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【障害年金】不支給が倍増ってホント? データから見える現状と私たちのこれから【ニュース分析】

「最近、障害年金がもらえなくなる人が増えてるってニュースで見たけど、本当なのかな……」

「もし自分が申請することになったら、ちゃんともらえるんだろうか……」

そんな不安を感じている方もいるかもしれませんね。

こんにちは。

私のnoteでは、これまでも障害年金について何度か取り上げてきました。うつ病や双極性障害といった精神疾患も対象になる、いざという時に私たちの生活を支えてくれる大切な制度です。若い方でも受給できるんですよ。

(障害年金について触れた過去記事はこちら

ここ1ヶ月ほど、一部のメディアで気になるニュースが報じられています。

「障害年金、不支給が倍増」報道の衝撃

「2024年度に障害年金を不支給とされた人は、23年度から倍増以上の約3万人に上る。不支給割合も約2倍になった」

「2023年10月に日本年金機構障害年金センター長が交代してから要件が厳しくなり、センター職員が判定医に不支給になるよう誘導している」

といった内容です。

※6/14追記 確認したところ、上記情報のソースとなる共同通信社の記事は削除(非公開化?)されていました。しかしながらこの件については、記事タイトルで検索すると複数のソースでも触れられていたことが確認でき、当時の記事内容としては上記の通りであったことを補足いたします。

内部文書のような画像も添えられていたため、内部からの情報提供なのかもしれません。

この報道を受けて、福祉関連団体はもちろん、多くのメディアが「不透明な不支給急増なら改善すべき」といった意見を発信しています。最近の福祉関連ニュースでは、大きなトピックの一つです。

こうした状況を受け、福岡資麿厚生労働相は5月7日、実態把握に向けた抽出調査を指示しました。1ヶ月程度で結果が公表される見込みとのことです。

(参考:【速報】厚労相、障害年金不支給急増巡り調査指示

データで見る障害年金の「今」

日本年金機構のウェブサイトでは、過去の障害年金に関する業務統計が公開されています。

(統計情報はこちらから確認できます)

せっかくなので、この統計情報を元に、過去5年間のデータをまとめてみました。

令和元年~令和5年度の障害年金(厚生、基礎合算)申請状況

グラフにしてみると、こんな感じです。


過去のデータを見ると、申請件数は年々増加傾向にあることが分かります。

一方で、不支給率に注目すると、令和元年度(2019年度)は12.4%と高めでしたが、令和2年度から令和5年度(2020年度~2023年度)までは、およそ8%前後で推移しているようです。

この数字をどう見るかは人それぞれですが、以前調べた生活保護のある年の不支給率が10%前後だったことを考えると、それに比べてやや低い、と言えるかもしれません。

ただ、障害年金の申請には、医師の診断書が不可欠です。

診断書がある、つまり医師が「障害年金の受給に該当する可能性がある」と判断したにも関わらず、不支給となるケースが8%というのは、少し高いような気もしますね……。

というのも、診断書は気軽にお願いできるものじゃないんです。健康保険も効かないので、100%自費で、医師が自由に値段をつけられる。特に障害年金や障害者手帳のための診断書は、フォーマットが複雑なので、相場は安くても一万円といったところのようです。

ただでさえ、就業や生活に困難を抱え、お金に困っている方にとっての一万円です。「決して安くない」というのは想像に難くありません。

もし報道が「本当」なら……?

さて、報道されている「2024年度の不支給者は約3万人、不支給割合も約2倍」という情報。

令和6年度の統計はまだ一部しか公表されていませんが、この報道を元にざっくりと試算してみると、どうなるでしょうか。

仮に2024年度、不支給が約30,000件で、不支給率が前年度約2倍(約16.7%)ならば、2024年度(令和六年)の申請件数は約180,000件になってしまいます。

報道が真実である場合の申請件数、不支給割合
報道が真実である場合の申請件数、不支給件数

この申請件数自体も、前年度から4万件近く増えている計算になります。(前年度比で約127%の増加!? ちょっと異常な増え方です

もしこの数字が本当なら、考えられる可能性はいくつかあります。

  • 申請者数が急増し、事務処理が追いつかず審査が粗くなった結果、不支給が増えた。

  • 急増した申請の中に、不正なものが多く含まれていた。

もちろん、報道されているように「センター長」の交代に伴う何らかの「意向」が働いた可能性は否定できませんが、データを考えると、それだけじゃない気もします。

「センター長黒幕説」を推すのであれば、センター長一人が直接指示しなくとも、周囲がその意向を「忖度」して、「なんとなく不支給割合を上げよう」という空気が生まれた……というストーリーは、残念ながら想像に難くありませんが。やや陰謀論めいている、そんな気もしてしまいます。

(個人的には、特定の個人だけが過剰に批判されるような事態は避けてほしいと願っています)

5/26 追記

共同通信によれば、「年金機構は報道を受けて、一部の判定を密かにやりなおした」旨が報道されています。年金機構側は否定しているようですが、共同通信は「密かな再判定」を示す内部文書を入手したとしています。信ぴょう性は不明ですが、これが事実だとすると、年金機構や厚生労働省の内部にリークする方がいらっしゃるようですね。

求められるのは「透明性」

今回の報道が事実かどうか、まずは調査結果を待つ必要があります。

ただ、どちらかというと、この一件をきっかけに、障害年金の判定基準の透明化に踏み切ってほしい。これが、多くの支援団体や当事者の本音ではないでしょうか。

もともと、障害年金の受給手続きは、決して簡単なものではありません。

初診日を特定して証明しなければならなかったり、過去の年金納付状況によっては申請が難しくなったりすることもある、と聞きます。

厚生労働省は審査のためのガイドラインを公開しています。(精神の障害に係る等級判定ガイドラインなど

しかし、現状では一次審査は一人の医師の判断に委ねられる部分が大きく、どうしても俗人的な判断が入る余地がある、という指摘もされてきました。

障害年金研究会など複数の支援団体は、これまでも受給要件の緩和などを求めてきましたが、残念ながら大きな変化には至っていません。

(参考記事:福祉新聞

不支給が増えたら、どうなる?

もし本当に、障害年金の基準が厳格化されているのだとしたら……。

年金が不支給となった方々は、現実的に生活保護の利用を検討することになるでしょう。

(そして、繰り返しになりますが、障害基礎年金は多くの場合、月7万円前後が平均と言われ、それだけで安定した生活を送るのは難しいのが現状です。気になる方は統計データに平均額が記載されているので、ご覧ください。)

ここで無理に不支給を増やしても、結局は税金で賄われる生活保護の費用が増えるだけ、という見方もできます。

もしかすると、部署ごとに何らかの「ノルマ」のようなものが存在するのでしょうか……。

一方で、支援団体からは「書類審査だけでなく、申請者の生活実態の調査も行うべきだ」という改善要望も出ています。

しかし、現在の手続きでも、支給決定までにおよそ3ヶ月かかると言われています。

もし生活実態の調査まで加わると、受給開始までに半年から1年程度かかってしまう可能性も。

「今すぐお金が必要なのに、支給が遅れるのは困る……」

そう考えると、スピードを優先して現在の診断書ベースの判断を一次審査として維持するのは、一つの考え方かもしれません。

それでもやはり、審査プロセスの透明化という課題は残ります。

私たちができること。そして未来へ

今回のニュースは、病気を抱えながら生活する私たちにとって、そして社会全体にとっても、他人事ではありません。いつ自分や、自分の大切な人が、障害年金を必要とする立場になるか、全く不明だからです。

まずは、厚生労働省の調査結果を冷静に見守りたいと思います。

そして、この出来事をきっかけに、障害年金制度がより公平で、透明性の高いものへと変わっていくことを心から願っています。

誰もが安心して暮らせる社会のために、私たち一人ひとりが関心を持ち続けること。

それが、より良い未来につながる第一歩なのかもしれません。


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