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【FOCUS!】 写真も人の生も、いっときの夢のようなものなのか 「杉本博司 絶滅写真 」(東京国立近代美術館)

写真の世界の「いまならこれ観る」をご紹介。


 東京国立近代美術館で「杉本博司 絶滅写真」展が開かれています。およそ半世紀に及ぶ創作活動全体を見通す大規模回顧展です。

 明確なコンセプトと、それを作品化するたしかな技術に支えられた作品群は、どれも息を呑む美しさを湛えて見応えじゅうぶん。時を忘れていつまでも耽溺していたくなります。

 展示は3章に分かれます。1章「時間・光・記憶」は、アメリカ自然史博物館のジオラマ展示を撮った〈ジオラマ〉、映画一本分の長時間露光でスクリーンを白光と化す〈劇場〉、原始の人も見たであろう水平線が延びる眺めを世界中で収集する〈海景〉という「初期3部作」シリーズで構成されています。モノクロプリントの見事さにも注目したいところです。

 2章「観念の形」では、近代建築のシルエットとボリュームだけを撮る〈建築〉、ファッションをテーマとした〈スタイアライズド・スカルプチャー〉などが観られます。人の思いは写真に写るのか、という問いへのひとつの答えになっている面もありそうです。

 そして3章「絶滅写真」では、写真術の始祖タルボットのネガを、ポジとして焼き直した〈フォトジェニック・ドローイング〉、プリズムで分解した太陽光からなめらかな色の諧調を得る〈Opticks〉などが並びます。色というものが生じる不思議さを、改めて感じさせます。


 杉本博司は今展に「絶滅」という言葉を付しています。銀塩写真の終わり、人類の文明の終わり、そして自身のキャリアの終わりが近いことを感じながら構想したからだとのこと。
 ものごとの終焉をそこかしこで強く思わせる作品の数々と対面していると、写真自体や被写体そのものが「在る」ことのありがたさ、いとおしさを強く感じます。

 また、展示を通覧すると、写真とはこれほどまでに朧げなものか、と改めて思います。それぞれの写真は磨き上げられたコンセプトと技術のうえに成り立っている「美しきもの」ですが、あまりに完成度が高いゆえか、ふとした瞬間に取るに足らないものにも見えてきます。
 画面のあちこちが黒かったり白かったり、ときに色づいていたりしていますが、それらはいわば、紙のうえで起きているささやかな化学的現象の跡に過ぎないと感じられるのです。

 それら現象の跡を、わたしたちは大切に、丁寧にたどって、そこに何らかの意味や美を見出そうと夢中になっています。なんて些細で儚いことをしているのでしょうか。思えばわたしたちの生そのものも、同じようにたいへん些細で儚いものであると気づかされます。
 写真も人の生も、いっときの夢のようなもの、なのでしょうか。
 でもだからこそ、写真や人の生は、美しく愛おしいものなのだと、杉本博司の作品が教えてくれます。


杉本博司 絶滅写真
6月16日~9月13日
東京国立近代美術館



写真新人賞「夜明け前|New Photography Award」 開催!


第3回「夜明け前」では、写真表現の未来を照らす作品を募集します。
テーマ、手法、サイズ、分量などは自由。「写真」の定義付けもしていません。
あなたが考える写真作品を、ぜひ見せてください。

― 応募資格
こちらから設ける制限はありません。新たな表現を志す、すべての人を歓迎します。
― 応募作品
テーマ、素材、手法、形態、サイズ、分量などは自由。
写真作品を募集しますが、写真の定義は各自の考えに基づいてください。
― 選出後の機会
グランプリ選出者は、以下を得られます。
·創作活動支援金 300万円
·個展開催および写真集制作の権利と費用
― スケジュール
作品募集 2026年 9月1日(火)~9月30日(水)
グランプリ候補者発表 2026年11月中
最終審査会·グランプリ決定 2026年12月15日(火)
― 応募方法
「夜明け前」サイトに掲載の応募フォームより、必要事項を記入しご応募ください。
― 審査員
奥山由之(映画監督/写真家) 小林エリカ(作家/アーティスト) 佐俣アンリ(ANRI代表) 鈴木理策(写真家) 姫野希美(赤々舎代表)

さらに詳しくはサイトをご覧ください。
いまから応募の準備を!


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