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<文学>と<アニメ>の微妙な関係性

今回は、「文学とサブカル」をテーマにして少し書いてみたい。

「文学」と聞いて、私がまず最初にパッと思い浮かぶのが芥川賞直木賞である。

<芥川賞と直木賞>

で、実をいうと昨年は芥川賞も直木賞も「該当作ナシ」でした。

※これは上期で、下期には受賞作は出ました

こういうニュースを聞き、「うわっ、日本の作家のレベルは落ちてきたのか・・?」と危機感を覚える人も中にいたのかもしれん。
正直、芥川賞も直木賞も昔に比べて注目度がだいぶ落ちてきてると思うんですよ。
近年の傾向として、やはり文学賞としては「本屋大賞」の方に世間の注目が集まってるんじゃない?

なお、芥川賞・直木賞が文壇のお偉い先生方がプロの目線で作品を選考するに対し、本屋大賞の方は全国書店の店員たちの投票により決定するシステムだという。

そうね、これを分かりやすく映画のコンペで喩えるなら、

芥川賞・直木賞⇒カンヌ国際映画祭選考方式
本屋大賞⇒米アカデミー賞オスカー選考方式


という感じになると思います。

ちなみに、カンヌの選考者の数は8名なのに対し、米アカデミー賞の選考者の数は10000人以上。
10000人以上って、もはや総選挙じゃん・・。

だけど、やっぱカンヌの金獅子賞の作品とかは見てて「??」となっちゃうことが多いでしょ?
ようは高尚すぎるのよ。
それに対し、米アカデミー賞オスカー作品はそういうのがほぼ無く、見てて「さすが!」と納得させられることの方が多い。

で、このへん<芥川賞・直木賞⇔本屋大賞>の構図とほとんど同じなのさ。

で、芥川賞・直木賞を仕切ってるのが文藝春秋社なんですよね。
大正時代からある老舗出版社であり、古くから文学界で最も権威あるところかもしれない。

・・とはいえ、私は「このままいくと、いずれは文藝春秋社もどこかに合併吸収されちゃうんだろうなぁ・・」と思っています。
事実、売上的に見れば文藝春秋社は業界の弱小ですし・・。

<出版業界売上ランキング>

【1位】集英社⇒1529億

【2位】講談社⇒1449億

【3位】KADOKAWA⇒1281億

【4位】小学館⇒943億

(中略)
【10位】文藝春秋社⇒204億

・・はい、ぶっちゃけのところ売上が200億程度しかないんですね。
そのくせ週刊文春の取材力だけは業界でもピカイチだし、「文春だけ欲しいなぁ」と思ってる企業は複数あるでしょう。
ただ仮に買収するとなると、もれなく純文学(←売れません)がついてくるんですけど・・。

結局、文藝春秋が売上200億程度なのは、上位の社みたくメディアミックスを積極的に仕掛けないからでしょ?


たとえば芥川賞や直木賞の受賞作品で、大規模なメディアミックスは今までないと思う。
いくつか実写映画化、もしくはドラマ化はあったが、アニメ化というところまで踏み込んできた例は今まで一切ない。

「メディアミックス(アニメ化)は文学の品位を落とすことに直結する」

という考え方が、いまだ文藝春秋社の中で根強くあるのかもしれませんね。

まぁ、そういう保守派(?)の言い分も分からんではないし、むしろ正論だとさえ思うが、しかし市場経済システムの中でその正論を貫くのは正直厳しいですよ。
・・そうねぇ、今から何年後か知らんが、文藝春秋がたとえばKADOKAWAあたりに買収されてる状況を少し想像してみてください。
これはこれで、逆に面白いと思いません?
今まで「純文学が好きです」「特に谷崎潤一郎が好きです」とか言ってた人が、買収以降はKADOKAWAの<萌え>と邂逅するんだよ?
これぞ耽美ミーツ萌え、ですわ。

谷崎潤一郎の世界観<耽美>

KADOKAWAの世界観<萌え>

何か、凄くイイ化学反応が起きる気がするのは私だけ・・?


じゃ、あるいは文藝春秋が集英社に買収されるパターンもシミュレーションしておこうか。
当然、買収以降は今まで文学に携わってた人たちにも<友情・努力・勝利>の三原則が徹底して叩き込まれることになるだろう。
またその一方で、現状における集英社少年誌の文学的要素の脆弱さを元文藝春秋社員側から指摘されることにもなるだろうし、意外と良いカタチで化学反応が起きる可能性もあるんです。
その顛末として、私の予想では<三原則>が<四原則>へと強化されることになるのかと。

<新ジャンプ四原則>

【友情】

【努力】

【勝利】

【耽美】

こういう落としどころになる公算が高いだろうな。
・・うむ、おそらく文学がそのうち再びクルね!

さて、文学色の強い出版社といえば文藝春秋だけじゃなく、あともうひとつ新潮社というところも忘れてはいけません。

ここは歴史が文藝春秋よりさらに古く、発祥は明治時代であるとのこと。
老舗だねぇ・・。
ただ、ここは自社の売り上げを公表してないから詳細がよく分からんのだが、とにかく経営はかなり厳しいらしい。
ここ最近「成瀬は天下を取りにいく」が予想を超えるベストセラーになり、一部では「成瀬が新潮社の経営危機を救った!」といわれてますよね。

で、この新潮社は文藝春秋社に比べると、「ウチらもメディアミックスしていかないとそろそろマズいよね・・」という姿勢が伺えて、実際にここ最近新潮社系のアニメがぼつぼつ目につくようになったんだわ。

「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」

「天久鷹央の推理カルテ」

「しゃばげ」

「アン・シャーリー」

「お前はまだグンマを知らない」

「カヤちゃんはコワくない」

・・ね?新潮社さんは意外とメディアミックスに頑張ってるだろ?
上記の中では特に「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」が好評で、ここ数年のラブコメの中でも上位に入るほどの出来だったんじゃない?

まぁ、新潮社は最近コミック事業にチカラを入れるようになってきてるのでそこが文藝春秋社と決定的に違うのさ。

ちなみに文藝春秋は漫画を取り扱ってません!

さすがですよねぇ・・。
そこまで徹底されると、逆に清々しい。

しかし、じゃアニメを含むメディアミックスを全くやってないのかといえば実はそうでもなく、最近ではこういうアニメ↓↓をやってました。

「烏は主を選ばない」(2024年)

制作:NHK

これ、めっちゃ面白かったですよ。
いわゆるドンデン返し系のプロットで、何度も「うわぁ~、やられた!」となる展開。
文春文庫で人気の「八咫烏」シリーズというやつみたいですね。
ただし、これはコミカライズを講談社がやってるので、正直どっちが主導のメディアミックスかはよく分かりません。

とにかく、ここ近年で文春系のアニメはこれ以外に見当たらないし、あまりメディアミックスそのものに興味ない社なのかも・・。
原作者がオファーを受けたら後追いで容認する程度の動きで、自ら積極的に仕掛けていこうという意思はないように感じる。

とはいえ、当の作家さんはメディアミックスに意外とノリノリだったりするものなんですよ。
・・たとえば、文藝春秋の<心臓>というべき芥川賞を受賞した作家さんでありつつ、飄々とアニメ畑に降りてきて脚本をさらさら書いてくれる先生もいらっしゃいます。

そう、皆さんもご存じの彼↓↓のことですわ。

円城塔(2012年芥川賞受賞)

円城先生は、今年放送予定の「攻殻機動隊」の脚本を書きます。

少し前には、「ゴジラS.P」の脚本を書きました。
(アタマよくないと理解できない、めっちゃ難解な脚本でしたが・・)

その少し前には、「スペース☆ダンディ」の脚本を書いてました。
(これは、めっちゃ笑えるやつだったw)

円城脚本回は第11話と第24話

この人、本質はゴリゴリの理系(東北大理学部物理学科卒)で、確か博士号まで持ってたよな?
そんな人が文系の本丸である芥川賞とること自体おかしいんだが、でも彼、芥川賞以外に川端康成文学賞とか読売文学賞とか野間文芸新人賞とか、文系の賞をほとんど総ナメしてるわ(笑)。
一応、日本SF大賞も2度とってるが、なぜか数としては文系の受賞の方が多いんだよね。
一体、どういう人やねん?

「ゴジラS.P」

で、彼は最初にとったのが文學界新人賞(文藝春秋主催)という人であり、実はゴリゴリの文春派。
こういう稀少な先生が脚本を書いて下さるわけですから、今年の「攻殻」はできれば皆さん、正座して見るように!

・・そうだな、文春、新潮以外であと文学色がありそうなのは、中央公論社岩波書店といったところか?

あぁ、岩波書店のメディアミックス(アニメ化を含む)とか一度見てみたいなぁ・・w


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