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もう一度「合理的配慮」について整理をー障害者差別解消法から

よこはま発達相談室の佐々木です。いつも記事をお読みいただき、また「スキ」「フォロー」「シェア」してくださっている皆様、ありがとうございます。前回は、"障害者差別解消法"の軸の一つである、「不当な差別の禁止」について書かせて頂きました。今回はもう一つの軸である「合理的配慮」について皆さんと共有したいと思います(今更と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうした方は復習のつもりでお付き合い頂けますと幸いです)。なお、前回の記事については下記にリンクを貼っておきますので、ご関心のある方は下記よりご一読ください。

そもそも合理的配慮って?

”合理的配慮”と聞くと難しい言葉なので、「一体なんだろう?」と思われる方も少なくありません。例えば、当相談室の内山代表は「合理的な調整の方がわかりやすいかも」と言っていたりもします。

いずれにしても、まずは”合理的配慮”の意味について共有していきたいと思います。内閣府のHPには以下のように記載されています。

合理的配慮とは、障害のある方が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために、障害のある方に対し、個別の状況に応じて行われる配慮をいいます。典型的な例としては、車いすの方が乗り物に乗る時に手助けをすることや、窓口で障害のある方の障害の特性に応じたコミュニケーション手段(筆談、読み上げなど)で対応することなどが挙げられます。
                           ー内閣府のHPより抜粋

一言でお伝えすれば、「障害特性に基づく配慮と工夫」だと思います。

合理的配慮とは

この法律の対象は?

これは過去の記事で書かせて頂いたのですが、重要なポイントですので、再度掲載します。

「合理的配慮」については、公的機関(公立学校含む)では義務ですが、民間事業者や私立学校は努力義務(つまり、できるだけ行うように努めてくださいという意味です)となっています。なお、この法律では社会福祉法人や特定非営利活動法人も対象となっています。そして、もう一つ大事なポイントとしては、権利条約においては、「障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。」と定義されており、合理的配慮は一部では努力義務とされながらも、場合によっては「差別」に該当する可能性があるという点です。したがって、実質的にはあらゆる場面での合理的配慮が求められることになります。

例えばどのような配慮があるのか

具体的な例としては、厚生労働省のガイドラインにも記載があったりしますので、一部を共有します。

合理的配慮の例

これら以外にも、内閣府では障害種別の提供事例集やデータ集もHP上で公開しております。とてもボリュームが多いのですが、ご関心のある方は、下記にリンクを掲載しておきますのでご覧ください。

データ集はこちらです→https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index.html

過重な負担になる配慮はできない

とはいえ、「あらゆる配慮が認められるか」というと、そうではありません。いくつか注意が必要な点もありますので、少し解説をしていきます。

”合理的”という言葉がついているように、必要な配慮をする側にとって過重な負担になることや、現実的には困難であることは難しいとされています。例えば、現場の体制や経済的な面、設備の面から総合的に考えて達成困難である場合です(典型的な例としては、エレベーターを設置する)。

評価の本質を変える配慮もできない

なぜ、合理的な配慮が必要なのかを考えた際には、当事者の方々が持っている本来の力を正当に評価するという意味合いもあります。例えば、読む力に困難を抱えている方が、「読めないから算数の問題を解けない=算数ができない」と評価された場合には、それがそもそも本来の「計算する力」「数的推論の力」を評価できているかというと、そうではないだろうと思います。理由としては、特性故にそもそもの問われていること(情報)にアクセスできていない可能性が高いからです。ですので、情報にきちんとアクセスした上での評価が正当な評価になります。具体的には、読めないけれども、読み上げ機能を使うことで情報へのアクセスというスタートラインは同じにする、その上で「計算する力」「数的推論の力」を見ていくというイメージです。スタートラインは同じだけれども、成績がおもわしくない時に、初めて「算数が苦手」という評価になるのではないでしょうか。

ただし、ここでの評価の基準が「数的推論」ではなく、「読む力」になっていた場合には、読み上げ機能を用いることは、そもそもの評価基準を覆してしまうことになりますので、”配慮は認められない”ということになります。

つまり

合理的配慮を考える際には、「評価基準」「求められていることは何か、そしてその基準は妥当なのか」などについても話し合いをしていくことが重要かもしれません。

まずは、話し合いから

こうした配慮や調整のを検討していく際に、まずは覚えておかなければならないのは、「配慮をお願いした=すぐに配慮がなされる」「配慮をお願いした=前例がないのでできません」ではなく、まずは話し合いの場を設けるということだろうと思います。そして、例えば以下のような点を話し合えると良いかもしれません。

・ご本人のご希望はどうか(本当にご本人も求めているのか周囲の思いが先行していないか)
・今の現状はどうか
・障害特性について共有
・どこに配慮が必要なのか(どのような理由があるか)
・それをすることでご本人への不利益はないか
・求められていることについての本質を曲げる内容ではないか
・双方にとっての過重な負担にならないか

教育機関以外でも必要な合理的な工夫

上述してきたことは主に教育機関で話題になることが多いように思いますが、企業、社会福祉法人、特定非営利活動法人等も対象になってきます。例えば、ある作業所に通われている方に対して、紙とペンで見通しを伝えることなども合理的配慮の一つです(そして、それは過重な負担とはいえないだろうと思います)。

ご本人の視点で

そして、最も重要なことは、「ご本人が望んでいない配慮を押し付けない」ということです。「職場では、過集中になるからと言われ、必ず1時間に1回は休憩を取らなければなりませんが、その方が集中力が切れたり、また集中し直すのが大変で、実はそれよりも〇〇に困っているんです」という方にお会いすることも少なくありません。「ASDだから」「ADHDだから」「LDだから」など、思い込みで対応してしまわないように留意する必要がありますし、善意からであったとしてもそれがその方々にとって役に立つことなのかどうかは、きちんと当事者の方々と意見交換していく必要があるのではないかなぁと思います。

例えば

僕はよく相談の際にメモを使いますが、それが必要かどうか、また最後にお渡しした方が良いかどうかも含めて確認することが多いです。そして、「とりあえず要りません」と言われた場合には、「いや、絶対必要なので」「あった方が忘れないと思うから」とお渡しするのではなく、「必要になったら教えてくださいね」としたりします(ケースバイケースですが)。

さて、いかがでしたでしょうか?
本当はもっと丁寧に説明しなければならないことかもしれませんが、それはまたの機会にと思います。

では、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
もし、この記事がなんらかのお役に立つようであれば嬉しく思いますし、多くの方に知っていただければと思います。

また、最近はYouTubeを活用して音声での情報発信もしております。毎回5分〜10分程度ですので、移動や家事の間等の「ながら聞き」に活用して頂ければと思います。以下にリンクを貼っておきますので、宜しければそちらもお願い致します。

よこはま発達相談室
佐々木康栄

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