見出し画像

「心の風邪」から踏み込んで、知ることが優しさにつながるように。

「うつ病は、心の風邪」なんだよ。

まだ、たまに聞く気がします。

「そうか、風邪なんだ。心も風邪をひくんだね」

と思うと、経験がない方には、理解しやすいのかもしれません。

でも、「風邪」は現実と離れすぎていて、少し、誤解を与えるのではないかな? と、心配になります。

だって、風邪だったら、数日で辛い時期は終わるじゃないですか。
無理すれば出社したり、家事もできる。
1年も2年も治療にかかることもない。
そのうち治ると信じられる。

治ってからも、いつかまた、風邪をひくのではないか? と怖がることも(ほとんどの人は)ないはず。

私自身、過去には不登校や引きこもりを経験し、双極性障害と診断され、うつ症状には縁が深いです。

その経験から言えるのは、うつ病や、それに伴ううつ症状は、決して風邪のようにはいかないということです。

数日休んでいれば治るものでもなければ、頑張ればどうにかなるものでもありません。

それは、自分が自分ではなくなるような経験です。
「終わりのない暗闇」の中にいるようで、「心を鞭で滅多打ちにされ続ける苦しみ」である時もあります。

どうしたって仕事も家事もできなくなり、いつ終わるか分からず、長引けば数年、数十年患い続ける方もいます。

いつ治るのか、本当に治るのか、本人には信じられない。
良いことが考えられなくなる。
何度繰り返しても、慣れはしても、楽になるわけじゃない。
免疫も無い。
再発も怖いです。
うつ病が良くなってきても、「寛解」と呼ばれ、「治癒」というよりは、症状が安定したことをもって、社会復帰を目指すことになります。

そして大切なこと。

「心」なら自分の意志次第だと思える。
実際は、うつ病は脳の病であり、単なる意志の力で克服できるものではありません。

そもそも「やりたい」「こうなりたい」という気持ちすら、根こそぎ奪ってしまうことがある。

以前このテーマで書いた時、それでも、「感染」する点は風邪と一致するのではないか、とコメント欄で教えていただきました。

確かに、うつ病の方を支えようとして、ご自身もうつ病になってしまう……という方の話を聞くことがあります。結果だけを見れば、うつ病は広がっていくのかもしれません。

でも、細菌やウイルスのように人から人へ移動するという医学的なエビデンスはありません。

風邪のように「感染」するというイメージが広がってしまったら、「うつ病の人には関わらないようにしよう」という嫌悪感にもつながる気がします。それは少し、心配です。


一方で、本当に、支える側の問題は深刻ですよね。

いつ終わるのかは、本人にも医者にも分からない。

「薬で治る」…とも限らない。
「精神療法なら治る」…とも限らない。
「休めば治る」…とも限らない。

TMSなどの新しい治療法もあるけれど、それも全員に効果を発揮するわけじゃない。

個人差や経過の違いが大きい病気です。
風邪とは全然違う。

例え経験者であっても、なんのアドバイスもできないし、支えようにも、こちらが何かをしようとすることが、負担になることだってある。

実際には、ひどい抑うつ症状の中にいる人に対して、周りの人ができることは少ない。

できるとしても、医療へのアクセスを手伝うことや、お薬の管理。身の回りのお世話ぐらいかな。

個人的には、放っておいてもらえるのがいいな、と感じます。

抑うつ症状が酷いときは、寝たきりで起きられないこともある。涙が止まらない時もある。

そんなときに、手間をかけてしまったことや、悲しませてしまったことが申し訳なくて、さらに辛くなってしまうから。

その上、通常の励ましは、効果がない場合も多いんです。

どういうことか説明します。

例えば、

「つらい、つらい。辛くてたまらない」

と泣いている人がいる。

その人が大切なら、そばで背中を撫でながら、慰めてあげたいですよね。

「そのつらい原因は病気だよ。すぐに元気になるよ」

と励ましてあげるかもしれません。
相手が病気ではない人だったら、

「そっか! そうだよね。早く治るように元気出すよ。ありがとう」

と少し気持ちが落ち着いたり、嬉しくなるのかもしれませんね。

でも、抑うつ症状が強い時は

「あなたは気を遣って言ってるんだよ。
私が弱いからこんなにつらくて、仕事もできず、みんなに迷惑をかけ続けるんだ。
あなたにもずっと負担をかけている。
こんなに人に心配をかけている私には生きている価値がない」

と自分のつらい感情に飲み込まれて、思考も正常な状態を保てない場合があります。

自分で自分を滅多打ちにする。
何を言っても、届かない。

こういう状態の時に、周りの人が引きずられず、励まし続けるのは無理があります。

けれど、相手が大切であればあるほど、もどかしいですよね。
そういう無力感が、心をむしばんでいく。

もしかしたらサポートする側も、

「相手の分まで私が頑張って、明るく、優しく、しっかりしなきゃ!」

という思いを手放せたら、少し楽になるのかもしれません。

例えば、

何か「してあげよう」と思わなくていい。
基本的には、信じて見守ることだけが、サポートする人にできること。

そういう風に思えれば、少し疲弊感は違うのかもしれません。
でも、実際には分かりません。私の願望なのかもしれません。


さらに、個人的な経験では、日本ではまだまだ、治療へのアクセスが難しいような気はします。

仕事をしていれば周りが異変に気付きますけれど、そうじゃなかったら、どうなるんだろう?

私は人を見る時、兆候があると、「ちょっとうつっぽいのかな」「適応障害になりかけてないかな」といったことをまず心配しています。

それもちょっと偏った見方ではあるのですが、どうしても、経験上、気になるんです。

こんな風に、お互いに正しい知識があって、「あの人、うつっぽいな」とか「うつじゃないかな?」と気づけるようになれば、早めに休んでもらったり、治療をはじめて、仕事や家庭を失わずに済む人が、増えるかもしれない。

それは、いいことのように感じます。

「心の風邪」からもう一歩、踏み込んで。
「知る」ことが優しさにつながれば、いいな。

そして、うつ病や抑うつ症状で苦しむ人が、少なくなりますようにと、願っています。


#YeKu #心の風邪 #メンタルヘルス #うつ病 #双極性障害 #引きこもり #家族のサポート


いいなと思ったら応援しよう!

YeKu@「知る」を優しさに。 最後までお読みいただき、ありがとうございます! 「役に立った」「読んでよかったな」と思っていただけたら、無理がない範囲で応援いただけると嬉しいです。 いつも、皆様のあたたかいお気持ちで活動できています😊