午前2時、タケオキクチのスーツに身を包んだ男性が床に
腕には煌めくブライトリングの時計を付けて、細身のタケオキクチを肉厚の身体にまとい、周作は群を抜いて垢抜けて目立っていた。
100人ほどの格闘技集団が、高校時代の恩師の引退を讃える為に、地方の某有名ホテルへ集まっていた。
私は、ホテルでの会合を終えた周作を迎えに行く。その帰りに、周作の後輩夫婦と食事を予定してもらっていた。少し濃いめのメイクに、黒のヒラヒラなデザインでふわふわの生地のノースリーブ、下は真っ赤なワイドパンツにヒールをカツカツと響かせて、有名ホテルのトイレでメイクを確認していた。
会合を終えた周作から電話が鳴る。
「予定変更だよ。なんだか後輩大勢でご飯に行くことになった。悠生も一緒に」
なんだとぅ!?
とにかく、ホテルの裏から玄関口へ車を走らせると、体格の良い好印象の男性陣が5、6人、私の車へ流れ込んできた。そこから市の飲み屋街へと出向く。車内でApple Musicの洋楽ヒッツを流してみた。酔って明るく爽やかな人たちに色々と何か聞かれたけど、緊張して全然答えられなかった。皆とても気くばり上手で、会話下手な私に気づくとさりげなくその日の振り返りなんかを話してくれてたりして、そんなこんなしてるうちに予約のお店周辺の駐車場へ到着した。駐車が下手な私に代わると皆が申し出てくれる。優しくしてもらえて幸せだ。下手なことばかりで、私は一体何が得意なんだろうか。そうだ、フォローしてもらうことが得意だ。そんな得意ってあるんだろうか。
お店に着くと、上座の真ん中に周作と私が座り、SPのような後輩達が正座して飲物の手配などしてくれた。組長と姐さんて、きっとこんな感じなのだろうかとシラフの私はひたすら食べ物を食べながら思った。
その二次会は24時過ぎに終わったのに、駐車場の場所が分からなくなりひたすら歩いて、帰宅したのが2時。
酔った周作は、先にマンションに入って床に転がっていて、下から私がインターホンを鳴らしても寝てしまってなかなか鍵を開けてもらえなかった。
そんな楽しい夜も、もう先月の話。
