガネ女子は多分そのカレシの元カノ、もしくは単に友人?(だとしてもメガネ女子は想いを寄せていた)
・途中に出てきた花は、多分「カレシが好きだった花」(メガネ女子は追悼の意味で花を買ったんだろう)
・おそらくヒロインとメガネ女子は面識がない
・ただ、町でメガネ女子が持ってる花を見て、ヒロインはその花のことを思い出す
・これまでカレシを失った心の傷から虚無になってたヒロインだが、その花を通じて過去の幸福を振り返り、心に踏ん切りをつける
・ヒロインはその部屋を解約して引っ越しをし、やがて別の環境で再出発したと思われる
というのが大まかな概要でしょうね。

でもさ、これってやっぱり難しいでしょ?
こういう言い方も少しあれだが、おそらく東宝的には「売れること」を期待して山田尚子をSARUに引っ張ってきたという流れだろうに、
当の彼女はアート路線をひた走り、ぶっちゃけだんだん「湯浅化」してきてる気が・・w

正直、京アニ時代の山田さんの方がむしろ「売れセン」だったよね(笑)。
・・というわけで、たとえ創業者がSARUを去ったところで、
依然、呪いのようにしてSARU内にはびこる「湯浅イズム」w

・・いや、私はそれでも別にイイと思うのよ。
こういうのはSARUのカラーなんだし。
せっかく湯浅さんが残してくれたものだし、むしろSARUの全員で継承していってほしいものである。
ただ、SARUは相変わらず年に制作が1~2本というペースで、今後に何か大ヒットがない限りやっぱりペイしないぞ?



