【**】は手抜きか進化か。AI時代の新しい日本語ルール
みなさん、AIの生成結果や誰かの記事を読んでいる時に、
**こんな文字列**
を見かけたことがありませんか?
これ、意外と正体を知らない方もいらっしゃる……ということに気づきました。
このアスタリスク(*)が2つ並んだ文字でくくられた部分は、コンピュータに対する「ここを太字にしてね」という指示なんです。
こうした指示は、専門用語で「マークダウン記法」と呼ばれています。
他にも
「#」から始まるなら
見出し(少し大きめの文字)
にする
といったルールがあり、いろんな文章執筆エディタで共通して採用されている「目印」なのですね。
本来、このアスタリスクで囲まれた部分は、画面上では自動的に変換されて「太字」として表示されるはずなのです。
でも、AIがリアルタイムに文字を画面に送ってくる(ストリーミングと呼ばれます)都合上、太字にすることに失敗してしまい、
「**太字にしたいけどできない**」
と、この「目印」だけが変換されずに画面に出てしまうことがあります。
こんな風に。

日本語だと特に多い気がします。
つまり、ただのコンピューターの変換ミスなんです。
だから、マークダウン記法について少しでも知識がある人が記事を読んでいて、文章の中に「**」がそのまま表示されていると、
「おそらく、この人はこの記事の作成にAIを使ったんだな」
と思います。
そして、こうも感じてしまうのです。
「生成された文章をチェックせずに、そのままコピペで投稿したんだな」
と。
でも検索して機械的に置換すれば済むことなのに、なんでそうなってしまうの?
といろいろ考えたり、世の中の文章を見ているうちに、ある恐ろしいことに気づきました。
「これが……新しい強調法として、市民権を得つつある?」
私たちは普段、言葉を強調したい時にさまざまな記号を使います。
「強調」
"したい"
『文章は』
※こんな風に※
カギカッコや米印などの記号をつけて、視覚的に目立たせようとしますよね。
その新たな一種として、**これが**認知されつつあるのでは……?
特に「AIネイティブ世代」にとっては、強調したい時に太字ではなく
**強調**
と書くのは、どんどん当たり前のこととして浸透していく気がします。
だって、マークダウン記法という裏側の仕組みを知らない人にとっては、AIが勝手にくっつけてくる「**」がなんなのか、正確に判断しようもありません。
けれど、文脈を見れば「なんとなく強調したいのかな」とは察するはずです。
AIとたくさん話して、そのルールを学んだ結果……。
強調する時は**をつける。これが新しい日本語の文章ルールなんだ……。
そんな風に、なし崩し的に浸透してしまうのではないでしょうか。
でも、マークダウン記法を分かっている人間からすると……**が露出していたら、完全な文章であるようには見えません。それに、本当のマークダウンとの区別で混乱しますし。なんだかエンジニアとしての心情的には、ちょっとした抵抗感があります。
まあ、でも言葉は生き物なので。
以前、私は「耳障りが良い」という表現は本来間違っている、という記事を書きました。
耳障り=聞いていて不快なことだから。
目障りが良い、は変ですよね。同じ構造です。
でも先日、Geminiがチャット中に堂々と「耳障りが良い」という言葉を生成してしまっているのを見かけました。
こうして、誤用がデファクトスタンダードになってしまうのですね……。
これはもう、抗いようもない時代の流れなのかもしれません。
あるいはAIプロバイダが、この表示バグを直してくれるのを期待するしかないのでしょう。
でも、これだけ時間が経っても直らないということは、たぶん日本語ユーザーのニーズに応える気がないか、技術的に直すのが難しいのでしょうね……。
(表示が全部終わった後にマークダウンを再適用すればいいだけじゃない? とも思いつつ)
言葉が変わるのか、技術が追いつくのか。
できれば、技術に追いついて欲しいのですが…
なんとも切ないお話ですね。
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